西宮市における環境政策の変化と動向③ープラスチックゴミの削減

2021年3月5日[カテゴリ:コラム, 自然環境

初当選以来、18年間発行を続けております「市政・市議会報告」ですが、昨年10月に60号を発行し配付をしておりました。ホームページにもアップロードしましたので、ご覧頂ければ幸いです。

 さて、西宮市議会では3月定例議会の真っただ中ですが、今週火曜日から始まっていました一般質問も今日で終わり、これから来週の10日(水)に開催される民生常任委員会と16日、17日に開催される令和3年度予算の審査をするための分科会での議論の準備に入ります。

 そして、新型コロナウイルス感染症の状況は、新規感染者の確認が続いてはいますが人数は減少し、兵庫県は先月末で緊急事態宣言の対象区域からは外れました。昨年3月1日に兵庫県で初めての感染が西宮市内で確認されてから1年となりますが、昨年は、3月1日から少しずつ感染が確認されていき、ピークが4月上旬であったことを経験しています。
 ですので、緊急事態宣言の対象地域から外されたとはいえ、県による制限は続きます。また、知人より、昨年12月以降の傾向として、陽性者数に対する死者数の割合が、兵庫県は他の都道府県と比較して非常に高いとの指摘も頂きました。その原因分析は行われていませんが、病床数の確保や保健所の体制など、事前の備えの想定が甘かったことは市も認めています。
 引き続き、注意喚起が必要だと感じています。

プラスチックごみ削減の推進について

 今日は、前回のコラムに引き続き、1月18日の民生常任委員会で報告された「プラスチックごみの削減」について掲載します。

 先日市長が示しました施政方針の中で、「地球温暖化対策として、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指します。」と述べられました。市議会でのこの発表により、西宮市も「ゼロカーボンシティ」を表明した自治体となりました。昨年秋の菅総理の所信表明演説で、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」と宣言したことが報道でもクローズアップされましたが、西宮市もようやく表明したことになります。

 「2050年までにゼロカーボンシティを目指す」と、宣言することは重要なのですが、「目指す」と言うだけなら誰でもできます。しかし、いざ実行段階に入ると、市民にも相応の負担を求めることとなり一定の反対も予想されますし、自治体としても財政負担を始めとして相当の覚悟が必要だと考えています。
 二酸化炭素は人間の目には見えませんし、自分が生活する上でどれだけの二酸化炭素を排出しているのかも、自分が普通に生活する上で排出した二酸化炭素によってどれだけ自然環境に影響を及ぼしているのかも想像がつきません。そして、30年後の影響ですからなおさら想像がつきにくく、自分のこととは思いにくく共感が得られにくいと感じています。 
 先日のコラムに掲載しました指定ごみ袋の導入も、この「負担が増加する取組み」の一つです。

 市民は「不便さを受け入れる」という負担のみならず、自治体の財政負担も納税者が負うことになるわけですから、デジタル化やインフラ整備など「財政負担が増大する」という覚悟も必要になります。

 まだ、こちらのホームページではアップできていませんが、令和2年12月議会で取り上げました市営住宅の共用部のLED化の提案に対する市の回答からは、その財政的な覚悟はまだ見られなかったため、覚悟を持って取り組むよう、すでに指摘もしています。

プラスチックごみ削減の推進について

◼西宮市環境政策推進会議の設置

市の説明の抜粋
(1)趣 旨
 本市は、平成15年(2003 年)の環境学習都市宣言以降、環境学習を軸とした 21 世紀の持続可能なまちづくりへの取組を進めてきました。
しかし、近年、脱炭素社会に向けての大きな転換となったパリ協定や、経済・社会・環境の統合的な課題解決を掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の採択のほか、海洋プラスチックごみ問題がクローズアップされるなど、環境を取り巻く動きが加速しています。また、世界的にも「ポストコロナ」のまちづくりを目指す中で、地球環境問題への対応に注目が集まってきています。
 このような状況を踏まえ、特に資源循環や地球温暖化などの地球環境保全の分野の課題を取り上げ、市民の参画と協働を得ながら、行政として担うべき施策・事業(市民・事業者の取組の支援及び市の一事業者としての取組)を企画・実施していくための全市役所の横断的な推進組織として、西宮市環境政策推進会議を設置しました。

との報告がありました。
 この会議のメンバーは、市長、副市長、局長級の市職員で構成されています。
 そして、令和2年10月17日(月)に第1回、令和2年12月21日に第2回の会議が開かれ、①全市的なプラスチックごみ削減の推進と②市施設のエネルギーマネジメントの推進について協議されているとのことです。

◼全市的なプラスチックごみ削減の推進

市の説明の抜粋
 現在、地球規模での海洋プラスチック問題が深刻化しています。
 毎年、世界全体では、陸上から海洋へ数百万トンを超えるプラスチックごみが流れ出て、海洋を漂流したり、海底に沈んだり、海岸に漂着したりしており、このままでは2050年までに魚の量を上回るプラスチックが海洋に流出すると予測されています。
 海洋生物が生命の危機にさらされる直接的な被害のほか、プラスチックを海洋生物が食べることにより、食物連鎖による私たち人間も含めた生態系への影響が懸念されています。
 さらに、地球温暖化の視点からも、プラスチック製品の生産や運送、焼却に伴う二酸化炭素排出量の削減を推進していかなければなりません。
 これらの問題を解決していくためには、プラスチックがもたらす環境への影響について私たち一人ひとりが身近な問題として向き合い、マイボトルの携帯やマイバックの持参などのほか、3R(リデュース、リユース、リサイクル)など日常生活の中でできることから積極的に取り組み、プラスチックごみを出さないライフスタイルへの転換を目指していく必要があります。
 西宮市は、武庫川や夙川が大阪湾に注ぐまちであるという責任と自覚をもって、西宮市環境学習都市宣言の精神に則り、市民、事業者、行政の参画と協働によりプラスチックごみ削減に向けた取組を推進するものです。

と説明しています。

 そして、西宮市全体でプラスチックごみ削減に取り組んでいくために、市民、事業者、行政のそれぞれの取組方針を策定するなど、本市の意思を効果的に表明する手法を検討しているとのことでした。

◼市役所のプラスチックごみ削減に向けた取組方針の策定
 まずは、市役所とその職員が自ら範を示し、率先して取り組む必要があるため、市役所のプラスチックごみの削減に向けた取組方針を策定するとしています。
(1)物品調達における取組
 市の事務事業において、ワンウェイプラスチックやプラスチックを使用した製品の使用をできるだけ控える。
ア)市の主催する会議等では、出席者へのペットボトルなどワンウェイのプラスチック製容器包装の提供を原則禁止とする。出席者にはマイボトルを持参してもらうこととし、やむなく使い捨て容器の飲料を提供する場合は、缶や紙製品を使用するなど極力プラスチック製ごみの発生を抑制する。
○ワンウェイプラスチックとは…使い捨て(ワンウェイ)のプラスチック製のもの。
(例)
プラスチック製品:使い捨てのスプーンやフォーク、ストローなど
プラスチック製容器包装:レジ袋、ペットボトル、飲料カップなど

イ)市主催のイベント等で、景品の提供の際などワンウェイのプラスチック製品の使用をできるだけ控える。
ウ)グラシン紙を使用した窓付き封筒など、プラスチックを使用した製品の代替となる製品があればできるだけ使用する。
○グラシン紙とは…半透明の紙。封筒の窓部分にセロハンの代わりにグラシン紙を使用することで、窓部分をはがすことなくリサイクルが可能となる。

(2)職員による取組
ア)原則、必要性の低いワンウェイプラスチックの受け取りを辞退する。
イ)プラスチック製容器包装の使用を控え、マイボトル・マイカップ・マイバッグの使用に努める。

(3)指定管理者等に対する協力依頼
 「1」の取組内容については、指定管理者制度の対象施設、外郭団体及び本市の市関連施設内で許可を得て営業活動を行う者等に対してもできる限り協力依頼を行う。また、委託事業においても、仕様書に盛り込むなど、できる限りの取り組みを求める。

(4)開始時期
令和3年4月1日から実施する。

公共施設等への給水スポット整備事業

 平成30年度民生常任委員会では、施策研究テーマとして「西宮市環境基本計画について(低炭素社会づくり)」を取り上げ、平成31年3月8日に常任委員会の提言として、市に対して以下の提言をしておりました。

民生常任委員会の提言の抜粋
 プラスチックごみの削減に向けて、現在、地域住民が主体となって実施しているマイバッグ運動の取り組みを強化するために、地域住民の意見を聴取し、必要な支援を実施するよう提言する。マイバッグの普及状況を把握するとともに、新たなマイボトル・マイカップキャンペーンの実施に向けて、積極的に推進できるようグッズの開発・普及も必要である。それらの工夫についても検討するなど、マイボトル・マイカップキャンペーンが市内で展開される環境整備を進めるよう提言する。

 そして、先月1月18日にペットボトルなど使い捨てのプラスチック製品の削減の取組みの一つとして、給水スポット整備事業を実施することが市より報告されました。そして、この事業に要する予算として、令和3年度予算に376万9千円が計上されており、3月16日に詳細に審査される予定です。

 あらゆる場面で新型コロナウイルス感染症防止対策が課題となっている中で、不特定多数の方が利用することになる給水スポットの衛生面での対策がどのように講じられるのか心配しています。
 また、市内の公共施設に20台の給水スポットを整備することでマイボトルの普及がどのように進むのか、給水スポットの使用状況や政策目的の達成状況など費用対効果を検証する必要があります。

 

市の説明の抜粋
(1)事業目的・趣旨
 ペットボトルなど使い捨てプラスチック製品などの使用を抑制するため、公共施設や集客施設など市内各所にマイボトルに給水できる環境(給水スポット)を整備し、市民のライフスタイルの転換を促進していきます。
 まずは、市の公共施設より率先して整備を進め、引き続き民間事業者(店舗、大学、集客施設など)にも設置を働き掛けていきます。

(2)給水スポット整備事業の必要性
・直近15年間(2004年~2019年)において、清涼飲料用ペットボトルの出荷本数は1.6倍と大きく増加しています。昨年度の出荷本数は236億本であり、1人あたり年間で183本を消費している計算になります。
・ペットボトルのリサイクル率は85.8%と高い水準にあり、リサイクル工程で発生する残渣や可燃ごみ等として排出されたものを焼却し、熱回収した分(7万4千トン)も含めた有効利用率は98%と高い水準にあります。
・流通しているペットボトルが全て回収されている訳ではなく、河川や道路等へポイ捨てされたペットボトルは自然界に流出し、海洋プラスチック等の環境汚染の原因の一つになっています。
・近年、ペットボトルの軽量化等により製造・供給段階での二酸化炭素発生量は出荷本数の伸びに比べ抑制されているものの、年間223万1千トン-Co2もの環境負荷が発生しています。
・また、リサイクル率は高い水準ではあるが、約12%は焼却処分されており、二酸化炭素を発生させています。
本市の状況に目を移すと、一般家庭から発生した生活系もやすごみ全体量(76,182トン)のうち、ペットボトルが1.93%(1,470トン)混入していることが判明しており、分別回収量(736トン)の2倍相当量が焼却処分され、二酸化炭素を発生させていることから、さらなる分別排出の徹底が重要課題となっています。
・ペットボトルとマイボトルで飲料水を飲む場合の温室効果ガス発生量を比較した場合、ペットボトルの方が環境負荷が明らかに高くなっています。

 以上のことから、プラスチックごみ削減対策及び地球温暖化対策の一環として、ペットボトルの発生抑制及び適正処理を進めていく必要があります。発生抑制対策としては、マイボトルの利用促進を図る「給水スポット整備事業」の取組を、また、適正処理対策として「指定袋制度の導入および分別区分と収集回数の見直し」の取組を進めるものです。

◼想定している給水スポット整備事業の内容
ア)事業開始時期
令和3年6月(予定)

イ)設置場所および設置箇所数
・本庁舎、支所、公民館、体育館などの公共施設。
・設置施設数は最大で20か所
・ 現在、設置施設について調整中。

ウ)設置する給水機の仕様(予定)
・水道直結式で、冷水・常温水を供給可能なもの。
・給水部分のスペースに余裕があり、水筒での給水が可能なもの。
・リース契約期間は5年間(予定)。
・設置機種及び事業者については、公募型プロポ―ザルにて選定。
【水道直結式のメリット】
・水道直結式のため、ボトルの在庫管理や交換作業が一切不要。
・プラごみや輸送時の二酸化炭素が発生しないため、環境負荷が少ない。
・水道水を原水とするため、安全な水の提供が可能。

エ)事業費(予定)
リース料(メンテナンス費用含む):1台当あたり約42万円(5年間の総額)
・工事費:給排水及び電源設備の設置が必要な施設については工事費が必要。既設の給排水および電源設備がある場所については不要。

オ)今後のスケジュール(予定)
令和3年2月~3月:公募型プロポーザルにて事業者を選定
4月~5月:契約締結、給排水及び電源設備等設置工事
6月:事業開始

 私はペットボトル飲料を飲むことが非常に多く、プラスチックごみを大量に排出してしまっています。コーヒーが飲めなくなるのはかなり辛いですが、マイボトルを使用してペットボトルを減らすようにしていきたいと思います。
 1月及び2月の民生常任委員会で報告がありました「西宮市における環境政策の変化と動向」については、以上となります。

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