本日から、西宮市議会では市長の施政方針に対する代表質問が始まりました。西宮市議会には3名以上の議員が所属する「会派」が6つあり、その会派の代表者が代表して市長に対して質問するもので、来週月曜日にも行われます。
さて、今回も前回コラムに続きまして、先月と今月の民生常任委員会で報告された内容を中心に、西宮市の環境政策の変化と動向の第2弾を掲載したいと思います。
パブリックコメントの結果
まず、ごみ収集における指定袋の導入と分別区分と収集形態の見直しに対するパブリックコメントの結果についてです。この件については、昨年10月26日(月)~11月25日(水)にパブリックコメント(市民意見提出手続き)が実施されることを以前にコラムに掲載致しましたが、その結果について、先月18日(月)に開催しました民生常任委員会において報告されました。
「私が考える課題」を含めまして、こちらのコラムに内容をまとめておりますので、ご覧頂ければ幸いです。
変更点を大きく分けると、
・ごみ収集において透明もしくは半透明の指定袋を導入すること。
・分別収集の区分と収集方法を見直すこと。
になります。
本来は、別々にパブリックコメントを求めてもいいほど、西宮市民、市内企業に大きな影響を及ぼす変更ですが、互いに影響する変更でもあることから、今回は同時に西宮市から提案されました。
そして、150名の方から329件のご意見を頂きました。LINEやインターネットを使って意見提出ができるようになっていることが大きいと思われますが、以前と比較すると大幅に件数は増えています。
LINEで意見を提出して頂いた方は83名、インターネット49名、その他、従来からのFAX、郵送、持参、市民の声で提出された方は合わせて18名であったとのことですので、ICTの影響の大きさが分かります。
ただし、市政への参画という視点では、市民約48万7000人、そのうち有権者が約39万8000人、市内の企業で働いている市外在住の方もいらっしゃることを勘案すると、まだまだ伸びしろはあります。
パブリックコメントの結果をどのように市が扱うかによって、市民等が意見を提出するモチベーションにつながるものと考えています。市の説明も以下のように記載されています。
市の計画などに対する賛否を問うものではなく、市が市民の皆様に対する説明責任を果たし、より公正で透明性のある市政を目指すとともに、市民の皆様の市政への参画を促進するための制度です。
それでも反対、賛成の意思表示はあります。今回提出された意見のうち、37.3%が反対の内容で、賛成は21.8%、意見のみの方が36.6%、質問が4.2%という結果となりました。
有権者数と比較すると絶対数は少ないとはいえ、反対を表明された方が37.3%もいらっしゃることは重く受け止めなければなりません。今後、条例が改正された後に、丁寧に説明していかなければならないことを示していると私は受け止めています。
以下、大きな変更点ごとに掲載します。
ごみ収集における指定袋の導入
指定袋を導入する目的は、以下の4点とされています。
1.ごみの減量化・資源化の推進
2.ごみの分別と適正排出の推進
3.ゴミステーション利用者の明確化(事業系ごみと生活系ごみの区別の強化)
4.ごみ収集作業の安全確保と効率化
指定袋が導入される対象となるごみは、家庭から出るもやすごみとその他プラごみペットボトル、事業者が排出する可燃ごみが令和4年度から、家庭から出る缶・ペットボトル、その他不燃ごみは令和8年度から導入するという案が示されています。
現在の黒や水色の中身の見えないごみ袋でも、しっかりとゴミ出しのマナーを守り、分別ルールを守ってこられた方の立場で考えると、ルールを守らない人にルールを守らせるためにプライバシーが露出する可能性がある透明の袋に変えられるといった不利益を被るのは納得のいかないことであることは理解できます。袋の値段が大幅に上がるようであればなおさらです。
まさに、「まじめに頑張ってきた人が負担の増加やサービスの低下などの“不利益”を被る」ことになってしまいます。ですので、私はごみの有料化はもちろんのこと、ごみ袋の指定については否定的でした。
本来、15年も前から都市宣言をしてまで取り組んでいる環境学習が定着していれば、市民一人ひとりの意識が向上し、袋が黒であろうと手間がかかろうと再資源化はもっと進んでいたはずですし、意識の向上が進んでいれば、黒いごみ袋のままで十分だったと思います。しかし、一部の方々にしか環境学習活動が浸透しなかったがために、物理的に分別を促す取り組みをせざるを得ない状況になったと言えます。
そして、技術革新が進み、焼却施設で自動で分別ができるような機械ができればいいのですが、今のところ、そうした機能を備えた処理施設があるのかどうか、私は情報を持っていませんので、分別を促進するための代わりの案も示すことはできませせん。
今回のパブリックコメントで、反対のご意見を提出された方の中には、ごみ処理料金を袋代に上乗せする「有料化」と誤解していたり、袋の値段がものすごく高くなり金銭的な負担が増えると受け止めた方のご意見が目立ちました。確かに、「西宮市指定」と印字されたものになる見込みですので、これまでのような大量生産は困難となり値段が上がるのは確実ですが、ごみ処理料金を袋代に上乗せする有料化ほどの値段の上がり方はしないと市は説明しています。
今後、4月以降に約1年をかけて、市内各所で住民に対する説明会が開かれる予定ですが、どれくらいの値段で袋が購入できるようになるのかも含めて、しっかりと説明する必要があります。そして同時に、激変緩和の観点から、当面の間は、単純に色指定のない「透明の袋」に指定することで費用負担の増加を抑えることも検討しなければならないと感じました。
この3月議会で条例改正案が市長より提出されていますので、委員会でも丁寧に審査したいと考えています。
分別区分と収集方法の見直し
分別区分の見直しについては、これまでの分別区分の「もやさないごみ」に「ペットボトル」が統合され、「缶・ペットボトル」、「びん」、「その他不燃ごみ」に細分化されます。
頂いたご意見の中には、あまり分別を複雑にすると、かえって分別が進まなくなるのではないかということを懸念するご意見が見受けられました。この件についても、住民に対して十分に時間をかけて広報する必要性を感じました。
また、「缶・ペットボトル」と「その他不燃ごみ」はコンテナ収集から指定袋での収集に変わり、週1回の収集となる案でした。つまり、「びん」だけが、これまでどおり週に1回、コンテナによるゴミ出しとなる案でした。
前回のコラムに掲載しました新たに整備される破砕選別施設は、缶とペットボトルとごみ袋を自動的に分別できる機能があるため、缶とペットボトルを同時に袋で集められるようなるということです。そして、その施設が完成し稼働するのが令和8年度の予定となっているため、分別区分の見直しも令和8年度に実施する予定ということになっています。
しかし、この場合、ごみ袋が必要となり、その袋自体がごみとなって増えることになり、ごみ減量につながらないのではないのかという指摘が複数ありました。
この点についてはごもっともですが、袋収集にすることで、特に高齢者のコンテナの出し入れの負担の軽減になるかと考えていました。しかし、見直し後もコンテナ収集が残ることから、缶・ペットボトルやその他不燃ごみについてもコンテナ収集のままにし、徹底してごみ減量を図るべきなのかもしれません。
令和8年度とまだ先のことになりますので、今後、市が住民説明会を開催する中でご意見を頂きながら検討ができますので、今回の案は変わる可能性はあります。
折り畳み式ネットボックス等購入補助金制度
この補助金制度については、以前のコラムで掲載しましたが、今年度から始まった制度です。これまで必要性を訴えてきたごみステーションでのカラス対策がようやく動き始めました。ここに至るまでの流れは以下のとおりです。
〇平成15年6月議会一般質問(←クリックするとコラムが開きます)でカラス対策について提言。
初当選直後、私のもとに届いた市民からの苦情やご意見をもとに、カラスの捕獲に向けた現状調査の実施、防鳥ネットの貸出、カラス対策に関する市の担当窓口の一本化を提言しました。当時は、ゴミステーションでの被害状況すら把握されていませんでした。
〇平成23年12月議会及び平成27年6月議会一般質問(←クリックするとコラムが開きます)で条例制定による対策の強化などを具体的に提言。
市民からの苦情が相次ぎ、条例の制定によるゴミ出しマナーの指導の強化、カラス除けの効果があるごみ袋に関する情報提供、実態調査の実施、巣の撤去の強化など対策の強化を提言しました。
◼平成29年度より、生息数等実態調査、巣の撤去の強化、タカによる追い払いを開始。
〇平成30年度に民生常任委員会管外視察を実施し、市に対して提言書(←クリックするとPDFファイルが開きます。)を提出。
民生常任委員会(当時は委員長)において、富山市の取組みの視察調査を実施し、捕獲ではなく、ゴミステーション対策の強化を常任委員会の総意として提言しました。
◼令和2年度より「折り畳み式ネットボックス」等の購入費の一部を補助する制度が開始。
・令和2年度当初予算(3月):1,004万円
・令和2年度補正予算(9月):1,182万円を増額
市が想定していたよりも購入希望者がはるかに高く、半年で倍増となる補正予算が組まれました。
これまで16年間、本会議等で主張してきたことの妥当性が証明されたと考えています。また、他の補助金については、予算で申請件数の上限を決められることが多いのですが、この補助金については、補正予算が可決したことにより通年で申請することが可能となりました。
今後、補助金の活用状況を見ていくとともに、ネットボックスの導入効果を検証する必要があると考えています。