ごみ収集の指定袋導入についてパブリックコメントが行われます。

2020年10月13日[カテゴリ:コラム, 環境衛生

 先日9日(金)に民生常任委員会が開催されました。
 
 委員会では、ごみ収集における指定袋の導入と分別区分と収集形態の見直しについてパブリックコメント(市民意見提出手続)を実施することが報告され、その内容について質疑を行い、意見が聴取されました。
 パブリックコメント(市民意見提出手続き)は、10月26日(月)~11月25日(水)の間、行われます。

パブリックコメント
 意見提出手続(パブリックコメント)とは、市が重要な計画などを立案する際に、情報を公表して市民の皆様から意見を募集し、その意見を計画などに反映させる制度のことを言います。普段、「パブコメ」と呼ばれています。
 市の計画などに対する賛否を問うものではなく、市が市民の皆様に対する説明責任を果たし、より公正で透明性のある市政を目指すとともに、市民の皆様の市政への参画を促進するための制度です。

 「賛否を問うものではない」とありますが、意見が募集される計画などが市議会での議決を伴う内容である場合は、議員が議決する際の判断に、影響を及ぼすことは言うまでもありません。
 
 まだ先のことも含めて、かなり大きな変更となりますので、ご意見があれば、是非、市に対して提出して頂きたいと思っています。そして、このパブリックコメントの結果を受け、市議会で条例が改正されると、指定袋の導入に向けて正式に動き始めることとなります。

指定袋導入の目的

市の説明では、指定袋導入の目的を、
1.ごみの減量化・資源化の推進
2.ごみの分別と適正排出の推進
3.ゴミステーション利用者の明確化(事業系ごみと生活系ごみの区別の強化)
4.ごみ収集作業の安全確保と効率化
としています。

1.ごみの減量化・資源化の推進
 自然環境の保全と資源の有効活用のために、大量生産、大量消費、大量廃棄は終えなければならず、ごみを減量していくことは時代の流れとなっています。また、ごみを減量できれば、将来的にはごみ処理経費の削減にもつながります。そこで、「西宮市指定」などの文字を印字した、透明もしくは半透明の指定袋を導入するということです。「指定袋にすることでごみ減量が促進される」という理屈はよく分からないのですが、すでに指定袋制を実施している他の自治体では、ごみが減量した実績が上がっているそうです。ただし、それぞれの自治体で、ごみ減量に向けて様々な取り組みが実施されていますので、単純に指定袋の導入とごみ減量の相関関係を証明することは難しいと思います。

2.ごみの分別と適正排出の推進
 そして、当然のことながら、指定袋にしたからといってごみが増えるわけはなく、もやすごみの収集袋を透明もしくは半透明の袋に指定し、適正に分別されていないごみが収集されないことになれば、分別が一層進み、資源化も促進されることは容易に想像がつきます。これまで分別をあまりしてこなかった人にとっては手間が増えますし、より安く指定袋を販売している店舗を探して購入しなければならなくなります。不法投棄やごみのポイ捨てが増えることも懸念され、対策を考えなければなりません。

3.ゴミステーション利用者の明確化(事業系ごみと生活系ごみの区別の強化)
 おそらく、既に家庭ごみの収集に指定袋を導入したり、有料化している近隣自治体の住民が、西宮市内のゴミステーションに、ごみを投棄するケースがあるようです。また現在、事業系ごみは有料、生活系ごみは無料ということで、ゴミステーションに事業系ごみが捨てられていることがある中で、透明もしくは半透明の指定袋に変えることで、不適正排出者への指導体制を強化することとしています。指定袋に入れて出されたごみを、袋の外から見て、市外在住者のごみや事業系のごみの見分けが容易につくものなのかどうかは分からず、期待できる効果は限定的と考えられます。

4.ごみ収集作業の安全確保と効率化
 半透明または透明の指定袋にすることにより、鋭利なものや発火の危険性のあるゴミが分別され、ある程度中身が見えていれば、収集作業員の安全が確保されることが期待されます。

有料化とは違います

 ごみ収集における「指定袋の導入」と「有料化」は別です。

 現在、西宮市では粗大ごみの収集は有料となっており、シールを300円で購入することで市に代金を支払っています。家庭ごみ収集の有料化は、このシールがごみ袋に変わるというイメージです。家庭ごみの収集を有料にしている自治体の場合は、袋1枚あたり数十円で販売されているそうです。袋代と販売委託料等を差し引いて、市にお金が入る仕組みになっています。

 現在、西宮市が予定している指定袋の導入は有料化ではありませんので、これまで購入していたごみ袋の販売代金が大幅に増額されることはないと予想されていますが、西宮市民だけのための特注品になるわけですから、袋の製造コストが上がれば一定販売代金も上がることになりますが、市の収入はありません。

 市内のスーパーやホームセンター、コンビニでも販売してもらえるとは思いますが、販売価格も取扱店もまだ全く分かりません。

ごみ分別区分の見直し

 指定袋の導入のほかに、もう一点、大きな変更を予定しているのが、ごみの分別区分の見直しです。令和8年度からの変更予定ですので、もう少し先の話になります。指定袋の導入と一緒にされているので、少し内容が分かりにくくなっています。

少しややこしいので、ざっと整理すると、現在の
1.もやさないごみとペットボトルの収集
2.紙類と古着の収集
の2点が変更されます。

1.もやさないごみとペットボトルの収集
 これまでの分別区分の「もやさないごみ」に「ペットボトル」が統合され、「缶・ペットボトル」、「びん」、「その他不燃ごみ」に細分化されます。
 そして、「缶・ペットボトル」と「その他不燃ごみ」はコンテナ収集から指定袋での収集に変わり、週1回の収集となります。つまり、「びん」だけが、これまでどおり週に1回、コンテナによるゴミ出しとなります。
 また、小型複合製品、傘、小型家電は、これまで「もやすごみ(普通のごみ)」として収集していましたが、この見直しにより、「その他不燃ごみ」に分別されることになります。今も、「もやさないごみ(コンテナ収集)」の時に出していたと思うのですが、変更後は明確に分別が必要となります。

2.紙類と古着の収集
 資源A(新聞、紙パック、段ボール、古着)と資源B(雑誌、チラシ、雑紙、紙箱)は統合され、資源(紙資源等)となり、週に1回の収集となります。
 出し方が分かりやすくなるとともに、収集頻度が上がり、分別しやすくなると感じます。

指定袋導入の実施はいつから?

 生活系ごみ、いわゆる家庭ごみについては、「もやすごみ」と「その他プラ」の収集が対象となり、導入は令和4年度からとなっています。
 事業系の「可燃ごみ」についても令和4年度から指定袋が導入されることになります。

 令和8年度に分別区分の見直しがされると、さらに、「缶・ペットボトル」と「その他不燃ごみ」も指定袋になる予定です。

 平成25年度に「その他プラ」の分別が始まった時のように、パブリックコメント終了後に条例が改正された後に各地域への説明会が実施される予定です。

考えられる課題

◼ゴミ出しルールの周知徹底が図れるか
 先日の常任委員会で示された資料を見る限り、知識が豊富な玄人目線で書かれている箇所が多く、分かりにくい部分が見受けられました。市民目線での説明に不安が残っています。

 指定袋に入れられていないゴミや、分別されていないゴミが入った指定袋のごみは、ゴミステーションに置き去りにされてしまう方針が示されています。

これまで、カラス対策のため、生ごみはよく水を切って新聞などで隠して捨てるようにお願いしてきましたが、
・新聞の中に、缶やペットボトルを包んで出された場合はどうするのか、明確にされていません。
・コンビニの袋に生ごみを入れて、指定袋に入れていた場合はどうするのか、明確にされていません。
指定袋導入後のトラブルを回避するために、指定袋導入後のゴミの出し方について、もう少し細かいガイドラインを示す必要があると感じています。

◼ルール違反に対する市の対応が心配
 また、ゴミステーションに置き去りにされたごみは、誰がどう処理をすることになるのか、市の対応が示されていません。指定袋を使わずにゴミステーションに置かれたごみ袋が収集されないのは当然のこととなります。ポイ捨て扱いです。また、適切に分別ができておらずに収集してもらえないこともあり得ます。

 これまで、カラスに荒らされたごみを片付けていたのは善意の市民です。荒らされたごみを出した人は、自分の出したごみがカラスに荒らされ、近所の方に片付けてもらっていることすら知らない人がほとんどだと思います。そうした状態を市が見て見ぬふりを続けてきたことから、これまで、実効性のあるマナーの啓発や指導を徹底するよう指摘してきました(←クリックするとコラム「カラス対策②」が開きます。)が、個別に原因者を特定して指導するというところまでには至っていません。
 指定袋が導入された後は、置き去りにされた袋を出した人が回収して、再度分別してから出してもらうのが理想ですが、それでは、晩まで放置されることになるなど、現実はなかなかそうはいかないことが予想されます。回収されなかったことに気がついた人が、次の回収日まで他人の出したごみを保管するどころか、分別し直して出さなくてはならなくなります。

 カラス対策に加えて、善意の市民にこれ以上負担を強いることのないよう、適合しないごみの回収についても、収集義務のある市に責任を取ってもらわなくてはなりません。一層のゴミ出しマナーとルールの周知徹底が必要であり、ルールを守らない人に対しては、市が指導を徹底し、違反者には厳しい処分がなされるくらいのことをしなければ、効果は上がらないと指摘しました。市による啓発や指導の効果が上がらないようであれば、ステーション方式から戸別収集に変更することも検討しなければならなくなります。

◼不法投棄の取り締まりが不十分
 最近、不法投棄に関するご意見を頂いたり、目にすることが増えています。不法投棄は犯罪ですから、警察との連携を強化して、防犯対策として、検挙率の向上に向けて市は取り組む必要があると考えています。

パブリックコメント

 パブリックコメントは市民にとって大切な手続きです。しかし、パブリックコメントは、数件の意見が提出されて終わり。ということが多々あります。しかも、集まった貴重なご意見に対して、市の回答が説明不足であったり、意見の主旨をくみ取らない回答をしたりすることが多々あります。それでは、意見を提出しても「どうせ無駄」と思われ、見向きもされなくなることは明らかです。むしろ、そのように仕向けているのではないかと感じることすらあります。

 市は「やっつけ仕事」でパブリックコメントを実施する傾向が未だに見受けられることから、これまで、パブリックコメントで寄せられたご意見に対する市の回答が、あまりにひどいものについては、回答を見直すよう委員会において指摘してきました。
 市はパブリックコメントの意義を広報するとともに、集まったご意見に対する回答や取り扱いを丁寧にすることで、パブリックコメントの機会を大切にする風土を醸成すべきと、機会があるごとに意見を述べています。

 今回のパブリックコメントも私たち市民生活に直接影響することですので、制度をより良いものとするためにも、より多くの方の知見を寄せて頂ければありがたいと思っています。

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