カラス対策②ー条例による対応

2012年3月23日[カテゴリ:環境衛生, 質問

カラス対策①の続きです。
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条例で様々なルールが規定されていますが、特に理念条例(違反時の罰則がないもの)に多いですが、形骸化してしまっているものがあります。ごみ出しについてのルール等が規定されている「西宮市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」には罰則規定がありますが、違反しても罰則のない条項も含まれています。その部分については、やはり形骸化していると感じます。

平成23年12月議会では、条例の実効性の視点を加えて、カラス対策の実効性の向上に向けて、市が取り組むべき対策について議論しました。

=======ここからが、本会議場での議論の概要========
平成23年12月議会一般質問

2.快適な市民生活の確保について

(条例制定による政策推進)
■質問の背景・田中の主張
ルールやマナーを守らない人たちによって迷惑を受ける市民がたくさんいます。ごみ出しのマナーを守らずにごみを出す人は、ごみを出してそのまま仕事に行くなど、散らかったごみの掃除どころか、カラスに荒らされていることすら知らない人たちではないかというふうに感じております。箕面市や東京都荒川区では、無責任なえさやりを禁止したり、カラスのえさとなるようなものを放置することを禁止する内容と罰則を規定した条例を制定しています。本市においては、快適な市民生活の確保に関する条例では、ごみのポイ捨てやたばこのポイ捨てを罰則つきで禁止しており、西宮市廃棄物の処理及び清掃に関する条例では、地域の清潔の保持を規定しております。(違反した際の罰則規定はありません。)

■質問3
こうした既存の条例の運用を強化するなどして、カラスのごみ荒らし対策に本格的に乗り出すべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問3に対する市の回答
西宮市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の第5条に、「市民の責務」と致しまして、ごみ出しのルールを守る旨の規定をしております。この条項に基づきまして、カラスの被害などで個々のごみステーションが荒らされているとの連絡を受けました場合は、啓発用チラシを配布し、被害を受けないためのごみの出し方の徹底をお願いしているところでございます。今後も、この条項に実効性を持たせるために、ごみ出しルールの周知徹底を行いますとともに、市と致しましても、さらなる啓発の強化に努めてまいりたいと考えております。

■市の回答を受けて
条例のことを今回取り上げたのですが、本市にはたくさんの条例があるわけですが、条項の中には形骸化していると思えるような部分もあります。啓発についてもなかなか効果が上がっていない地区がたくさんある中で、啓発を強化するという御答弁があったわけですが、私にとっては少し分からないところがございます。
それは(効果の薄い)チラシをもっと配るということなのか、その辺がよく分からなかったのですが、啓発は、効果が上がらない方法で幾ら続けても効果は期待できません。

■再質問2
現在、「西宮市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」がありまして、第3条で「市の責務」として、第3項に「清潔の保持に関する市民及び事業者の意識の啓発を図るとともに」、その「自主的な活動を促進するよう努めなければならない。」と書いてあります。そのあと、つらつらと書いてありまして、第5条「市民の責務」として、これもまた抜粋になりますが、「地域の清潔の保持に関し市の施策に協力しなければならない。」とされております。
その次の第6条において、「清潔の保持」を規定しており、基本的には管理者がきっちりと清潔の保持をしなければならないと謳われています。

この条例は、清潔だけではなくて、ごみの減量など、様々なことが一般廃棄物、産業廃棄物について規定しています。後のほうには罰則規定もありますが、今言った条項(第5条)については、市民の責務が守られていない場合にはどうするのかということは、特段規定されていません。そうした中で、現在は啓発をしているわけですが、その啓発の効果がどうしても表れないといった場合には、市として、啓発以外にどのようなことが考えられるとお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

■再質問2に対する市の回答
カラス対策、清潔の保持につきましては、市民への啓発、これを基本として考えてまいりますが、それ以外にも、御指摘にもありましたごみ袋での対応、もしくは条例における対応、様々な対応があると考えておりますので、様々な観点から対応を検討していきたいと考えております。

■まとめ・要望
様々な観点からということで確認をさせて頂きました。
啓発は、すぐに効果が現れるといったような事業ではないとは思いますが、ご答弁頂いた内容を検討して頂いて、手を打って頂きたいと思います。

=======ここまでが、本会議場での議論の概要========

私は、

・市民が清潔の保持に努める=ゴミ出しマナーを順守する。

・ゴミ出しマナーを守らない人がいる=清潔の保持に支障をきたす。

市は、清潔の保持がなされないゴミステーション(苦情が出たゴミステーションなど)が発生した場合や、ゴミ出しのマナーの改善が見られない場合は、その原因者を特定しなければならない=市の責務。

市は、原因者に対して、直接、勧告や改善命令をしなければならない=市の責務。

それでも改善されなかった場合は、市は、氏名の公表や科料の徴収など罰則を科す。

・罰則を科した後の状況を見て、効果検証をする。

この流れを条例で定めるべきであり、それができないのであれば、啓発ではなく、他の方法でゴミステーションの清潔を保持する方法を検討しなければならないと考えています。市にとっては、「原因者の特定」という新たな仕事が発生するので最初は抵抗があるとは思いますが、本来は原因者を特定して直接啓発しなければ、啓発の効果などあがるはずがないのです。

今回は、再質問をすることで、条例における対応も含めて「検討する」という回答を得ることができました。

市が実効性のあるカラス対策を講じるという「政策」を実現するために、今後の市の対応を注視するとともに、条例改正もしくは新たな条例を議員提案することも検討しなければならないと考えています。

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