指定ごみ袋の導入を3ヶ月延期ー場当たり的すぎる対応

2022年2月22日[カテゴリ:コラム, 環境衛生

 現在、市政・市議会報告第65号を配布しています。その中で、先月のコラムで掲載しましたが、今年の4月から導入される予定でした指定ごみ袋について令和3年12月議会で取り上げて議論したことを掲載しています。

 令和3年12月議会では、指定ごみ袋については、まだまだ周知が図れていないことや収集されないごみの基準があいまいであること、収集されなかったごみの対応がはっきりないことや周知が図れていないことなど準備不足が否めないことから少なくとも激変緩和措置期間を設けるべきと指摘していました。

 そして先週16日、指定ごみ袋の導入が3か月間の“暫定措置”期間を設け、7月から実施されることが発表されました。

 フェイスブックやインスタグラムでは投稿しましたが、こちらでも掲載したいと思います。私のチラシをご覧いただいた方や市政報告会にご出席いただいた方には申し訳ございませんが、チラシの発行が1月時点の情報ということでご理解いただきたいと思います。

 今回指定ごみ袋への完全移行が延期された理由は、端的に言うと、コロナの影響で「指定したごみ袋の流通が間に合いそうにないから」ということになります。

なんでもコロナのせいにして終わらせるべきではありません。


分別されていない市の公園のごみ箱

 まず、ごみ袋の流通が間に合わないのではないかという懸念は十分にあり得たことであり、昨年の3月の条例改正の審議の際にも委員から指摘があったことです。もともとスケジュールに無理があったのです。
 市長が議会からの指摘にちゃんと耳を傾けていれば、こんな直前になっての判断をすることは避けられました。
 市政ニュースにも掲載したばかりでしたし、「ハローごみ」も配布し終わっています。啓発のためのサンプルと一緒に配布する啓発文書も差し替えが必要になっていると思われます。
 
 また、今日の本会議において、一言一句違わずメモが取れたわけではないですが、「ごみの集積場にコンテナを用いているマンションのごみについては、そのコンテナからパッカー車に直接ごみを投入するため、指定袋の使用の有無は確認ができず、いったん収集してから、どこかでいちいち確認して、守らていないごみが出されたマンションを特定して啓発する」というようなことを市は答弁していました。つまり、戸建てのごみステーションの対応とコンテナ収集をしているマンションのごみ収集の対応が異なることも明らかになったのです。

 そもそも、
・いったん収集したごみを“毎日”どこで、「指定ごみ袋を使用していないごみ」を確認できるのか、
・指定ごみ袋を使用していないごみを排出しているマンションを完璧に特定することができるのか、

 私たちは知らされていません。
 
 仮に指定ごみ袋使用していない家庭があるマンションを特定できたところで、そのマンションのごみを残置するような措置をとることはしないでしょうから、その後の啓発だけでは効果は限定的だと想像されます。つまり、コンテナ収集のごみは、指定袋を使用していないごみが紛れていても、収集してもらえる期間が続くことになります。であれば、コンテナ収集のごみも、一つ一つ確認して指定袋を使用していないごみを残置するのが公平です。手間がかかりすぎますが、指定ごみ袋を導入するからには仕方がないのです。

 それをする覚悟が市にないのであれば、戸建てのごみステーションに指定袋を使用していない袋が紛れていても、いったん収集してから後日啓発する方法をとるのが公平ですし、そうすれば、残置したごみを再度収集して回るという無駄な経費の増加が不要となりますし、不衛生な状態を放置することも避けられます。

 とにかく制度設計が雑過ぎます。


ごみステーションのあり方も課題だと考えています

 ちなみに、令和3年12月議会一般質問(←クリックするとコラム「指定ごみ袋の導入を3ヶ月後に控えて①」が開きます。)で市が回答した「指定ごみ袋を使用していれば、仮に黒いごみ袋に入ったごみをそのまま指定袋に入れていても当面は収集する」という状態ですが、先日開催した意見交換会に参加して頂いた方から写真とともに情報をいただきました。名誉のために市の名前は明かせませんし、写真をアップすると市が分かってしまいますので掲載できませんが、すでに指定袋を導入している市では、個人のプライバシーを守るために、黒いごみ袋に入れたごみをそのまま指定袋に入れてごみを出す方が少なくないとのことです。そうしたことを知っている市民も少なくないようです。

 私は、こうした現状を勘案すると、指定ごみ袋の導入はいったん断念して環境学習都市らしく丁寧に全市民的な議論を展開し、大半の市民の理解が得られるまでこれまでのごみ袋と指定ごみ袋を併用する形で徐々に移行を促していくべきだと思いますが、今の市長には、こうした意見を受け入れる姿勢は見られません。

 そして、ごみを分別する意義、資源の有効活用について、もっと私たちが実感の湧くような、危機感を持てるような事実を情報提供するなど、啓発の方法を考え直すべきです。分別されたごみの量やその行き先すら私たちは知らされていません。啓発事業における「お役所仕事」を放置しているようでは、先は暗いと言わざるを得ません。

 あと、ネットボックスの導入が進んでいますが、カラスに荒らされたごみの散乱が未だに目につきます。また、せっかく分別したその他プラごみが風で飛ばされて川に落ちている場面も目にします。


公園のごみ箱を撤去してもポイ捨てが増えると本末転倒

 ↑チラシを持ってまち歩きをしている最中にごみが散乱した公園のごみ箱を見つけたのですが、軍手を取りに帰っている間にどなたかが掃除してくれていました。

 市民に負担を強いるのであれば、もっと本気で対策を講じる市役所の意識改革が不可欠だと感じます。

フェイスブック投稿より

■2月16日投稿

環境学習都市。

西宮市では、4月1日から指定されたごみ袋で出さないと収集してもらえなくなる予定でしたが、市は6月30日まで延期することを決めました。
これまでに、多くの市民の皆様から指定ごみ袋導入に対するご指摘を頂いてきましたので、昨年12月6日に行いました12月議会一般質問でも、まだ準備不足なので激変緩和措置期間を設けた方がいいと市に対して指摘していました。
https://masatake.jp/9573 もご覧ください。

それから2ヶ月以上が経過して市が延期を決めた理由は、指定するごみ袋の流通が遅れ、4月までに購入できない状況になる可能性があるからだそうです。
質問で懸念していたこととは異なりますが、もっと根本的なことで準備不足です。

そもそも、環境問題に関する取組みは市民の理解が不可欠ですから、もっと全市民的な議論を経てから導入に踏み切るべきでした。

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