夙川オアシスロード
夙川の左岸堤防のうち、国道2号以南から大阪湾に至る区間は、歩行者専用になっており、この道路を「夙川オアシスロード」と名付けています。現在、夙川の桜並木は自動車通行する区間も含めて「さくらの名所100選」に選ばれて多くの方に親しまれています。普段は地元住民の散歩コースにもなっています。
夙川オアシスロードが実現してから今年で50年を迎えることを、昨年の秋に住民の方から頂いた1通のメールで知るに至りました。50年前はまだ私は生まれていませんし、西宮在住歴も20年そこそこですから、当時の様子は分かりません。市役所にも資料がほとんど残っていないそうです。
オアシスロードが実現する前の1960年代と言えば、高度経済成長期の真っただ中です。どんどん車が増える中で、車の通行を止めて歩行者専用道路にするためには多くのハードルがあったと想像しますが、地域と行政が合意するまでにどのような経過を歩んだのか、その時代の背景や実現するまでの取組みを学習する必要性を感じました。
そして、後世の多くの方から愛されるような桜並木を夙川の堤防に創った先人もすごいですが、50年後に現在のような憩いの道となっていることを想像してまちづくりに取り組まれたのだとすれば、本当にすごいことだと感じます。今の政治に欠けていて、是非とも持たなければならない視点、発想だと感じています。
昭和46年8月1日から夏休みの1ヶ月だけでも子どもたちが思い切り遊べるようにと、夙川東岸道路の内、国道2号-香櫨園浜間の約1.3kmから自動車を締め出し、「緑の散歩道」として開放しました。
その試みが大変好評だったことから、9月以降も夙川オアシスロードとして開放され、人々の憩いの場となりました。
西宮市は、私が初当選した年の平成15年12月に環境学習都市宣言をしました。全国初の宣言であり、議員総会を開いて議会が承認するという手続きを経て宣言することが決まりました。議員総会が開かれること自体珍しいことです。そして当時は、「環境学習」の概念が明確に私たちと共有できていたとは言い難く、そうしたことを都市宣言することに対するイメージもしづらく、本会議では様々な議論が行われていたことを思い出します。
環境学習都市を宣言してから17年が経過した現在も、先人の環境の取組みと言ってもいい夙川オアシスロードの歴史について知らないことが多すぎると感じています。そこで、3月の予算審査の際に環境学習を担当する部署の認識を問い、今年度せっかく「ゼロカーボンシティ」を表明したわけですから、「環境学習」の一環として、啓発につながるアクションを起こすよう提案しました。
====予算分科会での議論の概要====
予算特別委員会民生分科会 環境局に対する質疑より
■質問の背景
(令和3年度予算に計上されている)環境計画推進事務経費と環境学習都市推進事業経費に関連して、これら環境基本計画に関連することとしてお尋ねしたいと思います。
夙川の堤防の国道2号以南がオアシスロード(歩行者専用道路)に設定され、車が通らなくなってから今年で50年という節目になるということでございます。こちらは、50年前のことですので、正直、私も資料等を集めようと思ったのですが、なかなか見つからず、当時の経緯等もよく分かっていないところがございます。そして、環境学習都市宣言をしていることや、環境計画の中でも「自家用車の利用抑制」などの取組みも含まれているということからも、啓発につながるような記念事業を検討してはどうかというご意見も地域の方から伺っています。
■質問
西宮市は何か御検討されているか、また、環境学習の観点からこのオアシスロードの取組みをどのように認識されているのかお尋ね致します。
■市の回答
夙川のオアシスロードの関係ですが、申し訳ございません、あまりその辺に関して問題意識というものは正直持っておりませんでした。もうすぐ環境学習都市宣言から20周年ということになろうかと思いますので、2023年度に20周年ということになりますので、我々としては、そこを節目に何らかの事業をやりたいなというふうには思っているところです。
夙川に関しては、桜の保護活動とか交通政策の部分もございますし、あとはバーベキュー禁止地帯と書いた公園の利用上のマナーというところもありますので、一定、地域の皆さんと協働しながら環境問題に取り組んでいただいたというような認識は持っておりますが、オアシスロード50周年というのは正直認識はございませんでした。申し訳ございません。
■意見・要望
オアシスロードにつきましても、せっかく市民の皆さんと夙川の環境保全に関して協働していただいている部分もございますので、先ほど環境学習の周年としては20周年が2023年度ということでしたが、やはりオアシスロード50周年というのは地元の方からすると非常に大きな節目だと思います。今からでも間に合うこともあると思いますので、地域の皆さんと協働して何か環境学習に役立つような記念事業を検討していただきたいと要望しておきたいと思います。
====ここまでが予算分科会での質疑の概要====
コロナ禍で様々なイベントが延期や中止となっているなかではありますが、地元の方々と西宮市との協働で何らかの記念事業が実現されるよう、今後も市に対して情報の収集を促したいと考えています。
そして、私もほんの微力であったとしても、50年後の後世に、すばらしい住環境、社会を残せるような仕事がしたいと27歳の時に抱いた志を、コロナ禍の混乱の中、改めて思い返しています。
このコラムをご覧頂いて、情報をお持ちの方がいらっしゃったら、事務所までご一報いただけましたら幸いです。