公共施設のLED化推進計画の策定ー垣間見える「お役所仕事」

2021年4月30日[カテゴリ:コラム, 自然環境

 3度目の緊急事態宣言が発出され、4月25日(日)より再び制限が強化されました。ゴールデンウィークに、人が遊びに出かけることを抑制することを目的としていると思われますが、仮に仕事が休みになって通勤等の人流が減ったとしても、ゴールデンウィーク明けにはまた、仕事が待っており人流は元に戻ります。
 新型コロナウイルスの騒動が始まってから1年以上が経過し、相変わらず、客観的なデータや事実はあまり表に出されず、「何となくそんな感じがする」という希薄な根拠に基づいた「場当たり的」な対応が続いています。
 
 期間限定で、無理やりにでも「PCR検査の陽性者」を減らそうとすることにどのような意味があるのか、その点を広報しない限り、これまで1年以上マスクを強要されながら続けてきた我慢の生活も限界を迎えつつあるなかでは、効果が上がるとは思えません。こんな状態がだらだらと続けば、今度こそ、緊急事態宣言の出口は見つからないのではないかと危惧しています。
 そこでもう、ワクチンに頼るしかないという空気になってきていますが、このワクチン接種推進政策についても、これまでの国の対応を鑑みると、まだまだ情報が少なすぎることもあり、今のところ、私は接種する気にはなれません。自分の体にこれまでになかった「遺伝子情報」を投入するそうですし、世界で初めての試みということですからなおさらです。ワクチンの接種は目的やリスクも知ったうえで本人同意のもとで接種して頂くことになっていますので、「今のところ」という条件付きですが、まだ誰にもお勧めもしていません。
 求める効果とリスクについてよく考える必要がありますが、長くなりそうですので、次回以降のコラムで掲載できればと思っています。 

 そして念のため。西宮市では、先週4月18日(土)~25日(日)の1週間に301名(市外在住の方は19名)の方の陽性が発表され、その前の週4月11日(日)~19日(土)の276名(そのうち市外在住の方は34名)と比較すると、まだ、増加傾向は続いています。さらにその前の週4月4日(日)~10日(土)は176名(そのうち市外在住の方は14名)でしたので、4月から法に基づいて適用された「まん延防止等重点措置」が、何ら客観的な分析や根拠にも基づかずに規制の内容が決められていたことが証明されてしまったと思っています。

 私は、昨年の今頃からずっと主張してきたことですが、特効薬がない見えないウイルスにちゃんと向き合うためには、感染の動向や症状、事実を徹底的に可視化して、私たちがその情報を共有して行動するしかないと今でも思っています。行政が中途半端に情報を隠し続けて感染者数や検査数、病床の稼働率など漠然とした情報だけを開示してきた結果、デマも含めて様々な見解や差別だけがまん延する結果となってしまいました。

 これまでの1年間の対応と結果を振り返り、いよいよ根本的な対応の見直しが迫られていると感じています。もちろん、ロックダウンすべきとか、再び8割接触削減すべきということではありません。もっと根本的なことです。

 1年以上もの間、向き合ってこられた民間の医療従事者の皆様には、この場を借りて心からの敬意を表したいと思います。

照明器具のLED化

 さて、前置きが長くなりましたが、先日のコラム(市営住宅共用部の照明器具のLED化)の続きを掲載したいと思います。

 最近、温室効果ガスの抑制に関する報道をよく目にしますが、自然環境を守るための対策には費用と労力を要することを覚悟しなければなりません。SDGsの推進が声高に叫ばれ始めましたが、そこには、「これまでの生活様式ががらっと変わってしまう」というくらいの、相当の覚悟が必要だと改めて実感しています。
 現在、コンビニのレジ袋が有料化されましたが、値段は数円です。しかし、将来的には300円とかにならないとは限りません。たばこも昔と今では扱いも金額も全く異なったものになり、価値観も変わりました。全く関係ないことですが、見えないウイルスに対する対応と、見えない温室効果ガスに対する対応についても、一定の共通項があるように思っています。

 今年の2月に、西宮市も今はやりの「ゼロカーボンシティ」を表明しましたが、この政策が、市の財政にどのような影響を及ぼすのか、市民生活にどのような影響を及ぼすのか、市から全く説明がされていない、発信されていないことに違和感を覚えています。
 この政策は市民のコンセンサスを得なければ何の意味を持ちませんし、そのコンセンサスを得るためには説明が不可欠です。

 今回のコラムで掲載します「照明器具のLED化」は、環境対策としては比較的手を付けやすい取り組みではありましたが、もうすぐ蛍光灯の発売が終了するという時期すら見え始めていて、今ごろ「計画」を策定するというものであり、「公共はやっぱり遅い」との誹りは免れないと思っています。しかし、やらなければなりません。

 なお、西宮市では一部の公共施設ではLED化され、また、公園の照明灯や街中の防犯灯はLED化が完了し、道路照明灯については全体の85%がLED化されています。これらは、道路照明灯が平成30年度に約7.5億円の予算、公園灯が同じく平成30年度に約4.7億円の予算、防犯灯は平成28年度にESCO事業により約1億円の予算で実施されました。

 そして、令和3年度予算に、残る公共施設の照明器具のLED化を推進するための計画策定に要する費用(公共施設LED化調査等委託料200万円)が計上されましたので、先日の3月議会では今後の計画推進の予定を確認しました。
 
====令和3年度予算審査における議論の概要====

西宮市議会予算特別委員会民生分科会質疑
令和3年度予算(環境局分)について

■質問
 令和3年度には、「LED化計画」の策定を予定されているということです。これまでは、公共施設マネジメントの考え方の下で「公共施設等総合管理計画」が策定されて、取組みが行われてきたわけですが、この公共施設のLED化計画の対象施設に、学校や市営住宅(共用部)が含まれているかどうかを含めて、その対象施設はどこまでが入っているのかというところを教えていただきたい、併せて、おおむね何年ぐらいでその切替えを完了しようと考えてこの計画を策定されるのか、お尋ね致します。

■市の回答
 LED化につきましては、現在、いつまでにという設定というのは令和3年度に行いますので、まだどういうスケジュールで実施するとかというのは決まっていないのですが、国のほうは2030年度までに流通ベースでも完全にLED化を進めるというところがございます。
市としましては、LED化を前倒しすればするほど、省エネ、電気使用量の削減ということにつながりますので、できるだけ早くとは思いますが、市が直接工事をするとすごく時間がかかってしまいますので、例えばリースであるとか、ESCOというような手法がいろいろとありますので、どれが最適かというところを令和3年度で検討していきたいと考えております。

 その計画の対象ですが、市民や市職員が常時使用する場所ということで、例えば廊下、トイレ、集会室、会議室というところは対象に含んでおりますが、倉庫や書庫は除くということにしております。
 教育施設は入れております。これは温暖化計画の立てつけなどもあるのですが、温暖化計画の事務事業編の対象が個人の生活につながるような部分は除くということで、市営住宅は対象外ということにしておりますので、基本的にこのロードマップの作成に市営住宅は入っていないということになります。
 ただ、市営住宅の担当課とも意見交換していく中で、住宅部分のLED化について問題意識を持っているということですので、市全体のロードマップづくりと合わせて、都市局になりますけども、協議を進めていければと思っています。

====ここまでが予算審査の議論の概要====

 「LED化を前倒しすればするほど、省エネ、電気使用量の削減ということにつながります」と市は答えましたが、であれば、「なぜもっと早くに計画的に進めなかったのか」、「17年前の平成15年12月にわざわざ環境学習都市宣言をしていたのに」という思いは拭えません。

 そして、令和2年12月議会での本会議一般質問「3.市営住宅について(イ)共用部照明器具のLED化」の私の質問に対して、市からは「省エネルギー推進や電気料金節減などの観点から、全庁的なLED化に向けての取組みの中で、市営住宅としましても計画的な更新について検討してまいります。」との回答を得ていました。
 しかし、市営住宅の管理の担当は都市局になり、LED化の担当である環境局が令和3年度予算で策定しようとしている推進計画の対象には市営住宅が含まれていなかったことが判明し、環境局からは「協議を進めたい」との回答に留まりました。

 これらのやり取りだけでも、西宮市の「縦割り行政」の体質、電気代を賄う「税金に対する意識の低さ」、これらをまとめて「お役所仕事」の体質が垣間見えたと言えます。これらは、いちいち私たちが指摘しなければなかなか解消されません。今後も、注意が必要だと思っています。

 今回のコラムは以上で終わります。

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