西宮市でのワクチン接種の準備状況等ー続報

2021年4月21日[カテゴリ:コラム

「人間には努力してできることと、どうしてもできないことがある。」
 当たり前のことですが、この「当たり前のこと」をときどき見失って、相手に過剰な期待をしてしまいます。
 
 さて、兵庫県もまた、緊急事態宣言の発令を国に求めることを決定したようです。

 西宮市では、先週4月11日(日)~19日(土)の1週間で新たに276名(そのうち市外在住の方は34名)の方の感染が確認され、その前の週4月4日(日)~10日(土)の1週間が176名(そのうち市外在住の方は14名)でしたので、さらに大きく増加したことになります。これは、2件のクラスターが発生したことも多少ですが影響しています。
 そのうち1件は、高齢者約40名の方が参加した日帰りバス旅行の参加者等のうち14名の方の感染が確認されてます。何台のバスで旅行をしていたのか、どのような感染拡大防止対策を講じていたのか等は分かりませんが、色々な事情や見解があって開催されたのだろうと想像されます。

 相変わらず、マスクの有効性やこの感染症の対応に関する多種多様な見解が存在することで、私は新型コロナウイルス感染症に正しく向き合うことができているのか不安になります。
 気温が温かくなってきたら、感染は拡大しても症状は軽くなるのではないかという根拠のない希望に期待をしたいところでしたが、重症者数は西宮市内でも徐々に増加しています。また、陽性率も上昇し続けており、昨年の4月の陽性率に近づいてきています。
 西宮市としては、大阪府や兵庫県に合わせて医療機関がひっ迫していると危機感をあおることで感染拡大防止を促そうとするのもいいのですが、もうその手法も限界を迎えつつあります。
 公立病院である市立中央病院に莫大な市税を投入し続けてきたわけですから、限界があるとはいえ、こうした事態になっている以上、1年以上前から主張してきた通り、さらに体制を整えるという行政の努力も必要であると思っています。
 

ワクチンの準備状況

 このような中、期待だけが膨らんでいるワクチンの準備状況について、先日のコラム(←クリックすると4月11日のコラムが開きます。)からの続報がありましたので掲載します。掲載が遅れましたが、4月15日に送られてきました現時点での最新の情報です。

市からの連絡の抜粋
◼住民接種用ワクチン供給スケジュール
(4月のワクチン供給)

4月12日の週:975回接種分
4月26日の週:975回接種分
4月のワクチン供給量合計:975人分
高齢者全体に対する供給率0.8%

↑ここまでは先日のコラムと同じです。

 なお、4月の供給量が極めて少なかったことから、まずは、高齢者施設での接種が実施されることが決まっていましたが、以下の日程が決まっています。
4月19日:にしのみや苑にて約120人接種
4月19日の週:特別養護老人ホーム メヌエットにて約190人接種
4月22日:第2シルバーコースト甲子園にて約235人接種
接種者数は施設従事者が含まれています。

市からの連絡の抜粋
◼5月のワクチン供給
令和3年4月8日 厚生労働省健康局健康課予防接種室発「新型コロナワクチンの割り当て手続きについて」通知を基に供給量を人口比で推定
5月3日の週:1万1,700回接種分
5月10日の週と17日の週:4万6,800回接種分
5月24日の週と31日の週:4万6,800回接種分
5月のワクチン供給量合計:5万2,650人分
高齢者全体に対する供給率44%

◼ワクチン接種券発送日
発送日:令和3年4月21日
対象者:令和3年4月2日において本市の住民基本台帳に登録されている高齢者(昭和32年4月1日以前に生まれた方)
対象者数:約12万2,000人

先日のコラムを掲載した時点よりも大幅に増加しています。また、具体的に発送日が示されました。
 本日発送ですので、多くの方には、今週にはお手元に接種券が到着すると思われます。
 接種開始日については、市内の医療機関での個別接種と特定の場所での集団接種があり、混乱を招いてはいけませんので、送られてくる接種券に記載されている情報をご覧頂ければと思います。
 集団接種の予行演習については、令和3年4月30日に、接種会場である山口ホールで実施される予定です。

 特に、民生委員をお引き受けいただいている方々には、日頃の相談業務など高齢者との接触が多くなることを考慮して、接種を希望する方には優先的に接種できるようにするべきと思います。

西宮市災害対策本部会議(4月12日開催)

市からの議事録の報告(抜粋)
1.本市の感染再拡大の状況について
・すでに県下はすべての指標がステージⅣの状況である。
・感染者は大阪府と兵庫県で第3波のピークを超えている。本市もピークであった1月11日と同じレベルの数である。
実効再生産数は、1.1を超える状況が1ヶ月続いているのは過去にないことで深刻な状況である。
・県内の療養者は2500人に達している。本市では4月5日~4月10日で1日あたり20人ずつ増えており、すでに300人を超えているだろう。

2.県本部会議(4月9日/第44回)の決定事項について
4月7日からまん延防止等重点措置の見回りを、県が外部委託で行っているが、要請に応じない店舗(困難事例)については、今週から県職員と市職員の2人のチームで、2回目の見回りを行う予定。
・GWにおける医療体制の確保として、4月29日~5月5日の外来診療、検査医療機関、薬局の診療・営業に、運営に要する経費として1日あたり1万5,000円を支援。
・感染拡大防止に向けた対策として、宿泊療養施設を姫路市内に新たに1施設150室を確保し、計約1150室の運用を行う。宿泊療養施設のうち2施設(姫路市・西宮市)に医師を派遣し、安心して療養できる環境を確保する。
医療機関の負担を軽減するために、65歳未満の陽性者もしくは子育てや介護等の特別な事情があり宿泊療養に適さない者などで、無症状または軽症等で自宅で感染対策が行なえる者を対象に自宅療養を実施することになった。

3.新型コロナウイルス感染症対策に関する職員の動員について
5月1日以降、保健所における感染者対応業務、ワクチン接種業務、低所得の子育て世帯対象の給付金交付業務、中央病院における医療従事者向けワクチン接種業務の各業務において職員の増員を行う。
・保健所においても第4波への対応として、保健所の通常業務の中止・見直し、新型コロナウイルス感染症関連業務の見直しにより保健所内で応援職員を確保する。
・変異株のウイルスによる急激な感染拡大を防止するため、3密の状態が生じる恐れのあるイベントや事業のあり方を見直すとともに、今後本格化するワクチン接種に向けた体制強化等、感染症対策に係る職員の動員に対応するため、庁内各局の業務の進め方について、以下の方針で取り組む。
①感染拡大防止の観点から、半年以内に予定している各種イベント・行事等は原則中止または延期する。
②法定業務以外の緊急性が低い業務や市民生活に直接の影響が少ない業務で、半年間業務を繰り延べても特段の支障を生じない事務事業は極力中止または延期する。
上記①②は、政策局・総務局と各局とのヒアリング・調整を踏まえ、市長が判断する。
④今後の状況に応じて増員規模を段階的に拡充する可能性があることを想定しておくこと

4.その他
・宿泊療養も市民が75人待機の状況。
・中央病院は、軽症から中等症の患者を受け入れているが、現況では中等症でも重症に近くなっており、逼迫している状況である。
救急搬送では自宅や宿泊療養からの救急搬送要請が増えている。
・感染対策の徹底を呼びかけるポスターを作成し、公共施設のほか市の掲示板で広報する予定。
・庁舎管理課でCO2センサーを購入したので、密になりがちな執務室や会議室での換気の目安に活用してほしい。

 市立中央病院は逼迫しているとありますが、市立中央病院の稼働病床193床のうち、新型コロナウイルス感染症の患者を何名受入れができているのかについては、頑なに公表されません。公表して何か状況がいい方向に変わるわけではなく、公表することでのデメリットの方が大きいと判断しているのだと思います。

 保健所設置市である中核市は、ワクチンの接種の対応と感染症患者の対応の両立が最優先事項となっていますが、だからと言って、むやみに公務員を増やすべきではありません。それは、後の市民の負担として跳ね返ることが目に見えているからです。

 感染症対応を始めてから1年以上が経過化して、囲み内に記載のある通り、「半年間繰り延べても特段の支障を生じない事務事業」の洗い出しについては完了しており、あとは市長が選定するのみの様子です。この際、患者数が収束した後の事務事業の見直しや民間との協働、委託の推進にもつなげていくべきです。

 西宮市は、昔からとにかく公務員を増やそうとする傾向があります。昨年より行政経営改革を進めている西宮市ですから、混乱の乗じて感染症と全く関係のないところで高給厚遇の市職員を増やすようなことのないよう気を付けてもらいたいところです。

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