2021年5月20日[カテゴリ:コラム]
緊急事態の時こそ市の広報が重要
昨年の今頃、緊急事態宣言が発出されたのが今年より少し早かったことや、学校が休校になり8割の接触削減を目標に国民が行動したこともあり、陽性者数は減少し、5月21日に兵庫県は緊急事態宣言が解除されました。
今年も、緊急事態宣言が発出され、昨年とは対応が異なる中でも、すでに、陽性者数は減少傾向に入っています。そして、ワクチンについては、5月17日時点で国内で約664万回接種され、総人口の約1.57%方が2回の接種を完了しているそうです。
前回のコラムでは、新型コロナウイルスワクチンについては、主に厚生労働省が発表している情報を知った上で国民は接種を判断した方がよいと考え、掲載しました。
私は医療の専門家ではなく、寄せて頂く様々な情報を勘案し、市の政策を判断する役割を頂いていると思っていますので、国が進めている政策の中で、それぞれ置かれた環境が異なる個人個人のワクチン接種の判断に関与することはできないと思っています。
ただ、新型コロナウイルス対策がワクチン頼みになっている現在の政策には違和感を頂いており、今後のことを一定想定しながら市の政策を考えなければならないという視点で様々な情報を集めています。
最近、ワクチン接種による副作用に関する情報が出てくるようになりましたが、これまでの陽性者の後遺症に関する情報や無症状のまま治った人の人数、年齢等についてはデータが見当たりません。断片的に誇張された情報だけでは誤解を生むことにもなりますから、新型コロナウイルス感染後の後遺症について、公的な機関による調査結果を探しています。
ワクチン接種によって後悔することのないよう正確な情報を得ておくのと同様に、新型コロナウイルスに感染してから後悔することのないように、感染症に関する正確な情報を知ってもらって対策を呼び掛ける必要があるように感じます。
単に「命を守る行動を!」と呼びかけても、0.0067%の状態ではなかなか響かないと思います。
これは昨年からずっと主張していますが、市の広報による事実の情報開示が重要であり、客観的なデータがあってこそ、感染予防対策の啓発の説得力が増すものと思われます。
ワクチンを接種しても感染防止対策が必要
「ワクチンを打てば、マスクをせずに遊びに行ける!」、「ワクチンを接種することによってコロナ前の元の生活に戻る!」と期待している方も多いのではないかと感じています。しかし、厚生労働省が作成したパンフレットには、ワクチン接種後も「マスクの着用など感染予防対策の継続をお願いします。」とあります。
このため、引き続き、皆さまに感染予防対策を継続していただくようお願いします。 具体的には、「3つの密」の回避、マスクの着用、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒の励行などをお願いします。
残念なのですが、これがまだ現実です。
ワクチンを接種したくても健康上の理由で接種できない人やワクチンを接種するのが怖い人がいることも忘れてはいけませんし、ワクチンの効果の持続期間が分かっていないことも忘れてはいけません。
この厚生労働省の呼びかけが誤解を生み、いずれワクチン接種に対する同調圧力に変わることを懸念しています。すでにその兆候がありますので。
前回のコラムにも掲載した通り、ワクチン接種により集団免疫が獲得できるかどうかは分かっていません。ですので、ワクチン接種によって目前のリスクが低減できる方々、元々不安を感じていなかった方々、元々重症化リスクの低い方々、いろいろいらっしゃる中で、全ての年代の全員が接種をするべきという同調圧力によって接種が強要されることは行政として絶対に防がなくてはなりません。
厚生労働省発行のパンフレットの1ページ目に「新型コロナワクチンは、発症を予防し、重症者や死亡者の発生をできる限り減らすことを目的にしています。」と書かれているのです。
自治体は、こうしたワクチン接種の本来の目的を誤って受け取られることのないよう、しつこいくらいに紙媒体を使って広報・啓発しておく必要があると考えています。
また、続けるべきとされている感染予防対策に「マスクの着用」があります。
先日、学習への影響や感染症以外の健康被害や脳の発達に影響があるという情報があり、せめて子供たちに一律でマスクの常時着用を指導する対策は見直すべきではないかというご意見を頂きました。
マスクの常時着用の習慣が定着してから1年が経過しましたが、学校では、今年の2月に改訂された「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」や今年4月に改訂された「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル(ver.6)」に基づいて子供たちに指導が行われています。
これらの内容は細部にわたっているので、保護者や周辺住民の皆様に広報するには相当の工夫が必要です。しかし、このことについても、同調圧力によって根拠のない一律の対応を強いられることがあってはならないと思いますので、指摘があった際に地道に説明できるようにしておくしかないと感じています。
なお、西宮市では
他の人との距離が十分に取れる場合は、マスクを着用しなくても構いません
マスクをはずした時には、咳エチケットやおしゃべりに気をつけましょう
とあります。
今後、長時間のマスク着用による学習効率や精神面への影響、脳障害や肌あれなど身体へのマイナスの影響が出ている可能性が明確に否定できないのであれば、極力子供の生活の様子や健康実態に照らして、屋内においても、一定の科学的な根拠に基づいたきめ細かな対応を検討して実行していかないといけないと考えています。
そして、世間の同調圧力に悩んでいる方、ストレスを感じている方が少なくないということを認識して、納得の得られる説明の必要性を改めて実感しました。
ただ、私自身は普段、外出時にはマスクを着用していますし、議会の会議ではマスク着用が必須となっています。
ワクチンの効果の持続期間は未だ不明
報道によると、海外のデータでは、半年以上効果が持続しているそうです。半永久的に持続する可能性もあるのか、はたまた、仮にいつか効果がなくなるとしたらいつ頃で、再び接種しても副反応は変わらないのかなど、分かっていないことだらけです。
また、今回のワクチンで作られた免疫が働かないような変異株が現れた場合は、その時点で効果はなくなったに等しくなります。そのことが分かるのは、ワクチンを接種した方が感染して重症化した時なのかもしれませんが、ワクチン接種者の割合(5月17日時点で2回接種完了者約1.57%)や感染確率(5月18日時点で約0.55%)から考えると、有効性95%の残りの5%だったのか、変異株の特性なのか、判別するのに時間を要しそうです。
そして、仮に1年とか2年というキリのいいタイミングで免疫がなくなることが分かれば、対応は比較的しやすいですが、持続期間には個人差があって「半年から1年くらいで効果がなくなる」というようなあいまいなものになるかもしれません。
「ワクチンを接種したから大丈夫」と思って安心して生活をしていると、気が付かないうちに効果がなくなっていて、感染して発症し、そして重症化してしまうということも可能性としてはあり得ると思っています。「免疫がまだありますよ。」という信号が目に見えて分かればいいのですが、今のところ、毎日抗体検査でもしない限り分からないわけですから、ワクチン接種後も研究データを注視しながら生活をする必要があると言えます。
ですので、効果の持続期間がはっきりすればテレビで取り上げられるとは思いますが、それまでは特に、自治体からの紙媒体での広報はこまめに行わなければならないと思います。
(追記)
今回のコラムは、本日5月20日の午前中に投稿したのですが、その日の夕方に、ウイルスの細胞への侵入を阻害する役割をもち、感染を防ぐ働きをすると言われている「中和抗体」に関する情報が報道されていました。
横浜市立大学の研究チームが、昨年の2月から4月に新型コロナウイルスに感染した方から本年3月までに採決した約250例を調査した結果、感染から1年後でも、97%もの方に「中和抗体」が残っていたことが分かったそうです。
(追記終わり)
新型インフルエンザ等感染症の対応
新型コロナウイルス対策がワクチン一辺倒になってしまっていることに危うさを覚えます。
これまで新型コロナウイルス感染症は、「指定感染症」に分類して対応されてきました。しかし、この対応は最長で2022年1月31日までという期限があり、今年の2月13日に「新型インフルエンザ等感染症」という分類に改められ、現在のような対応が続いています。
昨年12月31日までの国内でPCR検査陽性となった方は、総人口の約0.19%、およそ500人に1人の割合でした。今年に入ってから、まだ5月18日時点ですが、国内でPCR検査陽性となった方が、すでに約0.365%、270人に1人という割合に急増しています。
問題はお亡くなりになった人数です。昨年12月31日までにお亡くなりになった人数を陽性者数で割ると1.45%でしたが、今年に入ってからは1.83%に上がっています。今年に入ってから日本の総人口の0.0067%の方、およそ15000人に1人の割合になりますが、お亡くなりになりました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
経済、生活を相当犠牲にしてもこのような状態ですので、今後の感染防止下での経済対策の検討とこれまで対策の検証は急務だと思います。
昨年から目先の対応に追われ、昨夏の準備期間の想定の甘さが露呈し、現在は、ワクチン一辺倒になるなど、反省して検証・改善すべき点は多々あると考えています。
現在の安全性を最重視する日本の医療では、ワクチンを接種するだけもひと苦労で、緊急事態の際には、歯科医師や薬剤師の方々の手を借りないとできないことも分かりましたし、15000人に1人の割合で亡くなってしまう感染症がまん延するとたちまち医療崩壊を起こしてしまうことも経験しました。
治療薬や有効な治療法の確立が待たれるところですが、医療の安全性の確認を考慮すると、まだまだ先のことと想定しておかなければなりません。
しかし一方で、この1年以上に及ぶ制限の強化と緩和の繰り返しにより、医療従事者を始め、多くの国民が疲弊しています。
現在は、緊急事態宣言の出口を模索していると思いますが、国内でワクチン接種が始まった現在、緊急事態宣言の出口の検討で終わるのではなく、医療体制や新型コロナウイルスによる重症化率など、現在の感染症対策の「出口」の基準を決めて、そろそろ国民に示すべき時期ではないのかと感じています。