9月議会報告ー意見書案の提出

2023年9月22日[カテゴリ:コラム, 防災対策

 18年ぶりに、阪神タイガースがリーグ優勝しました。
 甲子園球場があるまちの住民としても、本当にうれしく思います。
 フェイスブックに投稿しましたので、以下もご覧ください。

 さて、西宮市議会では、9月19日に9月議会の前半が終了しました。

 今定例議会では、私が所属する会派「政新会」から、国に対して意見書案を提出していました。
 選挙後でしたが、市民からご意見を伺って、他の自治体議会で可決していた意見書を参考にして文案を作成し、会派の理解と協力を得て提出に至りました。

 内容は、耐火、断熱、防音等を目的に1960年代、1970年代に大量に使用された、アスベストの除去に関するものです。
 
 1960年に制定されたじん肺法で健診が規定された際には、すでに石綿も対象に入っていたそうです。そして、私が生まれた年の1975年にアスベストの使用に関する規制が始まり、それから徐々に規制が強化され、2006年以降は完全に使用禁止となっています。使用完全禁止まで30年。。。
 
 「危険性が分かっていたのであれば、大量に使用される前に使用を禁止してくれていれば。。。」という思いはぬぐえません。
 
 1960年代に建設された建築物も60年以上が経過して建て替えも始まり、現在は、除去作業に関する規制が強化されていっています。

 以前に安井小学校の建替え工事の際に、レベル3建材のアスベストの除去作業が工事に含まれており、事前説明会の際に声をかけていただいた市民の方からも、アスベストの危険性や除去工事のあり方について情報提供を受けたことをきっかけに関心を強め、令和3年6月議会一般質問において、その情報を参考に発言したこともありました。

 今回は、また別の方からの情報提供でさらに調査を進める機会を得ました。
 
 これまでは、公共施設や大きな建築物に目が行っていたように思いますが、私たちが普段使っている身近な建築物、戸建ての住宅に使われている建材にも含まれているかもしれないアスベストの対策について意識するようになりました。

 提案していた意見書案は以下の通りです。

意見書原案

建築物石綿含有建材 事前調査及び除去費用の国民への周知と国民負担軽減措置を求める意見書(案)

 昭和45年から平成2年にかけて年間約30万トン、平成16年までに約1000万トンものアスベストが諸外国から日本に輸入され、主に建材として使用されてきた。そして現在、アスベストの使用等が全面的に禁止となった平成18年9月1日以前に建設された既存の民間住宅の解体・改修工事におけるアスベスト暴露による健康被害が懸念されている。

 国の補助制度として、社会資本整備総合交付金の「住宅・建築物安全ストック形成事業」があるが、①対象建材が吹付け材(レベル1)などに限定され、②補助金額が費用の一部になっているなど、極めて不十分な制度となっている。また、一般住宅や小規模ビル等で使用されている石綿建材の多くは、成形板(レベル3)であり、戸建てや小規模ビル等では実質使えない制度となっている。

 また、アスベスト関連法(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)が改正され、大気汚染防止法においては、すべてのアスベスト含有建材が規制対象となり、令和4年4月からは事業者が実施したアスベスト有無に関する事前調査結果について行政への報告が義務付けられ、その対象工事は、80平方メートル以上の解体工事又は100万円以上の改修工事であり、大多数の解体・改修工事が対象となっている。

 国は規制の強化を打ち出しているが、調査・除去費用は建物所有者である国民が負担することとなる。アスベスト含有建材の調査や処分には多額の費用が必要となることから、その負担を避けるために無届けや違法工事が横行するようなことになれば、国民や解体・改修工事事業者の健康被害につながることが懸念される。また、アスベストの健康被害やアスベスト関連法の改正、そして、調査・除去の義務化、その費用の施主負担について、国民への周知が不十分であることも課題である。

 よって、国におかれては、アスベストの対応について、国民全体で正しく向き合える環境を整備するため、下記の事項に取り組まれるよう要望する。

‐記-

1.アスベストの健康被害やアスベスト関連法の改正について再度、国民に周知すること。
2.アスベスト含有建材の有無の事前調査とアスベスト除去の費用については施主負担であることを国民に周知すること。
3.国土交通省「住宅・建築物安全ストック形成事業」にある「住宅・建築物アスベスト改修事業」について、一般住宅にも使えるよう、レベル3建材までの調査・除去費用を補助対象とし、制度を拡充すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

政新会

 他の会派の方のご理解もいただいて議会運営委員会からの提案となり、全会一致で可決していただきました。
 
 市民を代表する地方議会から国の政策に対して意見書を提出できる権利は地方自治法で定められています。もちろん、いち地方議会で可決した意見書を受けて国の政策が動くかどうかは分かりませんが、今後もアスベストに関する動向を注視しなければならないと思っています。

 アスベストについては、どれくらい吸い込んだら危ないのかがいまいちはっきりしないまま、吸い込んでいたら数十年後に中皮腫や肺がんなどの肺に関する疾病を症する可能性があると言われています。

 見えないだけに恐怖を感じます。

 使用禁止となり除去作業が始まってから10年以上が経過したわけですが、まだまだその実態が広く認識されているとは思えません。
 
 厚生労働省のデータによりますと、令和4年の中皮腫による死亡者数は1554名だそうです。年間の死亡者数が約156万9千人でしたから、割合がものすごく高いわけではありませんが、平成7年の中皮腫による死亡者数が500人だったそうですから、約30年間で3倍に増えたとみることができます。

 そして、アスベストが使用された時期、それを吸い込んでからの潜伏期間を考慮すると、これからも増え続けることが懸念されています。

 そのような中、令和2年に大気汚染防止法が改正され、一定規模以上の住宅の改修や建替え等の解体工事をする場合に、これまでは義務化されていなかったレベル3の建材のアスベストの有無について調査し、その結果の報告義務や飛散防止対策の法定化など段階的に強化されてきました。

 これまで対策が講じられてきたレベル1の建材は、石綿を吹きつけただけのような最も飛散しやすいものであるのに対して、レベル3の建材は、成形板など最も飛散しにくいものではあるものの、含有量が少ないわけではないそうで、地震等で建物が壊れてしまうと飛散してしまうことも懸念されます。

 一刻も早くアスベストを取り除いて不安をなくすのが理想ですが、自分の家にアスベストが使用されているかを調べるだけでも費用が必要であり、除去工事を行うとなるとさらに多額の費用が必要となると、今のところ、単にアスベストを除去するだけの工事が行われるとは思えません。

 建て替えや大規模改修時に除去を進めるしかなさそうです。

 大気汚染防止法の改正の概要を記しておきます。

大気汚染防止法の改正概要
(1)規制対象の拡大
 規制対象について、石綿含有成形板等を含む全ての石綿含有建材に拡大
(令和3年4月1日~)
〇大気汚染防止法で定める特定建築材料が「吹付石綿その他の石綿を含有する建築材料」に拡大。
〇すべての石綿含有建材の除去等作業について、作業基準の法定化及び作業計画作成の義務付け。

(2)事前調査の信頼性の確保
 石綿含有建材の見落としなど不適切な事前調査を防止するため、石綿含有建材の有無にかかわらず、元請業者に対して一定規模以上等の建築物等の解体等工事について調査結果の都道府県等への報告を義務付け、調査の方法を法定化

(令和3年4月1日~)
〇解体等工事に係る石綿の事前調査の方法を法定化。
〇解体等工事の元請業者は、石綿の事前調査に関する記録を作成、保存。保存期間は解体等工事が終了した日から3年間。

(令和4年4月1日~)
〇石綿含有建材の有無にかかわらず、都道府県等へ調査結果の報告を義務付け
報告対象:
1.床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事
2.請負代金の合計額が100万円以上の改修工事
3.請負代金の合計額が100万円以上の省令等で規定された工作物の解体又は改修工事

(令和5年10月1日~)
〇解体等工事に係る石綿の事前調査は、建築物石綿含有調査者等の一定の知見を有する者により実施することを義務付け

(3)直接罰の創設
 石綿含有建材の除去等作業における石綿の飛散防止を徹底するため、隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った者に対する直接罰を創設

(令和3年4月1日~)
〇法で定める方法により除去作業を行わなかったとき、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金。
〇元請業者及び自主施工者だけでなく、下請負人についても作業基準遵守義務が適用。

(4)不適切な作業の防止
 元請業者に対し、石綿含有建材の除去等作業の結果の発注者への報告や作業に関する記録の作成・保存を義務付け。

(令和3年4月1日~)
〇元請け業者に対して、石綿含有建材の除去等作業結果の発注者への書面での報告を義務付け。
〇元請業者は、特定粉じん排出等作業の記録及び上記の書面の写しを保存。保存期間は解体等工事が終了した日から3年間。
〇特定建築材料の除去等の完了後、有資格者による目視確認。

(5)その他
 都道府県等による立入検査対象の拡大、災害時に備えた建築物等の所有者等による石綿含有建材の使用の有無の把握を後押しする国及び地方公共団体の責務の創設等
〇都道府県による立入検査対象の拡大。元請業者等の事務所も立入検査の対象。
〇災害時に備え、建築物等の所有者等による石綿含有建材の使用有無の把握を後押しする国及び地方公共団体の責務の創設。

 以上の通り、コロナ禍で注目が感染症に向いていた最中に、アスベストに関する規制は非常に厳しくなっています。今後、国民に大きな影響を及ぼすことになると感じています。
 ですので、これらのことを、業者のみならず、住宅の所有者である国民に対しても周知を強化することと、対策に必要な費用の補助を国の責任において実施することは非常に重要と考えています。

 国土強靭化を掲げる国の責任において、一刻も早くレベル3の建材も対象にした調査や除去工事に対する支援策も用意していただいて、まちの安全性を高めてもらえることを願っています。

フェイスブックより

■9月14日(木)投稿

11日(月)、一般質問を終えました。
くじ引きで一般質問の順番が最後となり、土日を挟んで一人だけの質問でしたので、何か、ちょっとやりづからったです。
しかし、選挙に当選して、本会議で一般質問ができる時間としていただけるのは4年間で416分、約7時間しかありません。
再びこの場で発言できることのありがたさをかみしめながら質問を進めました。
行政は、一度始めた政策や事業を、効果の検証をせずにやりっぱなしにするクセがあります。また、政策の目標を達成するための手段だったはずの事業が、現場ではいつの間にか事業を回すことが目的化する傾向にあります。各項目での質問を通じて、指摘をする内容が多かったと思います。
私は、「お役所仕事」と呼んでいますが、自分の活動のなかでも、気を付けないといけないことだと思っています。。
詳細は、後日、少しずつホームページに掲載します。
本会議終了後、教育こども常任委員会の正副委員長会議で常任委員会の進行を確認し、午後からはその常任委員会に提供する資料の準備をして過ごしました。
晩は、神戸で行われた、かだ裕之参議院議員の政経セミナーに出席し、北村滋さんの経済安全保障についての講演を拝聴しました。

■9月15日(金)投稿

18年ぶりに、阪神タイガースがリーグ優勝しました。
「アレ」が終わり「優勝」が解禁され、昨日の関西は大盛り上がりでした。
12日(火)に、用事で甲子園口に行ったのですが、すでに商店街には優勝のフラッグが掲げられていました。

私が西宮市議会議員に初当選した年に、阪神タイガースが今回と同じく18年ぶりにリーグ優勝をしました。
あの時も町中がものすごく盛り上がっていて、当時の他自治体の若手地方議員の方々とともに、阪神甲子園駅の前で街頭演説をし、試合を見に行く前のお客さんの前で「選挙に行こう!」と訴えたことを、20年がたった今思い出していました。

「野球はお客さんから声援を受けて選手は頑張れます。そして選手の活躍は、お客さんを楽しませるとともに、元気づけ、時に感動を与えてくれます。一方で、政治はどうなのか。。。政治もまずは投票に行くことで、みんなの手で、変えなければいけない!」そんなことを訴えていたと記憶しています。
当時、財政難で財政改革に取り組んでいた西宮市は、市民の皆さんにいろいろと我慢を強いていたこともあって、優勝パレードなどの大きなお祝いはできませんでした。

改革の結果、平成20年以降、立ち直りつつあった財政状況でしたが、また再び、西宮市の財政には暗雲が立ち込めています。
今年は、文教住宅都市宣言から60年、環境学習都市宣言から20年の節目の年なのに。。。関係ないか。

昨日は、熱戦が繰り広げられた甲子園球場の対面にありますホテルヒューイット甲子園で、西宮甲山ライオンズクラブの理事会と例会を行い、今後の奉仕活動について協議、検討していました。
地元ライオンズクラブにもっと会員がいればな、、、とか思いつつ。
阪神タイガースの皆様、関係者の皆様、そして、ファンの皆様、18年ぶりの優勝、誠におめでとうございます。

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