公立病院の経営に関する勉強会の開催

2012年2月16日[カテゴリ:医療政策

現在、市立中央病院の移転問題が市の大きな課題となっていることは
ご存じの方が多いかと思います。
先週火曜日に、「公立病院の経営改革について」と題して、
全議員を対象に、議会内での勉強会を企画し開催しました。
そして、横須賀市の2つの市立病院の経営を指定管理者として受託している
公益社団法人地域医療振興協会の常務理事で
「横須賀市立うわまち病院」の病院長でいらっしゃる先生を講師としてお招きしました。

今村議員のご紹介で昨年末に、12月議会の休会日を縫って東京へ行き、
民間の指定管理者の視点での公立病院の経営について
その先生から色々とご教示いただきました。

そこで得た情報を、議会全体で共有した方が、より深い議論ができる可能性が高まると感じ、
今回の勉強会を企画しました。
本来は、 病院問題特別委員長として、特別委員会を開いて講師をお招きし、
講演を聞いた後に議員間でも議論して公式の議事録も残るような形で行いたかったのですが、
特別委員会でそういったことをすることの是非の議論や
講師謝金等の予算を獲得するまでの時間の猶予がなかったため、
全議員を対象に自由参加の形式で開催することにしました。
今後、議会改革の観点からも、各常任・特別委員会での実施も含めて、
このような勉強会が議員発でどんどん企画・開催されれば、
もっと議会が活性化すると思っています。 以下が、 私からお願いした講演の内容です。

■公立病院の指定管理者を受けて
目的:西宮市の新病院基本構想に書かれた 経営改善の取り組み」についてのシミュレーション等の 実現可能性を判断する材料とするため。
・指定管理者を受ける前と受けた後の横須賀市立病院の経営状況について
⇒具体的な数字の変化(売上、経費(人件費、材料費など項目別で)、患者数の動向、病院スタッフ数など)
⇒給料削減、人材確保、スタッフの配置の効率化の状況
⇒患者数が増加している要因
⇒議員が見逃しやすい着眼点など
・指定管理者のメリット/デメリットについて
※西宮市では、指定管理者制度のメリット・デメリットを以下のとおりとしています。
メリット=経営の自由度が高く管理者の手腕が最も発揮できる
デメリット=継続に関するリスクはぬぐい難く、実現には課題が非常に多い
(この点が非常にあいまいになっていますが、最大の課題に職員組合との交渉があります)
として、指定管理者制度の導入を却下。
経営形態は地方独立行政法人が好ましいものの、
5年以内の黒字化が困難ということで兵庫県に認めてもらえない見込み。
よって、全部適用によって経営改革を行う方針となっています。

■地域医療において公(基礎自治体)が果たすべき役割について
○目的:西宮市南部地域には総合病院が多数存在し、県立病院もあるなかで、 市が果たすべき役割が本当に「救急とがん治療」への特化なのか。それだけならば、数ある総合病院、医師会と連携して、市は補助金を出すことでその機能を補完できないものか。などの疑問をもう一度検証するため。

■一般的な病院経営改革と西宮市新病院基本構想についての所見
○目的:今後の基本計画策定のための予算(約3000万円の見込み)が 計上される予定であり、その前提となる今回の基本構想案の是非について考えるため。
・地方公営企業法の全部適用による経営改革ついて
・新病院の規模について
・経営改善策について
・診療科について(救急とがん治療に特化することについて。そのために必要な診療科とは?など)
・初期投資について(特に投資限界(採算性)の考え方、簡単な積算方法)
・「地元医師会とのかかわり」について この内容に沿ってお話いただきました。

そして、これまでこうした勉強会は、
私が初当選する前にも議会としては経験がなかったみたいで
会場の設営や事前に配布すべき資料の選定など手探りで進め、
なんとか、全議員の半数となる21名の議員と関係職員の方にご出席いただいて
無事終えることができました。
しかし、各会派の視察や研修の日程と調整をすることができなかったこともあり、
病院問題特別委員会の委員10名の内参加者が私も含めて4名でしたので、
特別委員会で議論することはできないと思います。

参加者の皆さんが それぞれどのような感想をお持ちになったのかは分かりませんが、
今後の議論に役立ててもらえることを願っています。

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