感染症拡大防止に対する本気度ー情報開示が肝要

2020年4月14日[カテゴリ:コラム, 危機管理

休業補償と制度検討段階での財政情報の開示


今の政府の対応は、「本当に緊急事態だと考えているのか」と不信感を抱かせてしまいます。
兵庫県知事は休業要請をする施設を発表しましたが、休業補償はせず、協力して頂いた施設への独自の支援を検討すると発表しました。「独自の支援」。

休業補償については、兵庫県がどのくらいの試算をしたのか定かではありません。現在を、緊急事態、災害ととらえ、国の交付金のみではなく、限界はあっても、積極的な財政出動の姿勢も期待されているものと思います。早く具体化して頂きたいと思います。

仮に西宮市が、休業補償ではなく、国が制度化を進めている間の不安に対する支援金を支給するとしたら、どの程度の財源が必要なのか。粗すぎる計算ですが、平成26年(現時点で最新)の商業統計調査の数字を用いて計算してみます。
統計によると、西宮市内の商店数が約2400件、従業者数が24,000人いらっしゃるそうです。すべてが休業対象となるわけではありませんが、仮に従業者お一人あたり10万円の計算で支援金を商店に支給しても24億円です。
阪神淡路大震災以降、20年以上かけて財政健全化を進め、次の災害に備えて貯金もしてきましたので、これだけであれば、西宮市は借金をせずとも、対応不可能な数字ではではありません。他の支援に要する費用と合わせて、検討すべきであると思っています。

このような試算を情報開示して頂きたいと強く感じます。

特に、国に対してそう思います。
「休業補償」に対して躊躇している理由、情報は全く開示されていません。

今は、
「まだほとんどの国民が感染の実感が沸いていない中ではありますが、全員が一致団結して外出をしないでおきましょう。」
「あなたは無症状でも感染している可能性もあるので、他人にうつさないために外出を控えましょう。」
などと呼びかけることしかできていない状態が続いています。

しかし、いくらまじめな日本人とはいえ、これだけでは、1ヶ月ももたないのはもう明らかです。
これだけ感染者が増えてしまうと、長期化は避けられないと、誰もが感じ始めています。

金銭上の支援は不可欠な状態になっています。しかも早急に。

「休業補償」の定義をはっきりさせずに、しばらく国と知事が協議してきたようですが、休業をお願いする事業の中には、1ヶ月の売り上げが「億」を超えるところも当然多数あるでしょうし、「百万円」単位のところもあり、金額が幅広くなります。休業に伴って材料を納入する事業者など連鎖して影響を受けています。それも対象に入れる必要もあります。

私がお話を伺ったお店では、経費だけで月に1500万円かかっているとのことなので、売り上げはそれ以上ということになります。その売り上げの減少分を公平に補償するとなると、直接休業対象となる事業者とそれに伴って影響を受ける事業者数に収入減少額をかければ、一体いくらになるのか、「兆」の単位ではすまないのは想像に難くありません。

テレビを見ていると、「国がもっとお金を出すべき、法律を変えないといけない」など指摘されていますが、多くの国民はまだ冷静だと思っています。
政府はとりあえず「休業補償は様子を見ます」など、あいまいなことしか説明していないことに問題があるように思います。

ずばり、休業補償を躊躇している理由を説明するべきです。

①休業補償をするとなるとどのぐらいの事業者が影響を受け、どのくらいの費用が必要となるのか。
②その財源を生み出すためには、法律改正を含めて何をする必要があるのか。
③その財源を生み出すことで、その後の国民の生活にどのような影響が及ぶ可能性があるのか。

これらの情報が具体的には分かっていません。

「打ち出の小づち」があるわけではないので、最終的には、その財政運営のツケは国民に回ってくる、国民はそれも薄々感じている人が多いと思います。
私はそれでも、目の前の国民の命を救うために本当に必要なことであれば、「やる」と決断するのが政治だと思っています。

スピードが必要です。

ですので、
仮に、すぐにお金を一律で支給できないならとりあえず貸す。

現在、様々な融資制度が用意されており、無担保のものや、信用保証料や利子を市が全額負担する制度も用意されています。
しかし、「運転資金を借りて事業を続けて、コロナが終息しても、これまで以上の売り上げが見込めるわけでもなく、返せるあてが見込めない。」ということで躊躇していると聞いています。

ですので、今回休業せざるを得なくなった事業者に対しては、返済支援に関する方針だけでも示して、融資を受けてもらって、この難局を乗り切るしかないと感じています。
この返済免除など制度設計には、少し時間も必要だと思いますので、あとは政府を信用するしかありません。

信用を得るためには、とにかく説明をすることだと思います。

私たち多くの国民には公式な情報がなかなか伝わってこないので、検討課題を含めてこまめに会見を開いて説明してほしいです。法律改正が必要なのであれば、そのスケジュールも説明してほしい。
国民の大半は一緒にコロナウイルスと戦おうとしてくれているわけですから、必ず思いは伝わると思っています。

現在は、国民のセーフティネットとして、憲法で保障された生活保護があります。
補償に係る経費と生活保護費の増加を比較した時、生活保護費であれば、国の負担は半分となり、都道府県と市町村にも負担を求めることになります。

しかし、私は、地方も一定割合負担してでも、上に書いた「貸付+返済免除」方式での災害援護貸付を実施するべきと考えています。
生活保護のハードルはリーマンショックの時に下げられましたが、一度、今の仕事を取り上げられて生活保護を受ける環境になると、これまでの実績から見ても復活することが厳しくなると国民は不安を抱き、自立の意欲もそがれる可能性が高まるからです。

国の緊急事態宣言が出された段階で、国も地方自治体も市民も、覚悟を決めないといけないと思っていました。「国民・市民にだけ覚悟を決めろ!」と言っても、これは反発が出て当然のことだと思います。

緊急事態宣言が発出された以上、いい加減、覚悟を決めるべきです。

徹底した感染拡大防止はできないのか-課題の共有

続いて、疫学的な感染拡大防止対策の強化も必要だと思っています。
しかし、日本では「都市封鎖はできない」とも説明されています。

であれば、感染拡大を抑えるためには、感染している可能性が少しでもある個人が、外出して絶対に他者に感染させることがないような環境を作っていくべきであり、そのためには個人に対して徹底的に情報を開示して行動抑制をしてもらうしかありません。

今回の新型コロナウイルスは、潜伏期間や無症状病原体保持者の存在と、対策が後手に回っていることにより、隔離しきれていないと思われます。

「検査陽性でも無症状」の方がいることが判明し、無症状病原体保持者からも感染が広がっている可能性が否定できないにもかかわらず、無症状病原体保持者が他人に感染させてしまうことへの対策は、これまでは「全員の自粛の呼びかけ」しか、手を打てていないと言っていいと思っています。

そこで、「感染している可能性が少しでもある人には、とにかくPCR検査を実施して、陽性の方を隔離、その濃厚接触者の行動を制限をする」という検査の強化が考えられます。しかし、無症状病原体保持者が一体どれぐらいいるのかわからないような状態で、検査件数や隔離する場所など、物理的に限界が生じる可能性が否定できない段階に入ってしまっていると思われます。(これも正確な情報が開示されていません。)

ですので、せめて、現在の濃厚接触者と定義されている対象範囲(←クリックするとコラム「オリンピックの延期ー感染拡大を抑制するためにもっと情報開示を」がご覧頂けます。)を大幅に広げて、感染している可能性がある人の外出抑制を強化するべきです。

昨日の時点で、兵庫県では、人口10万人に対して約7人の方の感染が確認されている計算になります。

全員を対象として自粛を呼び掛けている間に、隔離対策を強化するべきです。

市からの報告

さて、市からの報告を掲載します。緊急事態宣言下でも冷静です。
私がいろいろと心配し過ぎなのかな?とか思ってしまいます。

昨日は、朝と晩に会議をしたそうです。

市は、申請の受付体制(人と場所)を強化する備えが必要と考えられます。迅速に市独自の支援金の支給も検討するべきです。

受付時の行列や混雑を避けるため、市民館、共同利用施設、市民交流センター、公民館、芦乃湯会館・大黒会館、若竹生活文化会館、男女共同参画センターウェーブの会議室等の予約受付業務も休止されます。

=====市の会議報告(4月13日(月)21時30分)=====
1.第52回新型コロナウイルス感染症対策本部会議(8時~)
・昨日発出された県の対応発表を受けて以下の項目について議論をした。
①市職員の勤務体制について
→市職員の在宅勤務や時差出勤などについて議論
②事業者への休業要請について
→県の休業要請内容が確定した場合の市としての対応について議論
③市民対応について
→感染予防のための窓口業務等の工夫や広報について議論

1.第53回新型コロナウイルス感染症対策本部会議(17時~)
・本日(4/12)の検査結果は5 件中、全て陰性であった。
・昨日の相談件数は、健康医療相談が109件、一般電話相談が99件。融資等相談件数が46件であった。
(本日16時現在の健康相談が16時現在151件、一般電話相談が200件)
※健康相談151 件中、124 件が受診方法に関する相談
本日より学校での預かりを開始。利用者は5割程度であった。
・緊急事態宣言発令に伴う市の業務体制の見直しと、市民・事業者への来庁自粛依頼について協議。
→感染症対策の強化と感染拡大防止に向けて、緊急性の低い業務の縮小や職員の勤務形態の変更を可能とする。
→市民に対しては来庁を極力控えてもらうよう呼びかけるとともに、時差出勤で手薄となる時間(10時迄と16時以降)を外して手続きを済ませてもらうように依頼する。
※来庁不要の手続きを市HPの緊急サイトでもアナウンスする。
集会室等の利用休止に加えて、一部の施設の予約業務を4月15日から5月10 日まで休止する。〈決定〉
・本庁舎の喫煙所を閉じる事とする。〈決定〉
添付資料

=====市の会議報告(4月13日(月)21時30分)=====

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