オリンピックの延期ー感染拡大を抑制するためにもっと情報開示を

2020年3月25日[カテゴリ:コラム, 危機管理

今年の一番最初のコラムのタイトルは、「オリンピックイヤー」でした。

そのコラムはこちらから。
↑クリックするとご覧いただけます。

そのコラムでは、2021年5月に開催予定の「ワールドマスターズゲームズ関西2021」について書き、昨年12月議会一般質問で取り上げたスポーツ推進について、西宮市との議論の内容を掲載しました。

そして、昨晩、開催が危ぶまれていた「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の1年程度の延期が決定とのニュースが入ってきました。多くの方が、薄々、延期せざるを得ないのではないかと感じていたと思いますが、正式に決定すると、やはり残念であり、影響の大きさを感じざるを得ません。

しかし、今回の正式決定は、中止ではなく、「延期」ということです。
代表に決まっている選手、大会開催に向けて準備に携わっている関係者の方々は、様々な調整が本当に大変かとは思いますが、私たち応援する側は、来年に向けて希望を持ちたいと思っています。

オリンピック前の地震を不安視する指摘はありましたが、まさか、このような感染症、パンデミックによって延期という事態になるとは想像できていませんでした。

とにかく今は、皆が最善を尽くすしかありません。

そのよう中で、西宮市在住の方で7人目と8人目の感染が確認されたとの報告がメールで流れてきました。
まずは、西宮市議会議員宛てのメールをご覧ください。

文書のコピーの下もコラムを続けますので、続いてご覧下さい。

=======7例目の方に関する報告文書のコピー(24日(火)19時30分)======

新型コロナウイルス感染症の患者の発生について(7例目)

3月24日(火)、西宮市内で7例目の新型コロナウイルス感染症の患者の発生が確認されました。引き続き、濃厚接触者の把握を含めた積極的疫学調査を進めています。

(1)年 代 : 20歳代
(2)性 別 : 男性
(3)職 業 : 医師
(4)居住地 : 西宮市内
(5)経過・症状
3月19日 市内A医療機関に出勤(以降出勤なし)
帰宅後、熱感あり
3月20日、21日
発熱38度台から39度台
自宅にて安静(外出せず)
3月22日 市内A医療機関を受診
検体採取
3月24日 PCR検査陽性確定
(6)濃厚接触者の有無 :濃厚接触者について調査中。
(7)その他:3月9日市内A医療機関にてコロナウイルス陽性患者(市内5例目)に対応。
3月20日以降自宅療養。同居人無。徒歩にて通勤、発症後公共交通機関利用なし。渡航歴なし。

※ 患者、家族の人権尊重・個人情報保護にご理解とご配慮をお願いします。 また、施設等に風評被害がないよう特段のご配慮をお願いします。
以 上

=======ここまでが、7例目の方に関する報告のコピー========

この期に及んで、「施設等に風評被害がないよう特段のご配慮をお願いします」とは。。。
決まり文句みたいにして報告文書に掲載しているのが丸わかりです。西宮市の誰がこの文書を流す前にチェックしているのだろうか。本当にいい加減にしてほしいです。

ニュースでは、きっちりと「兵庫県立西宮病院の医師」と流れていました。
なぜ、このように情報の取扱いがいい加減というか、マチマチなのか、理解に苦しみます。
上記のとおり、市からの報告文書には「市内A医療機関」としか記載がありません。

3月15日(日)の市からの報告(←クリックするとご覧いただけます。)に、「情報発信のあり方を検討する」とありました。
西宮市はこの10日間何を検討していたのか、成果が見えられません。

そして、病院からは以下のように説明がなされています。

=======兵庫県立西宮病院ホームページより=======

職員の新型コロナウイルス感染と感染防止の取り組みについて (お知らせ)

3月24日、当院職員(研修医)が新型コロナウイルスに感染していることが判明しました。当院では、これまでもマスクの着用や手指消毒の徹底など感染防止に取り組むとともに、職員全員、毎朝の検温を実施し、健康管理を行っています。

今回の職員の感染を受け、当該職員が立ち入った箇所の消毒を実施するとともに、濃厚接触のあった職員については、接触のあった日から2週間の自宅待機としています。

また、当該職員が接触した患者さんについては、適切な感染防止策を講じているためご心配はありませんが、念のため、健康状態について個別にお問い合わせさせていただいています。

当院としましては、これらの対応を踏まえ、引き続き感染対策に万全を期し、通常どおり入院及び外来診療を行っています。
皆様にはご心配とご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い致します。
令和2年3月25日
兵庫県立西宮病院長 野口 眞三郎

=======ここまでが、発表文書のコピー======

また、新聞には「感染防止対策は十分に行っている。患者への感染、院内感染の可能性は極めて低い」と病院が説明していると掲載されていました。
さらに、「研修医や院内での感染防止策は十分だったとし「研修医は人が密集するような危険な場所に出掛けたことはないものの、院外での感染も排除できない。」と病院が述べたと掲載されていました。

市からの報告文書に戻ります。
その他として、「3月9日市内A医療機関にてコロナウイルス陽性患者(市内5例目)に対応。」とあります。
5例目の方の情報は、一番最初のものですが、こちらのコラム(←クリックしてご覧ください。)に掲載しています。
その後、情報が追記されています。
3月19日最新版はこちら。
↑クリックするとご覧いただけます。

市の報告文書だけを見たら、
「3月9日の陽性患者対応により感染した」との誤解を生み、その後、最後に県立西宮病院に勤務した3月19日まで、10日間発症していなかっただけでずっとウイルスを持っていたことになり、相当数の濃厚接触者がいる可能性がある。」とも考えられ、不安だけを与えることになります。皆、発症前にも感染する可能性があると聞かされているからです。
ですので、「この対応と感染の関連性は低い。」と判っているのか、判っていないのであれば「この対応と感染の関連性は調査中」といった情報を開示するべきだったと思います。

また、
5例目患者さんの最新版(←クリックするとご覧いただけます)の情報には、「濃厚接触者を特定し、管轄保健所が経過観察中。」とあります。
ですので、今回陽性が確認された医師は、5例目の感染した方の濃厚接触者としては特定されていたのかいなかったのか、されていなかったのであれば、経過観察対象となる「濃厚接触者」とはどのような方々なのか、も開示する必要があると思います。

(令和2年4月1日追記)
経過監査する対象となる濃厚接触者について調べました結果、「国立感染症研究所 感染症疫学センター」が出している「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(暫定版)」(令和2年3月12日が最新版)を参考にして、調査しているそうです。
以下、抜粋します。詳細は、こちら(←クリックするとPDFファイルが開きます)をご覧ください。
●「濃厚接触者」とは、
「患者(確定例)」が発病した日以降に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
・適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
・その他:手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と接触があった者(患者の症状などから患者の感染性を総合的に判断する)。

●「患者クラスター(集団)」とは、連続的に集団発生を起こし(感染連鎖の継続 )、大規模な集団発生(メガクラスター)につながりかねないと考えられる患者集団を指す。これまで国内では、全ての感染者が2次感染者を生み出しているわけではなく、全患者の約10-20%が2次感染者の発生に寄与しているとの知見より、この集団の迅速な検出、的確な対応が感染拡大防止の上で鍵となる。
(抜粋終わり)
とありました。「適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者」とありましたが、5例目の感染者は、「防護有」で対応していたため、濃厚接触者から除外されていたと考えられます。
以上追記しておきます。
(追記終わり)

さらに、
市からの報告書では「徒歩通勤」とあり、病院の説明では「人が密集するような危険な場所に出かけたことがない。」となっていることから、病院以外のどこで感染する可能性があるのか、この点については現在調査中だと思われるので、その調査結果については詳細に公表してもらいたいものです。

ここからは、今後の調査次第となりますが、
感染防止対策を講じた医師が陽性患者の対応をしただけで感染した可能性を否定できないのであれば、現在の感染防止対策では不十分であり、その状態を放置すれば、今後医師がどんどん感染し、医療崩壊を起こす可能性が残されてしまいます。現時点では、「再度、速やかに感染防止策を検証し対応する」という情報が開示する必要があると思います。

また、『仮に』の話になりますが、この後、3月9日から19日までの間に県立西宮病院を訪れた外来患者などから感染者が出るようなことになれば、(もちろん、そのようなことがないことを願っていますが、)3月9日に陽性患者が県立西宮病院を受診したことを公表していれば、様々な対応ができて防げたかもしれないということになります。

とにかく、正しい情報を積極的に開示すべきです。隠すのであれば、徹底して感染者を出さない手段を行政が講じなければならないと思いますが、今のところ、残念ながら、感染者が増えてしまっています。

感染拡大を抑制するために、今の兵庫県と大阪府のように、往来自粛を呼び掛けるのであれば、患者の氏名と詳細住所以外の全てを公表することの方がよほど重要で効果的なことだと私は思います。
もし感染した際には氏名と住所以外のすべてを公表されるとなれば、多少は行動も意識も変わると思います。本気で感染拡大の抑制をする気があるのであれば、情報開示を徹底して、市民と共にウイルス対策をした方がいいと思います。

最後に、8例目の方の報告です。

======8例目の方に関する報告(3月24日(火)19時30分)のコピー=====

新型コロナウイルス感染症の患者の発生について(8例目)

3月24日(火)、西宮市内で8例目の新型コロナウイルス感染症の患者の発生が確認されました。引き続き、濃厚接触者の把握を含めた積極的疫学調査を進めています。

(1)年 代 : 80歳代
(2)性 別 : 男性
(3)職 業 : 無職
(4)居住地 : 西宮市内
(5)経過・症状
3月11日 発熱37度台
3月13日 市内A医療機関 受診
解熱
3月22日 発熱37度台及び咳
市内B医療機関に救急搬送
胸部X線・CT検査にて肺炎像あり
人工呼吸器装着
3月23日 検体採取
3月24日 PCR検査陽性確定
(6)濃厚接触者の有無 : 濃厚接触者は調査中。
(7)その他 : 同居人有。渡航歴なし。

※ 患者、家族の人権尊重・個人情報保護にご理解とご配慮をお願いします。 また、施設等に風評被害がないよう特段のご配慮をお願いします。
以 上
=====ここまでが、8例目の方に関する報告のコピー=====

こちらの方については、まだ感染経路も濃厚接触者も何もわかっていませんので、迅速な調査と対応が必要です。
疑問は、市内A医療機関で受診した際に、なぜ、PCR検査を受けさせてもらえなかったのかということです。
最初に受診した3月13日は、すでにPCR検査が保険適用になった後のことで、検査を受けるハードルが下げられたと理解していたのですが、そうではなかったのであれば大問題です。
結果的に、人工呼吸器をつけなければならないほどに重症化するまで10日間も放置されてしまったことになります。

やはり、PCR検査の状況について、さらに調査してまいります。

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