介護環境の保全も喫緊の課題

2020年5月14日[カテゴリ:コラム, 医療・福祉

接触抑制に取り組んだ結果、新規感染者の確認数が大きく減少し、39県の緊急事態宣言が解除されることとなりました。そして、兵庫県は解除されませんが、すでに接触削減については市の雰囲気は緩んでいるように感じます。気がかりです。

5月2日のコラム(←クリックするとご覧いただけます。)で、西宮市では69名の感染が確認された方のうち、入院・入院調整者数が未だ53名もいらっしゃると掲載しましたが、5月12日に偶然、市のホームページを確認したところ、入院・入院調整者数が19名と情報が更新されており、この10日間で34名もの方が退院されたそうです。入院された方々が、どの程度の入院期間を要したのか、詳しい情報の開示はありませんが、ご本人はもとより、ご家族の方々も大変心配されご苦労があったことと拝察します。まずは、退院されましたことを心からお喜び申し上げます。

さて、
大変遅くなりましたが、3月31日のコラム「海外からの帰国者の対応が急務」(←クリックしてご覧ください。)に、海外渡航歴のある方に対する対応についての質問と市の回答を追記しました。
新型コロナウイルスに季節性があるのかどうかははっきりしていません。行政は民間以上に、これまでの約3ヶ月間の取組み、経験をもとに改善を加え、気を引き締めて感染拡大防止の取組みを続けなければならないと思っています。

また、私は、市民の皆様から頂いた情報をもとに、西宮市災害対策支援本部を通じて、要望を兼ねて質問を重ねてきました。少しずつ掲載してきましたが、まだ掲載できていない内容を、少し間が空いてしまいましたが順に掲載していきたいと思います。

まず今回は、介護についてです。
介護サービス事業者や市民の方々と電話をする中で、いきいき体操も開催できず、感染防止のために介護サービスの利用を控える傾向があるとの情報があり、高齢者の健康維持と介護環境を保全する取り組みが必要と考え、緊急事態宣言が発令される前の令和2年4月3日に、以下の問い合わせをしておりました。

=====質問(4月3日)と市の回答(4月9日時点)=====
3.介護保険サービスについて
【質問1】

兵庫県では、外出自粛が要請されている中、西宮市では、高齢者の健康維持のために市はどのような対策を講じているのか、検討状況と合わせてお尋ね致します。

【市の回答】
イベントや地域活動の中止により、外出を控える高齢者のフレイル(虚弱)のリスク増加が想定されるため、市のホームページのコロナウイルス関連特設ページに、『家でできる健康維持のポイント』のページを公開しました。(ホームページのURLはメール下部に記載しております。)
ホームページでは、西宮いきいき体操やストレッチ・リズム体操の映像等を公開するとともに、家事を行う場合の運動強度の説明や、栄養バランスの確保といった内容も併せて記載しております。
また、同様の内容について、市政ニュース4 月10 日号にも掲載を予定しております。
■市ホームページURL(トップページ>コロナウイルス情報>日常生活における役立ち情報)
https://www.nishi.or.jp/kenko/koreishafukushi/ikigai/kenkou-iji.html

【質問2】
特に、通所、訪問の介護サービスの利用控えがあると聞いていますが、状況の把握はどのようになっているのか、検討状況と合わせてお尋ね致します。

【市の回答】
介護サービスの利用につきましては、サービスを行う事業者等は、感染拡大防止の観点において、居宅介護支援事業者等と連携し、利用者の心身、健康状態や生活上必要なサービスを検討の上、感染防止対策を徹底し、サービスの提供を継続することなど、厚生労働省通知等に基づく留意事項に注意しサービス提供に従事していただいているところです。また、公衆衛生上、人員配置等においても苦慮する中、可能な限りの運営を行っていただいているところです。

介護報酬の取り扱いにおいて、利用者宅に訪問することが困難な場合、ケアプラン作成等業務の取り扱いにつきましては、利用者の意向を確認し、確認の結果を記録した上で、居宅での面接に変えて、電話等の手段によりモニタリングを実施しすることが可能とされています。これらの方法により利用者の状態像の把握を行うことが可能であり、この場合の居宅介護支援費の減額の対象としないことが示されています。
また、現時点で、ご利用者またはご家族からの利用に関する苦情などのご相談はございません。万一、事業者から一方的にサービス提供を断られるなどのご相談をお受けした場合は、事業者に状況確認を行った上で、事実に基づき指導してまいります。

【質問3】
介護サービス事業者の経営に対する支援を実施し、倒産、閉鎖を防止しなければ、新型コロナウイルス感染症の終息後に、介護を必要とする高齢者に対するサービスの提供が困難になる恐れがあると懸念しています。国の動向と合わせて、健康福祉局は現在、どのように考えているのか、お尋ね致します。

【市の回答】
新型コロナウイルス感染症に係る報酬等の取り扱いについて、「介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱い」として、厚生労働省より柔軟な対応が可能とされており、すでにメーリングリストやホームぺージで周知しております。
事業所運営上の収入補填については、市単独で保障や給付をすることは困難です。現在、新型コロナウイルス感染症により機能停止等となった社会福祉施設等に対する融資として、独立行政法人福祉医療機構で経営資金については、通常の融資条件から貸付利率の引き下げ等の優遇措置を講じた融資制度を行っております。また、厚生労働省が実施する「雇用調整助成金制度」などもありますので、それらの制度をご活用ください。
なお、中小・小規模事業者の場合は、要件を満たすようであれば、市の制度融資もご利用いただけます。

=====ここまでが、質問(4月3日)と市の回答(4月9日時点)=====

まず第一は、高齢者の健康の維持が必要です。
コロナ収束後に介護が必要になる方が増えるような事態にならないように、対策を講じる必要があります。

上の質問1に対する市の回答では、ホームページを見てもらえる高齢者はまだいいのですが、スマートフォンもインターネット環境もない高齢者への情報伝達が課題が残っていると感じます。そして今後、長引く接触抑制に対応しながら、運動とコミュニケーション環境、情報提供の仕方について対策を講じる必要があると考えています。

次に、介護サービス利用者の安全確保と重度化防止の取組みが必要です。
上の質問2に対する市の回答は、全く的を得ない回答であり、市は、サービス利用者が感染を恐れて利用を控えざるを得ない状況を認識していないと理解せざるを得ません。
私は、介護認定を受け、介護サービスを利用しなければならない方が感染を恐れてサービスの利用を控えている方が少なからずいらっしゃると聞いています。そうした場合のご家族の負担軽減を含めた生活支援が必要ではないのかと心配しています。また、介護状態の重度化も危惧されます。

現在はまだ、民間のケアマネージャーや介護サービス事業者の方々がそれぞれ何とか対応して頂いていると聞いていますが、残念ながら、市は5月の中旬になってもいまだ現状を把握しきれていません。時折、民間事業者から対策の提案もなされていますが、市は何も対策を講じることもなく提案も退けています。

最後に、介護サービス事業者を守る取組みが必要です。
これも非常に重要で、完全終息が望めない中、一定の収束後に、介護が必要な高齢者の受け皿がなくなっては元も子もありません。介護サービス事業者はサービスを利用する高齢者がいなくなれば収入はなくなります。ただでさえ人材不足でサービスの確保が心配されてきた中で、事業者が倒産することのないよう、経済的な事業継続が絶対に必要です。
事業者には収入減少分の補助を、介護保険サービスを控えざるを得なかった方へは介護保険料の減免も検討しなければならないくらいだと思っています。

以上、少なくとも、大きく3つの観点からの対応が必要であると考えられ、1ヶ月も前に提案していたのに、まだ対応ができていないのです。

本当に、今の西宮市からは緊張感が全く伝わってきません。高齢者の命にかかわると言っても過言ではない緊急事態のなかで、市は通常の方法ではなく、ケアマネージャーや民間事業者と連携して現状を把握して、細かい対策を講じるべきだったのですが、国任せ、県任せで、市独自の動きは何ら伝わってきません。

市がやらなければならないこと、市ができることはまだまだある。

アベノマスクがこれだけ批判されているなかで、いまだに寄贈されたマスクを直接受け取って時間を使っているような暢気な市長が率いる西宮市に、もはや何を提案しても、迅速な対応など期待できないのかもしれませんが、諦めずに訴えていきたいと思います。

特に通所と訪問介護については、報道でもあまり目にしないのですが、ご家庭と事業所の現場が非常に気がかりです。情報がありましたら、お寄せ頂けるとありがたいです。

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