西宮市の学校給食ー令和2年6月議会での一般質問を終えて

2020年6月28日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

先日26日(金)に一般質問を終えました。

「議会での発言」のページに質問項目と配布資料のPDFを掲載しているので、よろしければご覧ください。
詳細は後日、「コラム」にも順次掲載していきたいと思います。

今回の質問項目の一つに「学校給食」を取り上げました。

(追記)
毎日新聞でも取り上げて頂いていました。

(追記終わり)

体の成長、特に身長は一定の年齢になると止まりますから、身体的成長の機会を取り戻すことは一生できないと言えます。ですので、小・中学生にとって、栄養のバランスが考慮された昼食の摂取は非常に重要であり、現代では、学校給食に対する期待は非常に大きくなっています。

今回取り上げることにした背景は、こちらのコラム(←クリックすると5月26日のコラムが開きます)もご参照頂ければと思います。

質問時間の都合上、論点は3点に絞りました。

1点目は、学校給食における第2波への備えです。
長引いた春の臨時休業中に、給食室は使える状態で、かつ、公務員である調理員も出勤してもらっていたにもかかわらず、子供たちに対して、宅配やテイクアウトなど工夫してやれば、できたであろう食の支援を何ら実施しませんでした。ですので、必ず来ると言われる第2波に備えて、今度こそは、できることを考えて子供に対する食の支援を実現するべき。ということで宅配とテイクアウトに対する考えを問いました。

2点目は、夏休み短縮期間中の給食の工夫です。
子供たちは、春の臨時休業中の授業の遅れを取り戻そうと夏休みを返上して頑張る予定です。
例年は夏休みであった7月21日~7月31日及び8月17日~31日が、今年は授業日となります。しかし、この期間中ずっと午前中授業となり、小学校では、パンと牛乳とプロセスチーズ(もしくはゼリー)という内容の簡易給食が提供され、中学校では給食はありません。つまり、給食室での調理はしないのです。今回は、百歩譲って、小学校での簡易給食におかずを一品、何とか用意してあげられないか。ということで、おかずの外注に対する教育委員会の考えを問いました。なお、中学校の対応については、質問時間の都合上、取り上げることができませんでした。

3点目は、学校給食の調理業務の民間委託です。
このような非常時に、教育委員会が調理員に対して給食の調理をさせず、長期間に及ぶ臨時休業時であったにも関わらず、子供に対する食の支援のアイデアの募集もせず、工夫もさせないようであれば、多額の税金を投入して(年間約1億円)調理室のメンテナンスをしながら、直営体制(人員317名、人件費年間約15億8000万円)で給食を実施している意義が見い出せない。ということで、調理業務の民間委託に対する市長の考えを問いました。

夏休み短縮期間中の給食が小学校では簡易給食、中学校では実施しないことに決めた経緯

市の説明
①酷暑の中での授業実施となり、子供たちが熱中症になってはいけないから午前中のみの授業とした。
②しかし、子供たちに対する食の支援が求められる中、保護者や子供に寄り添いたいとの考えから、小学校低学年のことを考慮して、小学校のみ簡易給食(調理室での調理をしなくても可能な内容)を実施することとした。

という説明がありました。

基本的に午前授業であれば、給食は実施しないのが西宮市教育委員会の対応です。そして、中学生は部活動など放課後の活動が個々バラバラとなり、弁当などでの対応が可能と考えられている様子です。
ですので、②に関しては、賛否が分かれるかとは思いますが、これまでの西宮市教育委員会の対応では考えられないくらい画期的かつ大きな判断であったと私は評価をしています。
というのも、これまでの西宮市であれば、「午前中は授業のため、給食はなし。」という結論に至ったと思っています。現に、6月上旬は分散登校の時期は、大阪市など近隣他市では6月2日から簡易給食を実施していましたが、西宮市では給食は全く実施されませんでした。その状態と比較すると大きな前進です。実際に、夏休み短縮期間中に、「パンと牛乳だけでも実施してもらえるのはありがたい。」というご意見も耳にしています。贅沢なのかもしれませんが、もうあと一歩。

そう主張する思いの根底に、これまでに蓄積された行政に対する不信感があるのも正直なところです。

不信感。。。
以下はあくまでも私見です。

1つ目は、午前中授業と決めた経緯です。
本当に子供の体調を心配するのであれば、真夏の一番熱い、日差しのきつい時間帯に家に帰すよりも、ちゃんとお昼には給食を食べて、16時まで授業をしながら学校のエアコン下で過ごした方が、負担は少ないと思われます。そうすることで、夏休みの短縮期間を1週間くらい短くして8月24日開始にすることもできたと思われます。

しかし一方で、夏休みを返上して、教室にもエアコンがついているとはいえ、窓を開けて頑張るのは子供たちだけではなく、学校の先生方も同様です。子供たちが午前中で帰れば、先生方は昼からエアコンのついた職員室で、次の日の授業の準備ができるので、先生にとっては都合がいいのだと思います。つまり、大人の事情が垣間見えます。

2つ目は、「小学校では簡易給食、中学校では給食なし。」となった経緯です。
市議会の答弁では、調理器具のメンテナンスや給食室の工事や備品の買換えにより、小学校全体の45%(「18校」とはっきりとした校数は言わないところも怪しい。)で調理室が使えないことを理由にしましたが、どうしてもそうは思えないのです。
というのも、給食の調理室には、元々エアコンが着いていませんでした。近年、順次エアコンを設置していっているのですが、エアコンがついているのは小・中学校・義務教育学校60校の給食室61室のうち、17室のみで、あとはスポットクーラーが40校程度の給食室に設置されているそうです。
ですので、実際には、7月中旬までの調理も、9月の調理も、近年、非常に暑い中、熱中症対策を講じながら調理をしてもらってきた中で、さらに実働の合計18日間を追加して、灼熱の調理場で調理して欲しいと、教育委員会はお願いできなかったのではないかと推察されるからです。
だとしたら、やはり大人の事情であり、「今年だけでも子供たちのために頑張って欲しかった。」と思います。

もちろん、上記2つの疑念を、教育委員会は全力で否定しています。

また、予定している工事を先送り、もしくは工期を短縮してもらって、調理室を使えるようにするべきではないかと問うても、工事を先送りすると危惧が不具合を起こして9月以降の給食ができなくなる恐れがあると言われると、「工事を先送りにしても大丈夫」という根拠を示せるだけの確かな情報は現時点ではありませんので、現場を詳細に知らされていない外部の私たちにとっては、ある意味「脅し」です。ですので、「それでも、おかずを何とか一品用意できないか」と考えると、パンや牛乳、チーズと同様、おかずも外注できないかという提案になったわけです。

この提案した「おかずの外注」については、普段付き合いのない民間事業者(飲食店)では食中毒の心配があるため「できない」と回答されました。そもそも、総菜をテイクアウトされている事業者も食の専門家でありますし、私たちは普段、夏場でも安心して購入して食べています。
何の根拠もなく「食中毒の危険性がある」などと軽々に理由に挙げるべきではないことも指摘しました。

この夏休み短縮期間中の簡易給食は、選択制にしたことにより、その申込結果を見れば、どの程度の子供が食の支援を必要としているのか、ある程度見えてくると思っています。
そして、調理員の方々も「調理してあげたい」と考えている方が大半であると私は信じています。ですので、夏の代替案としてもう一つ、簡易給食の申込者数にもよりますが、希望者が半数にも満たないようであれば、家庭科室を使って、夏野菜を使ったカレーなど(シチューやビーフシチューも考えられますが)を調理して提供することも検討してほしいと提案しました。

何も実現されないようであれば、調理室が使えない理由とされたこの夏の給食室の工事が、どこの学校で、どのような内容の工事が、7月21日~8月31日までの日曜日を除いた平日に丸1日ずっと行われたのか、注視しなければならないと思っています。

リーダーの熱意

論点の3点目については、昨年度の施政方針において、「民にできることは民へ」と意気込んでおられた市長に問いました。市長の答弁の要旨は以下のとおりでした。

市長答弁の概要
①今年5月に完成した「西宮市行政経営改革前期実行計画」では、庁内業務の効率化等に向けて、民間委託導入の検討を進めることとしている。
②その導入にあたっては、サービス向上の実現可能性や、事業者に十分な供給能力があるかなど、総合的かつ慎重に判断する必要があると考えている。
③学校給食調理業務は、平成15年度から非正規職員を活用した現在の執行体制に移行し、民間サービスを意識した効率的な運営に努めてきた。
④今後も引き続き、効率的な運営に向け改善を図るとともに、指摘の内容も踏まえて、これまでの学校給食調理に係る感染症対策の検証をする中で、今後、より安全安心でおいしい給食の提供に努める。

どこを向いて行政運営をしているのか。。。

大阪市や箕面市では、調理業務を民間委託していますが、夏休みの短縮期間中もちゃんと普段通りの給食を実施される様子です。民間に委託しても、事業者に十分な供給能力があることは証明されていますし、西宮市が直営でやって、このまま何の工夫もできないようであれば、民間に委託したほうがサービス向上を期待できることになってしまいます。

私は普段、「他の市でやっているから、本市でもやるべき」という主張をできるだけしないように心がけています。というのも、他市がやっていても、それはその市では必要性があると判断して実施しているだけであり、必要性について客観的な根拠もないのに、単に他の市もやっているからというだけで、あれもこれも実施していては財政が破綻したり、本来の機能が果たせなくなると考えるからです。

しかし、本市でも必要性のある政策があって、それをできるかできないかを判断する際には、他市の情報は非常に参考になります。

質問時間の都合上、今回の論点の中では、優先順位が低かったので、今回は保留としました。

予算の執行権を持つ首長が、本当に子供のことを思っているのであれば、もっと強いメッセージを出して欲しかったと思います。教育長には、真剣に受け止めて頂いた様子で、論点1点目の第2波への備え、論点2点目の夏休み短縮期間中の簡易給食の内容の見直しについては、私の再質問に対して、はっきり「検討する」とお答えいただきました。

今しばらく、希望をもって結果を待ちたいと思います。

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