防災と感染症対応ー右往左往と柔軟な対応

2020年7月31日[カテゴリ:防災対策

自然の力と防災対策

昨日夕方のゲリラ豪雨は、激しい雨が降った時間が長く、雨水管から水が噴き出している箇所も目撃しました。
先週土曜日の未明の雨もすごかったのですが、西宮市では大きな被害は発生しませんでした。

21年前の平成11年6月と9月、西宮市内では、各所で床上浸水や河川護岸が損壊するなどの水害が発生し、私はまだ議員ではありませんでしたが、当時の市議会で複数の議員が一般質問で取り上げ、議論された様子を一部ですが見ていました。

その後、学校のグラウンドや公園の下に貯留槽を設置し、大きな貯留管を道路の下に敷設するなど雨水流出抑制の取組みが進められ、県による河川改修と相まって、20年間で街なかの雨水の処理能力は格段に上がったことを経験しました。

自然に対する人間の力の無力さを感じつつも、ハード面での防災対策の効果も実感しています。

昨今の集中的な雨量を勘案すると、明らかに20年前とは状態が違うので油断はできません。今後も、これまでの取組みの検証をしながら、計画的に不断の投資をしていくとともに、ソフト面でも、感染症対応を念頭に入れた避難対応について、至急市民に対して情報を伝達していく必要性を感じています。

国民の生命と財産を守る政治

安心・安全の取り組みに対しては、対策を講じなかった場合と講じた場合の比較ができないため、評価は難しいです。仮に対策の成果として被害を未然に防げていたとしても、被害が発生しない限り、これまでの取り組みが検証される機会はなかなかありません。

今、この「政策の評価」に関しては、新型コロナウイルス感染症対応も同様だと感じています。

3月下旬から、国が緊急事態宣言を出すべきという論調が強まり、いざ、宣言をして感染の確認数が減少したら、5月末くらいになって、感染症の専門家と称される方が「緊急事態宣言を出す前に感染のピークは終わっていて、宣言は結果的に感染を抑える上では意味がなかった」というような趣旨で評したことがニュースで取り上げられました。

そして、緊急事態宣言に伴って8割接触削減をお願いして、感染の確認数が一定減少したとたんに「経済も回さなければならない。」という論調が強まり、緊急事態宣言を解除して経済対策を講じようとした矢先に、「感染の確認数が増えた」という状況の変化により、春先に国会で決めていた「GO TOトラベル事業」が実施直前になって批判の的になり、右往左往しました。
確かに、この事業の感染症に対する備え、準備はお粗末なものだったと思います。
おまけに、事業を委託する事業者選定にまで不信感を抱かれてしまっている状態です。

このような変遷を経て今があります。

政治は国民の生命と財産を守ることが最大の使命である。

政治家を志した限りは、このことを肝に銘じて、専門家の意見を参考にしつつも、批判に流されずに決断する「信念」と、責任は選挙でとる「覚悟」が必要なのだと、つくづく感じます。

新型コロナウイルス感染症対応と経済対策

西宮市では、昨日も5名の感染が確認されました。うち、市外の方は2名でした。
一昨日は、7名の感染が確認されたうち、3名の方が市外在住の方となっています。
7月28日までは、137例(うち1例は再陽性)が確認されて、8名の方が市外在住の方でした。
市外在住の方の勤務先が市内なのかどうかは発表されていませんが、何らかの変化が起こっている可能性があります。

そして、西宮市発表分としては、3月と4月で69例が確認されていたのですが、今月1ヶ月だけで74例が確認されており、2ヶ月分を上回りました。この74例のうち、今春のままの対応だったら何名の方が確認されなかったのか(今春だったらPCR検査を受けさせてもらえなかったのか)、西宮だけではなく、県や全国の状況はどうなのかということを、私たちは知る必要があると感じています。

冷静な状況分析と情報開示が重要であることは、ずっとこのコラムでも掲載してきました。
こちらのコラム(←クリックすると4月14日のコラムが開きます。)では、「感染症拡大防止に対する本気度ー情報開示が肝要」と題して、感染拡大の徹底について掲載しました。

今はとにかく、医療機関の状況と対応に関する県の情報を的確に把握しながら、保健所を設置する市としては、備えた通りフェーズに応じて保健所機能を強化し、調査と対応を迅速かつ的確に処理していくことが重要だと思っています。

また、備えた対応に不都合があれば、迅速に改善しながら対応していく姿勢も重要だとは私は思っているのですが、その改善に対する批判もあるそうで、右往左往と柔軟な対応は紙一重だとも感じています。

それと啓発の取組みですが、
単に春先に戻るような、一律で外出自粛を呼びかける行為は論外です。
飲み会の人数制限や時間制限も根拠が希薄で説得力に欠けます。

私が考える、今自治体が行う国民の行動に対する呼びかけは、
厚生労働省が提供している『接触確認アプリ』についてもっと啓発した上で、
アプリをちゃんとスマートホンにダウンロードして、経済活動をしましょう。」ということではないのでしょうか。
そして、
「最近接触した人や出入りした場所での感染が確認されたら、速やかに自分も外出を自粛し、PCR検査を受け、保健所の指導に従う。」という習慣の定着を図るべきです。

それが感染拡大防止の備えの一つだったはずです。

スマートフォンを持っていない高齢者等には、アプリを入れたスマホをレンタルすればいいと思います。
これができれば、春先とは異なった対応、感染拡大防止と経済対策の両立の道が見えてくると思います。

そして、この対応をする国民がどれだけ増えたかをデータで把握し、この実績に基づいて国から自治体に支払われる交付金に濃淡をつけ、自治体独自の対策をしやすくするなど、さらに対策を考えてはどうかと感じています。

前置きのつもりが長くなりましたので、今回のコラムはこれで閉じます。
次回から、令和2年6月議会一般質問の3番目の項目「介護保険事業について」の連載を始めます。

なお、今日は、来週8月7日に開かれる予定をしている臨時議会について協議するため、議会運営委員会が15時から開かれます。

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