学校給食について③ー調理業務の民間委託

2020年7月29日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

今日は、14時から民生常任委員会を開催しました。
施策研究テーマの決定と今後の調査の進め方について協議しました。

今年度の施策研究テーマは、
・新型コロナウイルス感染症対応としての産業振興について
・防犯対策(特殊詐欺対策)について
の2つに決まりました。

今後、集中的に調査、協議を進め、市に対して政策提言する予定です。

また今日は、初めて全国で感染が確認された人数が1000名を超えたとのニュースが飛び込んできました。
それでも、今春に使われていた「オーバーシュート」という表現は、全く聞かれません。

西宮市では、新たに7名の感染が確認されました。
そして、兵庫県は、先日のコラム(←クリックすると7月24日のコラムが開きます。)で掲載しました、5段階に分けた対処方針の3段階目となる「感染増加期」と位置づけてからわずか6日で、4段階目となる「感染拡大期Ⅰ」という段階に移行することになりました。

県民に対しては、
○東京都など感染が再拡大している地域への不要不急の移動を自粛する。
○業種ごとのガイドライン等に基づく感染防止対策がなされていない施設の利用を自粛する。
○大人数での会食や飲み会の回避。特に、若年層をはじめとするグループは、接待を伴う飲食店等の利用を控える。
○飲食の場では大声での会話や回し飲みは避ける。
○「3密」の回避、熱中症に留意したマスクの着用等、「ひょうごスタイル」に取り組む。
ことを要請しています。

なお、感染拡大が心配された名塩小学校については、濃厚接触者に特定された児童と教員42名のPCR検査の結果が、全員陰性であったとの報告がありました。1学級の学級閉鎖は、31日(金)まで(8月1日から夏休み)続きます。

さて、今回は、令和2年6月議会一般質問の学校給食に関する質問の最終です。

16年前、平成15年12月議会の一般質問(←クリックすると議論の概要がご覧頂けます。)で取り上げて以来、学校給食調理業務の民間委託の導入の必要性を訴えてきました。

民間委託は手段であり目的ではありません。
目的は、「効率的に」、「子供たちに対して確実に質の高い昼食を提供する」ことです。

平成20年3月議会(←クリックすると議論の概要がご覧頂けます。)では、民間委託した場合の期待できる効果を示したうえで、
直営のままで人件費を削減しても、給食サービスの向上にはつなげられていないこと
食の安心・安全の対策は、主に教育委員会事務局が考えていること
を明らかにしました。

集団食中毒が疑われる事例が発生した後の平成23年6月議会(←クリックすると議論の概要がご覧頂けます。)では、「調理員が公務員であることと、安全な給食が提供できることは無関係である」ことを明らかにしました。

しかし、いずれの質問でも、教育委員会は合理的な理由なく”直接雇用”の継続に固執する回答を繰り返してきました。

そして、今回は「簡易給食」問題が発生し、調理員が公務員であっても、夏休み短縮期間中には調理はしてもらえない、臨時休業時には子供たちの昼食支援には取り組んでもらえないかもしれないことを明らかにしました。

その上で、「行政経営改革」を打ち出して、その中で、民間委託の導入(具体的な対象業務は示されていません)を項目に挙げられた市長の見解を改めて問いました。

以下が、そのやり取りです。

=====本会議場での議論の概要=====

令和2年6月議会一般質問(6月26日実施)より

2.学校給食について
■質問4

「西宮市行政経営改革前期実行計画」が先日策定されまして、その中で、職員数の適正化及び民間委託の推進が示されています。また、今回の非常時の対応を見る限り、学校給食調理業務を直営で行うメリットは全く見いだせず、むしろ直営だったからこそ何もできなかったようにすら感じましたが、本市の学校給食を民間委託することについて市長の見解をお尋ねいたします。

■市長の回答
西宮市行政経営改革前期実行計画におきましては、庁内業務の効率化等に向けて民間委託導入の検討を進めることとしておりますが、導入にあたっては、サービス向上の実現可能性や事業者に十分な供給能力があるかなど、総合的かつ慎重に判断する必要があると考えております。

学校給食調理業務は、平成15年から非正規職員を活用した現在の執行体制に移行し、民間サービスを意識した効率的な運営に努めてまいりました。今後も引き続き効率的な運営に向けて改善を図るとともに、議員御指摘の内容も踏まえて、これまでの学校給食調理に関わる感染症対策の検証をする中で、今後より安全・安心で、そして、児童生徒、保護者の皆様のニーズに沿った給食の提供に向けてどうよりよくできるかを考えてまいりたいと思います。

====ここまでが、本会議場での議論の概要=====

市長は、就任直後の施政方針の中で「民にできることは民に委ねる」との方針を述べています。

しかし、「総合的かつ慎重・・に判断する」という、いかにもお役所的で曖昧な表現を使ったことから、トーンダウンしている印象を受けました。

一方で、教育委員会ではなく市長に回答して頂いたことで、金科玉条のように守られてきた「平成14年西宮市学校給食検討委員会提言書」や、条例でもない「学校給食基本方針」という、これまでの私の質問に対して民間委託をしない根拠にされてきたフレーズは消え、改革の兆しも感じます。

学校給食調理業務に限らず、市役所業務の民間委託を、単純に経費(効率性)だけを比較して判断する時代は、とっくの昔に終わっています。民間委託導入の判断基準については、質問時間の都合上、今回の質問の主な目的とも異なるため、また別の機会に取り上げたいと思います。

後日に分かったことですが、
小学校の45%で給食室が使えないという教育委員会の回答があったのですが、そのほとんどが土日の2日もあれば、十分対応可能な内容であり、実質、工事があって給食室が使えそうにないのは安井小学校1校のみということでした。

先日のコラム(←クリックすると6月28日のコラムが開きます。)で掲載した私見は、現実味を増してきました。

「暑い中、調理員に調理をしてもらって、熱中症が発生したら、雇用主の責任問題になる」ことを心配したことは明白であり、これまで教育委員会が調理業務を管理してきたことで、「暑いから調理させられない」=「簡易給食しか提供できない、しかも希望した子供たちに限定。」という結果になった事実を重く受け止めるべきです。

夏休みが短縮され、暑いからという理由で何ら工夫を試みることなく「調理をさせない。」
感染拡大が怖いからと言って何ら工夫を試みることなく「臨時休業中の昼食支援をさせない。」

これでは、市が調理員を公務員として雇用し続ける必要性が本当にあるのか、民でも十分できることが明らかになったと思っています。

お隣の尼崎市は、調理業務を民間委託していても、おいしそうな献立を夏休み短縮中も提供することができています。

予算の編成権と執行権を持つ市長が、本気で子供のことを考えているのであれば、「このまま西宮市教育委員会が子供たちのために何もできないようであれば民間委託を導入を検討する」くらいの、もっと強いメッセージを出して欲しかったと思います。そうしたら夏休み短縮期間中の対応ももう少し違った結果が待っていたかもしれないと今でも思っています。

夏休みには間に合いませんでしたが、「議員御指摘の内容も踏まえて、これまでの学校給食調理に関わる感染症対策の検証する」との本会議場での発言に対する今後のアクションと結果に注目し、行政経営改革の本気度も見極めなければなりません。

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