学校給食の安全と民間委託―平成23年6月議会一般質問

2011年11月5日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

西宮市の学校給食において、食の安心安全にかかわる重大事故が発生したことを受け、改めて、学校給食の運営について、一般質問で取り上げて議論しました。

民間委託に関する議論については、平成15年12月議会の内容を掲載したコラム(←クリックするとコラムが開きます。)、平成20年3月議会の内容を掲載したコラム(←クリックするとコラムが開きます。)もご参照ください。

調理員が公務員であることと、安全な給食が提供できることは無関係であることが、今回の質問のやり取りで明らかになりました。

=====本会議場での議論の概要=====

平成23年6月議会一般質問

3.学校給食の安全性について
 本年2月22日の学校給食を実施した中学校15校のうち9校において、当日の献立の一つ、シューマイから異臭があるとの連絡があり、3校において260名の有症者が確認されたにもかかわらず、結局、食中毒と断定するには至らなかったと結論づけられました。幸い重症者を出さずに済みましたが、食材の安全性の確認体制に疑問が生じた結果となり、改善する機会を得たととらえるべきと考えます。再発防止策として、校長先生だけではなく、栄養教諭や調理員による検食の機会を増やすなど、生徒児童に届くまでの検食体制を強化することも対策の一つと考えます。

■質問1
先般発生された食中毒の疑いのある事故について、原因が明らかにならなかった中で、どのような再発防止策を講じたのか、あるいはどのような策を講じようと考えているのか、お聞かせください。

■質問1に対する教育委員会の回答
中学校における学校給食の停止に係る再発防止策につきましては、このたびの事案に対し、西宮市保健所の結論では、特定の食材に起因する食中毒とは断定されませんでした。しかし、学校給食の提供にかかわり、生徒、保護者の皆様に多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことは、重く受けとめております。このたびのことを教訓として、今年の5月に、学校における食中毒、疑いも含めた対応マニュアルを保健所の助言を得ながら策定し、各学校へ配付したところでございます。内容としましては、再発防止のために、手洗いの徹底、おかしいと思ったら食べないことを指導することとし、吐き出したものや食べ残しを検査に提出するなどの内容を盛り込んでおります。
また、調理員は、調理場の現状を保持したり、調理室の立入検査の対応をしたりするなど、学校関係者ごとに役割分担例を提示し、組織的な取り組みをするとともに、保健所への協力などにより、原因の解明等に努める内容としております。
今回は、保健所による詳細な検査からも原因が特定されませんでしたが、疑いのあった食材は今後使用しないとしたほか、加工食品も含めた食材の原材料の正しい表示や流通経路の確認などを学校給食会と連携して行い、安全・安心な食材の提供に努めているところでございます。

■質問2
今回のケースでは、調理の段階でも発見できず、異常を訴える声があっても止められず、原因の追求もできない状況となりました。であれば、調理業務を担っていただく方々が公務員という身分である必要性は低く、民間に委託しても問題はないと考えますが、見解をお聞かせください。

■質問2に対する教育委員会の回答
学校給食の民間委託につきましては、平成14年2月の西宮市学校給食検討委員会からの提言、民間委託に近い経費で運営されたいに基づき、平成15年度から調理体制の見直しを行い、現在、民間委託と遜色のない経費で運営されており、調理業務については現状を継続していきたいと考えております。

直営方式の長所としましては、現行の自校調理体制のもとで、管理職や栄養教諭が、調理の内容や安全に関し、その都度、直接指示や指導ができる体制がとれるというよさがございます。(それでも、事故の原因は特定できませんでした。)

■意見・要望
 今回の事故が起きる前と比べると、随分改善はされたという印象は持ちましたが、逆に言いますと、それまでが食事を提供する現場としてはあまりにも対応がお粗末だったなと感じます。話を聞けば聞くほど、対応が遅かったと言わざるを得ないと思っています。幸い軽症でしたので、まだこのような対応で済まされたと思うのですが、これがもっと重大な事故につながっていればと思うと、私は本当に恐ろしいという思いを持ちました。

民間移管の見解を聞かせて頂いたのですが、今回、直営で調理を行っている利点として、管理職や栄養教諭が調理の内容や安全に関して直接指示や指導ができる点というものを挙げられました。であれば、今回、異臭騒ぎがあったということですので、そうした際に、機転をきかせて、調理員の対応も可能であったのではないかと考えます。
確かに衛生基準は満たしていたかもしれないですが、そういった対応ができたのではないのかと感じました。ですので、直営であっても、今挙げていただいたような利点が生かし切れてなかったのではないかということで確認を致しました。

 今、直営にこだわってはるのは、平成14年の学校給食検討委員会の提言に基づいているという回答もいただきました。その提言を検討していただいてからもう10年が経過しようとしていまして、社会情勢も随分変化したなと感じておりますので、改めて検証し直す必要があると私は思っております。

ですので、本日は、学校給食の安全性についての質問ですので、これ以上は突っ込んだ質問はしませんが、また改めて別の場で質疑をしたいと思っておりますので、また御検討のほど、よろしくお願い致します。
 
もう一つ、安全性について、「おかしいと思ったら食べないと指導する」というお答えをいただきましたが、これは、食育の観点からは非常に大事な指導だと思います。ただ、給食ではおかしいものが出るかもしれないという恐怖感もやっぱり残りますので、もう少し策を講じたほうがいいと考えます。

ですので、検食体制が、現在、校長先生がしてくれているという状況ですので、例えば、先ほど壇上でも言いましたが、栄養職員の方々はプロですから、何かおかしいということはすぐ気づくと思いますので、そうした方々にも先に食べていただくなど、対応をされてはどうかと思います。

=====ここまでが、本会議場での議論の概要=====

もはや、給食の質や安全性とは関係なく、「平成14年の西宮市学校給食検討委員会からの提言」と経費が民間と同等の経費だけが、「調理業務の直営の維持」のよりどころとなっています。

西宮市保健所が食中毒の原因を特定しなかったのも、身内への配慮が見え隠れしますし、食中毒の疑いのある事案を発生させても、誰も責任を取らないという緊張感のなさは、子供たちへの安全な食の提供業務という観点から問題がないと言えるのでしょうか。私は問題だと思います。

むしろ、調理業務の直営を継続することで、大人にとって不都合な事実が隠蔽される恐れが残されているとすら感じます。

引き続き、子供たちが食べる学校給食の質の向上に向けて取り組むとともに、機会をとらえて、現在の運営体制の問題点を追及したいと考えています。

■最終目標
学校給食の質の向上
財政改革(効率的な行政運営)

■講じるべき手段
学校給食調理業務の民間委託の導入

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