学校給食調理業務の民間委託ー平成15年12月議会一般質問

2005年7月4日[カテゴリ:市役所改革, 財政・財政改革, 質問

平成14年2月に「西宮市学校給食検討委員会 提言書」(クリックするとPDFが開きます。)が提出されました。

市から検討委員会に諮問されてから、およそ半年余りの検討を経て提出された内容です。

提言の内容は、

1.食事内容、食に関する教育
2.安全・衛生管理、食事環境(主に調理室の環境に関すること)
3.効率的な運営

という項目で構成されています。

そして、
平成12年度の教育費決算額約192億円のうち、給食に要する人件費が約21億円(約11%)を占めている状況を鑑み、3項目目の中で、
・退職不補充による正規職員から嘱託調理員への移行、
・効率的な配置基準への改正、
・長期休業中の勤務及び代替調理員制度の見直し
により、調理業務を民間委託に近い経費で運営するよう求められています。

さらに、「平成15年度より新体制に移行できない場合は、調理業務の民間委託の導入を検討されたい。

とされました。

3番目の項目に関することとして、平成15年12月議会一般質問で取り上げました。

=====本会議場での発言の概要=====

平成15年12月議会一般質問より。

2.行財政改善のためのご提案並びに計画について
エ)学校給食一部民間委託
■質問1

今年度(平成15年度)より、学校給食検討委員会での答申を踏まえ、引き続き直営で経費削減を実施するということで続行されたわけですが、まずは、予算額で結構ですので、経費削減の具体的な取り組みと効果額をお教えください。
また、検討委員会での議論の際に、民間委託した場合にかかる経費のシミュレーションは行ったのか、また、行ったのであれば、これもまた試算額で結構ですので、直営で行財政改善を行った効果額が民間に委託した場合に比べてどの程度まだ高い状態なのか、お示しください。

■質問1に対する教育委員会の回答
 平成13年度の西宮市学校給食検討委員会におきまして、直営方式の中で正規調理員を嘱託調理員に切りかえるとともに、給食数や調理作業の実態に即した効率的な配置基準に改正するなどにより、人件費を削減されたい旨の提言をいただいております。その提言をもとに西宮市学校給食基本方針を策定し、平成15年度より新体制に移行いたしました。
 御指摘の効果額につきましては、旧体制による平成12年度の決算額と新体制による平成15年度の決算見込み額を比較いたしますと、平成12年度の人件費は約21億円で、それに対しまして平成15年度の人件費の決算見込み額は18億2,000万円で、差し引き約2億8,000万円減少すると考えられます。

 2点目の直営と民間に委託した場合とを比べてどうかという点でございますが、民間委託した場合の試算は、検討委員会の中で他都市の学校給食業務において実績のある4社の見積もりに基づいて行いました。それによりますと、平成15年度では、民間委託約17億7,000万円に対し直営では18億2,000万円で、直営が約5,000万円程度高くなります。また、平成20年度では、民間委託16億8,200万円に対し直営が17億1,300万円で、直営が3,100万円高く、平成25年度では、民間委託15億800万円に対し直営が14億9,300万円で、直営が1,500万円安くなります。

このように、試算上では年度により民間委託と直営による経費が退職者の数などにより前後しております。一方、民間委託を10年以上前から実施しております自治体の例では、年数を経るに従い委託経費が増加する傾向も見受けられます。これらのことを総合いたしますと、長期的に見れば、本市の直営は民間委託に近い経費で運営できると考えております。
 
■田中の主張
民営化の議論が出てきて検討委員会が立ち上がってからようやく具体的な対策に乗り出した形になってしまいましたが、今後も民間との比較をする必要はあると思います。衛生面や栄養面、アレルギー対策等、安全面に十分配慮した運営をしていかなければならないことは言うまでもありません。そういった努力をしながらも、新規採用の抑制による職員の嘱託化等を行い、職員のアイドリングタイムを減らすとか、年間契約ではなく、業務日数契約が可能となれば、もっと効率的な運営が可能となります。

民間では、さらに柔軟な運営が期待できますし、安全面に関しても、もし事故を起こせば民間にとっては死活問題ともなりますので、むしろ公立で行うよりも安全に十分注意した運営を行ってくれる可能性もまだ秘めています。ですので、学校給食に求められている衛生面や栄養面の優位性を民間事業者よりも効率的に保てているのかどうかの検証は、今後もずっと行う必要があると思います。

現在の西宮市の学校給食は、各校の調理室で調理を行う単独調理方式をとっていることから、学校給食会からの食材の調達業務の効率化の課題はいまだ残されるものの、まずは、小・中学校それぞれ数校を選定して、当面は、労務管理を含めた調理業務を入札で業者を決め、単年度もしくは2年ごとくらいの契約更新を行う方式の一部民間委託をとれば、常に民間との比較ができ、直営部のより効率的な業務改善にもつながると予想されます。

■質問2
ぜひとも御検討いただきたいと思うのですが、今後の学校給食業務の効率化についてお考えをお聞かせください。

■質問2に対する教育委員会の回答
今後の学校給食業務のさらなる効率化につきましては、学校給食検討委員会の提言を尊重し、引き続き直営の中で効率的な運営に努めてまいりたいと考えており、御指摘の一部民間委託は、これまでの経緯から難しいと考えております。

■意見・要望
こちらも、残念ながら、一部民間委託の検討すらする気はないと理解していいのかと思う御答弁だったと思いますが、確かに御答弁どおり、給食業務すべてを委託すれば、試算上、10年もたてば民間だって硬直化してくる可能性はありますので、当然効果額、ひっくり返ってくる可能性もあります。だからこそ、短期の契約更新が可能な状態で入札によって一部だけ民間委託し、比較し続けるべきではないかと提案させていただきました。
比較にさらす必要がない理由は明確には述べられておりませんでしたが、これまで努力された結果、ようやく嘱託化による経費節減等に取り組め、しかも、今年度から新体制を組んだばかりという現在、すぐに答えを求めても時期尚早なのかもしれません。しかし、常に後ろには民間が控えていることは現場にも意識を持っていただき、今後も経費節減に取り組み続ける必要があると思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

=====ここまでが、本会議場での発言の概要=====

たった半年間で作成された提言書が、今後、金科玉条のごとく扱われ、思考停止するようなことがあってはならないと思っています。引き続き、直営新体制の効果について検証してまいりたいと考えています。

■最終目標
学校給食の質の一層の向上
財政改革(効率的な行政運営)

■講じるべき手段
学校給食調理業務の民間委託の導入

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