公立幼稚園の効率化ー平成15年12月議会一般質問

2005年7月4日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

 平成15年12月議会一般質問において、財政改革の一環として、多額の市税が投入されている公立幼稚園の運営についても、民営化することで財政改善を図れないかという視点で取り上げました。

====本会議場での議論の概要====

平成15年12月議会一般質問

2.行財政改善のための提案並びに計画について
ウ)幼稚園の民営化の推進
■質問の背景

 これまで、行財政改善のため、さまざまな分野での民営化や民間委託化が議論され、実行に移されたものがあります。この努力に関しては、一定の評価はできることだと思います。しかし、公立幼稚園に関しては、民営化の議論がなされたことはなかったようです。もちろん、幼稚園の民営化は、保護者、つまり市民の直接の負担がふえることが予想されるため、慎重な議論が必要であることは言うまでもありません。現に民間事業者からの引き受け手がない、見つからないため、実際には困難だという理由も聞きました。教育、保育の質の観点から、単純にコスト論を先行させるのは、先ほどの保育園の民営化同様、危険な政策であるかもしれません。しかし、公立幼稚園の運営に関して効率化を図る必要性がないわけではないと思います。

■質問
 なぜこれまで幼稚園に関して民営化の議論がなされなかったのか当局のお考えをお聞かせください。また、市立幼稚園においても効率的な運営に向けての取り組みは必要であると思いますが、幼稚園行政での具体的な経費削減の取り組みをお聞かせください。
 
■教育委員会の回答
 民営化の議論がなされなかったのはなぜかについてでございますが、本市の幼稚園教育は、公私共存の原則を基盤にしてきた経緯があるからでございます。現状を申しますと、市立幼稚園22園は2年保育、私立幼稚園40園は3年保育でございます。平成15年5月1日現在、市立幼稚園に1,590名、私立幼稚園に7,971名の園児が通園しております。市内の全幼稚園児の中で市立幼稚園児の占める割合は16.6%となっており、幼稚園教育希望者の8割以上の方は私立幼稚園に通っております。
 
 現在幼児の急増地域におきまして私立幼稚園での受け入れが困難な状況が生じておりますが、この対応には、公私共存の原則に立ち、急増対策として、平成16年度には市立幼稚園の募集幼児数を臨時的に増員にするなどの対応をとっております。幼稚園の民営化につきましては、今後、市立幼稚園の適正規模、適正配置、公私負担の公平化等のこれからの幼児教育のあり方を検討していく中で、視野に入れざるを得ない大きな課題と考えております。

 次に、経費の節減についてどのように取り組んでいるかとのことでございますが、毎年出されます予算編成方針の内容に基づき、幼稚園運営経費、光熱水費などの経費につきまして、節減に努めているところでございます。また、平成10年の全園2年保育実施の際、増築をしないことや休級、休園の規定などを設けるなど、幼稚園運営の効率化に努めているところでございます。

■意見・要望
 幼稚園については、今後も民営化の計画はなく、公私負担の公平化等の幼児教育のあり方を検討する中でも民営化を視野に入れたいということでしたが、保護者の直接の負担増を考えると、民営化が難しい問題であることは一定の理解は致します。
 しかし、私立、公立に通っている児童数の割合を考えたときに、保育料が安いからとか近いという理由で公立に通わせたいけれども、入れずに私立に通わせている保護者もいることを忘れないでいただきたいと思います。(多額の市税が投入されていることにより)格段に安い保育料となっている公立に対して、私立幼稚園は、自己努力で魅力を出しながら経営しておられるわけです。
 そのような中、私立幼稚園と競合して、かつ公私負担の不公平もそのままというのでは、何の努力も見られません。財政難の中、就園奨励金だけを上げるわけにはいかない状況にあるのも現実です。であれば、民営化など具体的な経費削減策がない現段階では、公立の保育料の値上げに理解していただく等の努力が必要ではないでしょうか。

 視野に入れるとはいえ、実際の民営化までにはまだまだ議論も必要で、時間もかかるでしょう。そのためにも、内部経費の削減の努力、そして、民営化の検討を、もう少し積極的に行っていただきたいと思います。強く要望しておきます。

====ここまでが、本会議場での議論の概要====

今後も、子育て環境の向上、将来にツケを残さないための財政改革について、重点的に議論したいと考えています。

■最終目標
財政健全化
幼稚園における公私間格差の是正

■講じるべき手段
民間を活用した公立幼稚園の効率的運営

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