保育所民営化の今後の方針―平成15年12月議会

2005年7月3日[カテゴリ:保育所政策, 質問

前回のコラムの続きです。

====本会議場での議論の概要====

平成15年12月議会一般質問

2.行財政改善のための提案並びに計画について
イ)保育所の民営化計画について
(保育所民営化の今後の方向性)
■質問の背景

 現段階では、私の方では、民営化そのものによる保育の質の低下を初め、民営化がもたらした不都合が生じているようなことは聞いておりません。
 保育所の場合、設置当初は、特に福祉の観点を重視し、公立が主導して運営されてきた経緯がありますので、これまで培ってきた保育の質、内容を確保することは前提となります。そして、民営化しても、これが保たれるのであれば、どうしても硬直化しやすい行政がこのまま保育園の運営を維持する必要性は薄れていると考えます。
 今後も、公立保育所を民営化した場合の財政効果と質的なシミュレーションを行い、さらなる民営化を図っていくべき ではないかと思います。

■質問2
 今後の保育所の民営化はいつごろが可能で、どの保育所の民営化が可能か、計画がありましたら教えて下さい。

■質問2に対する市の回答
 今後の民営化計画についてでございますが、本年4月に安井保育所の民間移管を行ったことで、第2次行財政改善実施計画の実施項目は完了致しました。また、その後の待機児童解消計画に基づき、新設保育所につきましては、すべて民間活力を活用致しまして、民設民営で整備することに致しております。
 
 また、今後の保育サービスの供給計画の取り扱いでございますが、平成15年10月1日現在の保育所などへの入所児童は全市で4,884人、その内訳は、認可保育所で、公立23園、私立19園、合わせて42園、計4,206人、認可外の保育所では、本市が運営費助成を行っております家庭保育所、保育ルームなど19ヶ所で99人、株式会社やNPOなどが独自の運営を致します一般の認可外保育所には16ヶ所に440人、事業所が設置致します病院内保育所や職場内保育所が9ヶ所で139人など、合わせて44ヶ所の認可外保育所に678人が入所致しております。
 
 このように、保育サービスは、国費など公的助成が行われる認可保育所、また、認可外保育所でも、市が一部助成を行うもの、公費助成はなく民間が自由に運営するものなど、保育サービスは多様な形式で供給されております。したがいまして、今後の保育サービスの供給に際しまして、民営化など民間活力をどのように活用していくかでございますが、待機児童の解消、延長保育、一時保育などの保育ニーズにこたえる対策は、次世代育成支援の行動計画策定に向けての調査を致します市民ニーズへの対応とも関連致しますことから、全市民的な議論をもとにした計画づくりを行います。

 このため、公立保育所の民間移管に際しまして、市民、保護者の方から提起されました保育士の配置基準などの保育水準の問題や公立保育所が果たすべき役割、NPO、学校法人など設置者の規制緩和の問題、民間保育所への助成のあり方など、総合的に検討する場を設け、保育サービスのあり方についての方針を取りまとめたいと考えております。

■意見・要望
 保育園の民営化の件ですが、2園に関しては財政効果はあったが、今後の民営化の計画は今のところないということです。しかし、今後の課題についてはかなり踏み込んだところまでの御答弁をいただきまして、これに関しては評価したいと思います。
 今後も効率的な運営、経費削減には取り組んでいただかないといけないのですが、それ以外にも現在の保育の場での課題は、ほかの議員からの質問を聞いておっても、たくさん出てきます。一度整理して、きちんと検討する必要性があるのではないでしょうか。御答弁にもありましたとおり、次世代育成支援行動計画策定のための市民ニーズの調査をする、ちょうどこの機会に、待機児童や延長保育、一時保育の問題をはじめ、認可の規制緩和、補助金の意義、公立の果たすべき役割、そして真の民間活力の導入等、ぜひとも検討する場を設けていただき、根本的に現代の保育サービスのあり方についての方針を示して頂き、公立保育所の民営化に取り組んでいただきたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 公立保育所の民間移管は、待機児童の解消、延長保育や一時保育の充実、認可の規制緩和、公立の果たすべき役割の整理とあわせて、議論するということです。暗に、甲東保育所と安井保育所の民間移管は、目先の財政改善のためであったことを認める答弁内容でした。
 今後の民間移管については、目先の対応ではなく、保育環境の向上と将来を見据えた対応も必要となりますので、回答にありました「総合的に検討する場」での議論を見る必要があります。

■最終目標
保育所行政の効率化による財源の確保
保育環境の向上

■講じるべき手段
公立保育所の民間移管

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