食肉センターの運営改善

2005年7月5日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

西宮市食肉センター

 西宮市食肉センターは、特別会計で運営されていますが、一般会計からの多額の繰入金が投入されています。平成14年度の決算では、使用料収入が約1億2900万円、一般会計からの繰入金が約1億6300万円となっています。
 そして、現在の西宮市食肉センターは、昭和63年に用地費と建設費を合わせて約29億8500万円をかけて、現在の西宮浜に移転整備されました。そのうち、国から約6億円の補助金を受け、21億円を借金でまかないました。その借金の返済期間は20年間で設定され、最初の5年間は利子のみの支払いで毎年約1億円を返済し、その後、平成19年度までの予定で毎年約2億円を返済しなくてはなりません。この約2億円の借金返済も一般会計からの繰入金で支払っています。ですので、市からの繰入金の合計は、平成14年度決算で約3億7000万円となっています。
 
 約15年前に意思決定された移転整備費の返済分はどうしようもありませんが、残りの運営費に対する繰入金の額を減らすための方策を検討しなければなりません。
 そこで、市は、平成15年度に第三者機関である「西宮市食肉センター検討委員会」を立ち上げ、存廃を含めて今後の方向性を検討しています。
 私は、民営化が困難な施設で、周辺の施設でニーズを満たせない場合については、公が役割を果たさなければならないと考えています。そこで、平成15年12月議会一般質問において、食肉センターの運営改善の方策と県への要望について、議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成15年12月議会一般質問

2.行財政改善のための提案並びに計画について
オ)食肉センターの運営改善策
■質問の背景

 こちらは、現在、第三者機関である検討委員会において存廃を含めた議論が行われていると、9月議会の厚生常任委員会でも報告があったばかりです。内部努力による経費削減を行う必要性は言うまでもありません。
 現場では民間事業者からの経費削減についての提案があるようで、はたから見ていて、むだの多い部分がまだまだあるようです。そして、使用料の見直し、つまり引き上げも検討しなければならないでしょう。
 民営化するにしても、ほぼ100%近い稼働率が実現しているにもかかわらず、全く採算がとれていない状況では、当然それを引き受けてくれる民間事業者が出てこないことも容易に想像ができます。その際には、やはり先ほど挙げました幼稚園や学校給食同様、直営で行うことも視野に入れておかなければならないと思います。

 食肉センターの耐用年数は60年と聞いており、まだ15年しか経過していません。そして、これを民間事業者の引き取り手がないからといって廃止してしまうのであれば、この建物自体は使い道がなくなり、15年前の投資に意味がなくなると同時に、建物の解体経費がさらに発生してしまいます。そしてまた、この土地の利用に関しても、なかなか進まないのは容易に想像がつきます。
 
 また、食肉センターへの市税の投入によって実際に市民にどれだけ還元されているのか、現実的につかみにくいところもあり、西宮市食肉センターで解体された牛や豚が市外の人たちの口に入っていることも当然あるでしょう。だからといって、西宮市民も多くの牛や豚を消費しているわけですから、それが他の食肉センターで処理されたものを食べているのであれば、食肉センターの運営は広域的な取り組みであると考えられます。

 これまでも兵庫県への移管や補助金の申請を行ってきた経緯もあるようですが、いまだ受け入れられていません。近隣他市への負担を求めようにも、県に指導してもらわなければできるはずもありません。

■質問1
 今後も引き続き、兵庫県や近隣他市への助言等も含めて、広域行政の観点から兵庫県に協力してもらえるよう強く要望していくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

■質問1に対する回答
 西宮市食肉センター特別会計に一般会計より多額の繰り入れを行っていることに対し市議会での厳しい御指摘を踏まえまして、平成15年6月に西宮市食肉センター検討委員会を発足させました。この検討委員会は、各分野専門の立場から利害関係のない第三者である学識経験者など7名により構成されております。
 検討委員会の目的は、食肉センターの経営状況を分析し、存廃も含めた食肉センターのあり方、方向性を定めていくことであり、市長に提言をいただくことになっております。現在まで6回の委員会を開催しております。提言については、年内に提言をいただく予定でございましたが、解体業者の方々の意見聴取などもあり、検討委員会での議論の回数が増え、年を越すことになりました。

 御質問の兵庫県に対する要望につきましては、毎年、食肉センターを設置する兵庫県下の3市2町1事務組合で構成する兵庫県食肉センター設置市町連絡協議会として、県に直接出向き、広域的な立場に立った再編成等の要望を行っております。現在までたび重なる要望に対しましても極めて厳しい状況で、県から前向きの回答は得られておりません。しかしながら、食肉センターは広域的施設としての必要性から、引き続き県に要望してまいります。

■質問2
 同時に、内部経費の大幅な削減を断行し、使用料の引き上げ等も検討しなければならないでしょう。赤字の削減のための取り組みについてお考えをお聞かせください。

■質問2に対する市の回答
 運営改善の取り組みについては、この間、人件費を初め運営経費などの歳出の削減を行い、さらに、歳入面では、平成13年度に使用料を牛2,950円を4,000円に、豚880円を1,000円に大幅改定を致しました。その結果、平成11年度と平成14年度決算額の比較では、約9,000万円の削減となりましたが、現行の大幅な赤字を解消するには至っておりません。今後、検討委員会の提言を頂き、市としての基本的な考え方をまとめてまいりたいと考えております。

■意見・要望
 御答弁どおり、現在検討委員会で議論していただいている段階ですので、今後の方向性についてはそこでの提言を待つしかない状態にあることは理解できます。しかし、これもまた広域的な事業であることは否めないはずです。また、現状を見たときに、赤字の削減をせざるを得ない状況になっているわけです。内部経費の削減の一層の努力と、使用料についても使用者の理解を求めながら検討し、県への粘り強い要望をさらに強化して下さい。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 検討委員会の提言を注視し、その内容に基づいて、今後も議論を続けていかなくてはならないと考えています。

■最終目標
西宮市食肉センターの運営改善

■講じるべき手段
受益者負担の適正化
と畜数の確保による収入の確保

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