平成17年4月1日より「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品質確保法)」が施行されたことに伴い、平成17年6月議会では、市の入札制度ついて取り上げ、新しい手法の導入を提案し、西宮市での対応について議論しました。
====本会議場での議論の概要====
平成17年6月議会一般質問
1.入札と契約について
ア)入札制度改革に対する意欲
■質問の背景
入札から契約にかけての業務は、自治体が支出行為を行うにあたっての非常に重要な業務であることは言うまでもありません。本会議での議事録を見ただけでも、工事に関するものが中心とはなっていますが、相当の議論がなされており、平成13年4月から施行された「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(以後、適正化法と呼びます。)の制定によって、透明性の確保、公正な競争の促進、適正な施工の確保、不正行為の排除の徹底と、この4項目を基本原則として本市においても対応されています。
例としては、年間の工事発注見込みの公表、一般競争入札枠の拡大、予定価格の事前公表、工事検査の徹底、市内企業を対象にした指名競争入札に関しては経営審査事項の点数のみで判断されたランク分けによって自動的に指名するなどの対策が挙げられます。大抵の自治体でこれはやっていることです。しかしながら、果たして現状で十分な措置がとられていると言えるでしょうか。
公共事業の入札は、どれだけ措置をしても100%完璧な制度とするのは大変困難だと言われています。国や他の地方公共団体でも、新しく策を講じても次から次に新しい問題が発生しています。だからといって、完全な施策が考えられるまで動かないのはさらに問題であり、常に入札制度は進化させていかなければならないのだと思います。本市においては、平成13年の措置以降は、課題の検証や入札制度改革が行われずに放置されているように感じるわけです。
例えばお隣の尼崎市では、ホームページで確認できるだけでも平成14年から平成16年までに4回の改正が行われています。芦屋市においても、改革の内容がホームページを見ていてわかります。措置の内容については、各市おのおのの工夫があり、異なってはいるものの、兵庫県、神戸市、近隣の阪神間各市、どの自治体も共通して不断の努力が感じられるのですが、本市においては、この不断の努力が圧倒的に欠けている、もしくは動きが鈍いように感じます。
現に建設業協会からも要望書が提出されるなど、法人市民の不満があるのも現実です。単に企業が儲からないという不満ではなく、制度自身に不備があるという内容ですので、見過ごすわけにはいきません。その一方で、本市でも、現在は兵庫県のシステムに合わせた電子入札制度の導入に向けた研究はなされているとのことで、その意欲は一定の評価はできるものの、これは現在の入札に関する問題点が解消されるというよりも、むしろ混乱を招くことが危惧されています。
■質問1
まず、平成13年の入札改革以降、どのような検証を行い、どのような策を講じたのか伺います。
■質問1に対する市の回答
平成13年度の入札改革以降、どのような検証を行い、どのような策を講じたのかのお尋ねでございますが、15年度に契約約款を見直しまして、入札談合その他不正行為に対する措置として、損害賠償予約条項等を追加しております。
16年度には、委託仕様書において個人情報のセキュリティーに関する事項を加えるとともに、測量、設計、調査業務など労務費の割合が相当である業務について、最低制限価格を設定致しました。
また、工事の品質の確保やダンピングを防ぐため、すべての工事に係る入札に最低制限価格を設定しました。さらに、独占禁止法違反等不正行為に対する指名停止期間の加重措置を行うため、指名停止基準を改正致しました。
■質問の背景・説明
本年4月1日より公共工事の品質確保の促進に関する法律(以後、品質確保法と呼びます)が施行されました。そして、独占禁止法も改正されています。これらの経緯は、簡単に述べさせていただくと、昔から談合問題がクローズアップされ、先ほども述べました入札に関する透明性や競争性の確保、不正行為の排除等が問われ、平成13年に公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(適正化法)が制定され、全国的に入札改革が行われました。
その改革により、落札率の低下による事業コストの削減や指名競争入札における指名時の恣意性が低下するなど、一定の効果はあったものの、不況の中、公共工事が激減したこともあり、企業も仕事の確保に躍起になり、低価格入札、いわゆるダンピングの疑いがある入札が全国的に頻発しました。
また、談合疑惑もまだまだ後を絶たず、これまでの四つの基本原則によるコストの削減と同時に工事の品質の確保という二つの大きな命題が問われるようになり、品質確保法が本年4月より施行され、独占禁止法も改正されました。
いまだに本市においては、PFI手法は導入できていませんし、指定管理者制度も法律改正に合わせただけで、これまで管理委託していたものを対象にした見直ししかできていません。そして、今回の提案事項であるVE提案制度、従来の価格のみの競争であった方法とは異なる企業選定方法の導入に対しては、非常に消極的であると言わざるを得ません。大事な経営資源を使うことを決定する行為にもかかわらずです。
■質問2
そこで2点目、品質確保法と改正独占禁止法が制定されたことによる本市に与える影響を伺います。
■質問2に対する市の回答
いわゆる品質確保法と改正独占禁止法が制定されたことによる本市に与える影響でございますが、品質確保法は、公共工事の品質確保の促進に関する基本的事項を定め、公共工事の品質確保の促進を図ることにより、良好な社会資本の整備を行い、国民の福祉の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的としております。公共工事の品質確保にあたりましては、契約の内容の透明性並びに競争の公正性を確保し、経済性に配慮しつつ、価格以外の技術力や品質等の要素を含め、価格と品質にすぐれた調達が必要でありますので、評価項目、例えば総合的なコストに関する項目、工事目的物の性能、機能に関する事項、社会的要請に関する事項などの評価点をどのように金額に換算するか、技術的に難しい面もございますので、今後、その運用にあたりましては、国、県等の動向を把握しながら研究してまいりたいと考えております。
■意見・要望
入札改革に対する意欲に関してですが、まず初めに平成13年の入札改革以降の取り組みについて御答弁いただきました年々取り組みを行っていることはとりあえずわかりました。
適正化法制定時は、コストの削減に主眼を置いていればよかったわけですが、これからは、品質確保法が制定されたことによって価格競争、これから価格と品質で総合的にすぐれた選定方法を探るために、競争参加者の技術的能力を審査する、そして、技術提案を求めるように努めて、これを適切に審査、評価する方法を早急に研究しなくてはならなくなると言えるでしょう。今までと比べると、かなり高度な入札方法を研究して導入していかなければなりません。
本市にとっては不得意な総合評価式の入札も増えてくるでしょう。積極的に導入を図って、入札制度を現場で進化させていっていただきたいと思います。
また、御答弁にもありましたとおり、工事のコストだけではなくて、環境負荷の軽減など社会的コスト、そしてまた工期の縮減等の時間的コスト、またライフサイクルコスト、これらを数値化して総合的に評価して選定する手法、これが国では研究が始まっています。そうした国の動向を注視して、適切に本市においても導入できるように調査研究に取り掛かってください。要望しておきます。
====ここまでが本会議場での議論の概要====
長くなりますので、続きは次のコラムで掲載します。