12歳未満の子供への新型コロナワクチン接種ー令和3年12月健康福祉常任委員会

2022年1月21日[カテゴリ:コラム, 医療・福祉

 5歳から11歳の子供に対する新型コロナワクチンの接種が正式に承認されたとの報道がありました。

 子どもに対するワクチンの接種については、昨年の6月議会一般質問(←クリックするとコラム「学校での感染症対応ー新型コロナワクチン」が開きます。)で、すでに議論しておりました。
 この時は12歳以上が対象でしたが、今回、5歳以上にまで対象が広がりました。

 私は、新型コロナワクチンについては、人によっておかれた環境は異なりますし、専門家ではありませんから、一概に接種するべき、するべきではないという考えはありません。そして、自治体がするべきことは、接種した方がいいのかどうか適切に判断できる情報、それも事実に基づく情報を市民に分かりやすく提供することと、接種したい方には速やかに接種できる体制を整え、接種したくても接種できない方の対応を考え、接種しない方が肩身の狭い思いをしない環境を作ることだと思っています。

 15歳以下の子供が新型コロナワクチンを接種する場合は保護者の同意が必要となりますが、ワクチン接種の目的、予防効果や副反応については様々な情報が溢れ、保護者の皆様も悩まれている方が多いと推察されます。
 
 昨年の6月にも市にお願いしていたのですが、公的な機関である自治体の保健所が、把握しているはずのワクチンの効果や発症の状況に関する情報を、学校や保育所、幼稚園等を通じて保護者に提供することがますます重要であると感じています。
 特に、昨年の第5波以降、10代や10歳未満の子供がPCR陽性になった際の症状についてほとんど情報が出ていませんし、昨年、健康福祉常任委員会で質問をしても15歳以下の子供の接種状況すら教えて頂けません。

 そのような中、国が5歳以上12歳未満の子供への接種も無料で行うことを決めたため、自治体は予算をとって迅速に体制を整える必要があり、去る12月議会で可決した令和3年度補正予算(第11号)に予算が計上されていました。概要を以下に掲載します。

新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業(小児接種等)

 先月の12月議会では、5歳から12歳未満の子供への新型コロナワクチンの接種に要する経費が計上された令和3年度補正予算(第11号)を令和3年12月16日に審査しました。その際に市から提供された資料から抜粋して掲載します。

市の説明
 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、令和2年12月に予防接種法の臨時接種に関する特例が設けられ、国主導の下、都道府県の協力により市において新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業を実施しております。
 9月にはワクチンの追加接種(3回目接種)について、国の審議会で方針が示され、自治体への通知を受け、体制確保のための予算要求を12月補正として提出しました。
その後、11月中旬に行われた国の自治体向け説明会において、3回目接種に使用するワクチンの配分量見込が示され、これまで市内の個別医療機関では取扱いのなかったモデルナワクチンを扱わなければならないことや、これまで接種対象外だった、5~11歳の小児についても、早ければ令和4年2月からワクチン接種を開始する可能性があることなど、市として想定していなかった新たな事項が示されました。
 また、1・2回目接種について、12月補正提出後も、医療機関からの接種報告が数ヶ月遅れで届き、接種実績が想定以上に伸びていることが判明しました。1・2回目接種は、3回目接種と並行して今後も継続する予定であるため、上記新たな事項への対応分を含め必要経費の増額補正を行います。

1.概要
(1)ワクチン接種体制確保事業
 国から示されるスケジュール等をもとに、接種クーポン券の発送や専用コールセンターの設置(延長)、ワクチンの管理、接種会場の開設など接種が円滑に進めていけるよう接種体制の確保を行う。
(2)ワクチン接種実施事業
市は市民へのワクチン接種を実施するにあたり、接種会場の管理運営や必要物品の確保などを行う。

2.スケジュール(変更が多いため、今回は掲載を控えます。)

3.事業費(一部抜粋して掲載します。)
【歳出】
補正額 :5億4671万4千円増額(全額国の負担)
補正後総額:58億9923万6千円 (予算現額:53億5252万2千円)
(内訳)
■委託料:5億4671万4千円増
・(新規)3回目接種に係る体制整備委託料:2億2254万6千円増
・(新規)5~11 歳の小児接種に係る接種等委託料:1億4254万1千円増

子供に対する接種に関する議論

 この補正予算(第11号)が提出される前に、12月議会では通常の補正予算(第10号)を審査した際に先取りした形で議論しておりました。

====健康福祉常任委員会での質疑の概要====

令和3年12月10日健康福祉常任委員会

■質問1(田中まさたけ)
〇3回目の接種体制について

 ワクチンの件ですが、市の個別接種と集団接種、国・県の大規模接種で受けた方とそれぞれいらっしゃると思いますが、その件数を教えて頂けますでしょうか。

■質問1に対する市の回答(新型コロナワクチン接種課長兼参事)
 2回目の接種の件数で出しました。個別接種が21万2,600回です。西宮市内の集団接種会場が8万4,782回、兵庫県の大規模接種会場の2回目が1万5,724回、国の大規模接種会場が6,511回、職域接種等が4万6,099回です。

■意見・要望(田中まさたけ)
 個別(医療機関)で接種された方が一番多いということが分かる数字かと思います。
 私たちは全体の数字を見て議論するのですが、接種された方の視点で考えると、自分がどこでいつ打ったかというのは当然分かっていて、どれぐらいのタイミングで3回目の接種券が送られてきて、3回目を打とうと思っていらっしゃる方は、当然、1回目と2回目を受けたところで受けることを想定して準備されると思います。
 ですので、その点、ちゃんと対応してもらえるかというところの御不安を解消するために、市からの広報の段階で工夫をされて、「冷静にお待ちください」という広報をされたらどうかと思います。
 それに対して、もちろん集団接種会場で受けた方は再び集団接種会場で、という形になると思います。ですので、その場所が変わるのであれば、それは早めに広報しておかないといけないと思います。
 そして、集団接種で受けた方が今度は個別接種でということになると、また、接種してもらえる医療機関はどこだ?といった具合に探さなくてはいけなくなりますし、またそのことによって、集団接種で約8万5,000人の方が接種されていますので、この方々が個別接種に行ってしまうとまた個別のほうも混み合って、個別接種で予約を取ろうと思っていた医療機関で予約が取れなかったりする混乱もあるかもしれません。そうしたことは早めに広報して、「(3回目の接種については)こういう形で準備をしています」ということをこの予算が可決しましたら着手していただきたいと思います。

■質問2(田中まさたけ)
〇子供のワクチン接種に関する差別の防止について

 ワクチンについては差別に対する対応ということも非常に重要と思っております。2回目の接種が12歳以上で、2回目の接種の方が83.8%という数字が出ておりました。そのうち特に気になるのが、小学生と中学生、小学生は12歳だけですが、小・中学生の差別が非常に気になっておりまして、その辺の対応を、今、市ではどのようなことを行っているかということを御披歴頂けますでしょうか。

■質問2に対する市の回答(保健所副所長)
 新型コロナウイルスのワクチン接種に関する差別につきましては、接種に関するリーフレットであったり市政ニュース等を通じまして、まずワクチン接種の差別が起こらないようにという一般的な周知を常に行っております。
 また、コロナ差別につきまして、人権の観点からも令和2年8月に「STOP!コロナ差別」、また、令和2年12月には「「誰か」のこと じゃない。」というポスターを作成し、市内の学校また公共施設等に掲示するなど、その周知に努めております。

■意見(田中まさたけ)
 できましたら、今のお話につきましても、件数や回数などもまた後日でも結構ですので教えて頂きたいと思います。
なぜ小・中学生かというと、彼らはまだよく分かっていない年齢かと思っています。一方で、(インターネットを含めて)マスコミ等の情報によって、いじめなどにつながることが危険性としては非常に高いのではないかと心配していまして、ここはより丁寧に(しつこいくらいに)啓発をしていただかないといけないと思います。

■質問3(田中まさたけ)
〇子供のワクチン接種に関する同調圧力の防止に向けて

 次に、(ワクチンについては)同調圧力で打たされるみたいなことがないようにはしておかないといけないと私は思っています。情報として、私が欠けていると思っているのが、例えば、今もまだPCR検査の陽性の方が、本当に減りましたけれどもわずかにいらっしゃいます。そうした方々のワクチンの接種率、その辺が有効な情報かというふうに思います。
 あと、副反応の状況も、やはり過剰に副反応のことを御心配されている方もいらっしゃいます。ただ、なかなかそういった情報が市単位では出てこないと思っているのですが、その辺は市のほうは把握されているかどうかということと、公表の準備はないのか教えて頂けますか。

■質問3に対する市の回答(新型コロナワクチン接種課長兼参事)
 副反応の状況につきましては、医療機関のほうから上がってきます副反応の報告書の件数等については、市のホームページで上げて公開はしております。副反応状況報告書の件数等については、市のホームページで公開しております。

■意見(田中まさたけ)
 市のホームページに上がっているということですが、ちょっと見つけられなかったので、またよく見ておきたいと思います。
 「どこを見たらそういう情報が載っている」ということを私は分からなかったのですが、市民の皆さんも分かりにくいのではないかと思います。その辺もまたしっかりお知らせしておかないといけないのではないかと感じました。
 あと、ワクチンを接種した方、していない方に関する情報です。この点についても一時期は市のホームページにも載っていたとは思いますが、引き続きそういった情報提供もしていただいたらいいと思いました。そういう情報を別に隠す必要はないと思いますので、市が掴んでいる情報というのは積極的に出していただきたい。情報量は多くなりますから、どこを見たら分かるかということも併せて広報していただければ思います。

====ここまでが健康福祉常任委員会での質疑応答の概要====
 
 これまで、多くの市民がテレビからの情報で不安に陥っている際には、行政がもつ情報の開示が、より重要だということを実感してきました。
 
 健康福祉常任委員会での最後の質問は、私の質問の内容が不十分だったと反省していますが、市の最後の回答にありました市のホームページに掲載されている情報は、すべての年齢の方をひとくくりにした副反応の件数だけとなっており、子供の接種の同意をする保護者にとっては、あまり参考にはならないと思います。
 市民から寄せられる不安を勘案すると、5歳以上に対象年齢が拡大されるにあたっての必要な情報を生活者目線で提供できていないと言わざるを得ません。

 結果、今のところ、基礎疾患のない子供に対して新型コロナワクチンを接種するメリットは、感染時の重症化リスクと比較すると高いとは感じられません。

 これまで積極的に動こうとしなかった西宮市に期待するのは酷なのかもしれませんが、子供の感染時の発症の状況や学校園での対応方針、ワクチンの効果に関する情報など、一刻も早く学校や保育所、幼稚園等の施設を通じて情報提供することで不安を抱く保護者に寄り添って頂けるよう、今度も粘り強く求めたいと思っています。

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