学校での感染症対応ー新型コロナワクチン

2021年9月8日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

 新型コロナウイルス感染症の第5波も、緊急事態宣言の効果なのか、ワクチン接種の効果なのかはっきりしませんが、関西では少し落ち着いてきました。しかし、1週間平均の陽性率は27.9%と高く、ワクチンの接種が進んだせいか、PCR検査を受けていれば陽性になる状態の方が確認されていないだけなのかもしれません。

 そのような中、現在、西宮市議会では9月議会が開会しており、本日が一般質問の最終日でした。

 今回も前回のコラムに引き続き、令和3年6月議会一般質問で私が行いました議論の内容を掲載します。

 初めは不手際が目立ったワクチンの接種も徐々に進み、今後の課題は、希望する若年者への接種体制の強化と接種判断に関わる情報提供に合わせて、接種を済まされた高齢者の抗体が減少し始める時期の対応だと考えています。

 令和3年6月議会一般質問では、デルタ株がまん延する前ではありましたが、重症化リスクが低いと言われる10代、中でも保護者の同意が求められる小・中学生のワクチン接種について取り上げて市と議論しました。

====本会議場での議論の概要====

令和3年6月議会一般質問

2. 教育環境について
ア)学校での感染症対応
(中高生に対する新型コロナワクチンの接種)
■質問の背景(田中まさたけ)

 感染症対応として、現在、ワクチンの接種が懸命に進められております。そして、ワクチン接種の対象者が12歳以上に引き下げられました。西宮市では6月15日時点で、7から15歳のPCR検査陽性者は159名いらっしゃいましたが、亡くなった方はもちろん、これまでに中等症、重症となった方はいらっしゃらないと伺っております。

 そして、公益財団法人日本小児科医会が去る6月16日に12歳以上の小児への新型コロナワクチン接種についての提言を発表しておりまして、その中で、「保護者や本人への丁寧な対応が可能な個別接種を基本とし」と提言されております。また、その提言の中で、基本的に感染しても極めて軽症な年齢層における接種においては、有害事象の発生は極力抑えるべきであることも指摘されております。

 このたびのメッセンジャーRNAを用いたワクチンは、世界で初めて実用化され、いまだ効果の持続期間や、長期の人体への影響などが分かっていない状況にございまして、インターネットやマスコミにおいて、デマや推測と思われるものを含めて、様々な情報が飛び交う状況になっています。

 厚生労働省が発行している資料には、「新型コロナワクチンは、発症を防止し、重症者や死亡者の発生をできる限り減らすことを目的としています」とワクチン接種の目的が掲載されておりまして、同省のホームページでのQ&Aでは、「新型コロナワクチンによって、集団免疫の効果があるかどうかは分かっておらず、分かるまでには、時間を要すると考えられています」と掲載されております。

 つまり、今のところ、接種者本人の発症予防が目的であり、接種後に感染することすら否定されておりません。その点を前提にして、自分自身のリスクとメリットを比較して判断しなければなりません。接種は義務ではなく判断は自己責任です。
 
 特に保護者の同意を要する年齢の子供が接種できるようになった際には、子供のリスクについてはまだよく分かっていない中ではありますが、保護者に対して正確な事実を丁寧に周知する必要があると考えます。

■質問(田中まさたけ)
 今後の12歳から16歳までの子供たちに対するワクチンの接種開始の時期の見込み、会場や接種体制の予定についてお尋ね致します。あわせて、子供にワクチンを接種させるべきか否か悩んでいる保護者も少なくないと思います。学校では、接種の有無による差別防止対策を徹底するとともに、学校を通じてワクチンの接種目的や効果、副反応の発生状況など、接種を判断するための公式の情報を繰り返し提供していくべきと考えますが、市の対応をお尋ね致します。

■市(保健所)の回答
 まず、接種開始の時期についてですが、現在、市では、接種の優先順位に基づき、65歳以上の高齢者や基礎疾患を有する人、60歳から64歳の人を対象に接種を進めているところでございます。御質問いただきました12歳から16歳までの対象者には、7月15日に接種券の発送を予定しており、国の定めます基礎疾患を有する方につきましては、接種券が届き次第、接種予約を行うことができます。
 その他、12歳から16歳までの対象者につきましては、8月から接種開始が実施できるよう検討しています。

 次に、接種会場、接種体制についてですが、接種につきましては、他の対象と同様、医療機関が実施します個別接種と市が設置します集団接種会場での接種を予定しております。また、現時点では、所属する学校での集団接種の実施は予定しておりません。

■教育委員会の回答
 学校におけるワクチン接種の有無による差別防止対策の徹底についてお答え致します。
 国は、児童生徒のワクチン接種について、個別接種を基本とする方針を示しました。また一方で、接種の有無による差別が報道されるなど、絶対にあってはならないことが取り上げられる現状であります。ワクチン接種は、希望しても、既往歴や現病歴、当日の体調によっては接種できない場合も考えられます。
 教育委員会としましては、いかなる理由があってもワクチン接種の有無による差別を未然に防止するため、各校園長会議や生徒指導担当者会などを通じて、児童生徒及び教職員へ差別防止を周知徹底するとともに、改めて通知を発出し、啓発に努めてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 学校現場で確実に御対応頂けますように、周知徹底をお願いしておきたいと思います。健康福祉局長の御答弁もありがとうございました。引き続き大変だとは思いますが、準備のほど、よろしくお願いいたします。
 また、お答えにはございませんでしたが、学校を通じまして保護者に対してワクチンについての情報提供についても機会を増やすことについて、改めて要望しておきたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 小・中学生や高校生を育てている保護者の方々は、子供に接種させるべきなのかどうか、副反応等のリスクと重症化の回避のメリットの比較はどうなのか、様々な情報が飛び交っていることで、不安を抱き、慎重に検討されている方が多いのではないかと推察しています。

 保護者に対する情報提供については、保健所からも教育委員会からも回答がありませんでした。

 ワクチンの接種は義務ではありません。ご本人にとってメリットが高いと判断して希望した方が接種すべきものであると私は考えています。そのメリットやリスクを判断し約するために、国が発表しているデータをもとに副反応や重症化リスクなど実際の数値を用いながら客観的な事実を分かりやすくまとめて伝えることも公の役割と考えています。
 
 きめ細かな対応が求められる市が、その役割を国に任せきりにして放棄するべきではありません。

 私は、市として国から情報収集を行ってまとめ、学校や市の様々な広報媒体を用いて、分かりやすく市民に伝えていくべきであると考えていますので、引き続き動向を注視していきたいと思います。

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