幼児教育振興プログラムの策定を提案―平成21年12月議会一般質問

2010年2月21日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

 前のコラムに掲載しました通り、社会構造が大きく変化してきた中で、ニーズがなくなりつつある公立幼稚園を無理やり存続させるために「市立幼稚園振興プラン」を策定する市の姿勢を否定しました。

 私は、「幼稚園」を振興するためだけではなく、幼稚園や保育所等の子育て支援施設やご家庭で子供たちが過ごす中で、西宮のすべての子供たちが受けることが望ましい「幼児教育」について、保育所や幼稚園の関係者だけではなく、保護者や地域の方々とも情報を共有することで、一丸となって子供が育つ環境を作るべきではないかと考えています。
 
 そして、文部科学省が「幼児教育振興アクションプログラム」を策定して取り組みを進めている中で、西宮市においては、次世代育成支援行動計画の前期計画では、平成16年度中に策定予定となっていた「幼児教育の振興に関するプログラム」の策定が実現されないまま、後期計画(素案)では記載が消えていることを問題視しました。

 そこで、平成21年12月議会において、文教住宅都市である西宮市での「幼児教育振興アクションプログラム」を策定するべきと主張しました。

====本会議場での議論の概要====

平成21年12月議会一般質問

1.今後の幼児教育のあり方について
イ)次世代育成支援行動計画後期計画の策定を受けて(以後、「後期計画」)
■質問の背景(田中まさたけ)

 先般11月27日に開催されました厚生常任委員会において次世代育成支援行動計画後期計画の素案が発表され、現在パブリックコメントが行われております。
 
 まず、私は幼稚園行政に関する記述が非常に少ないということに驚きました。一見多岐にわたって配慮されているように見えますが、次世代育成支援と言いながら、就学前児童の約3割が通園している幼稚園のことを軽く扱うというのは理解しづらく、健康福祉局と教育委員会の連携が不足していることが露呈しているように私は感じました。

次に、後期計画を策定するにあたって、前期計画の総括が不十分であると思われます。前期計画で掲載されていた事業の項目が、理由が示されることもなく削除されているものが幾つか見受けられます。
 それは、特に私立幼稚園に関する事業に多いように思いますが、平成16年度中に策定予定となっていた「幼児教育の振興に関するプログラム」の策定などは、成果物を見たことがございません。

■質問1(田中まさたけ)
 皆さんのお手元の資料にも本文を抜粋したものを掲載しましたが、平成18年に、幼保一元化の動きと連動して、文部科学省から「幼児教育振興アクションプログラム」が示されておりますが、「子育てするなら西宮」を標榜する本市の幼児教育のあり方を議論し、幼児教育振興アクションプログラムの西宮市版を策定することは、市民に対して方向性や重要性を示していく上で非常に重要なものであったと考えますが、この点どうなっているのか、お聞かせください。

■質問1に対する市の回答
 1点目の幼児教育振興に関するプログラムの策定につきましては、平成13年3月に国、文部科学省が幼児教育振興プログラムを策定し、これを受け、県が平成14年3月に「兵庫の幼児教育の振興に向けて」を策定致しました。
 この間、教育委員会におきましては、平成16年度に西宮市における幼児教育の振興についての作成に着手致しましたが、御指摘のように、平成18年10月に国より「幼児教育振興アクションプログラム」が新たに示され、市教育委員会として最終的な案の作成に至ることができず、今日に至っております。

■質問2(田中まさたけ)
 (次世代育成支援行動計画では、)認定こども園の設置に向けた検討会を設けているとのことで、このアクションプログラムのこともそうですが、幼稚園、保育所、認定こども園、これらをそれぞれ単体として捉えて検討するだけではなく、それぞれのあり方について、需要の動向を加味した総合的な議論が不可欠であると考えます。
 今後、幼稚園と保育所と認定こども園、その他の子育て支援施設を一体的に議論する場を設置して議論を始め、それぞれの施設における幼児教育に関して、市独自の幼児教育振興アクションプログラムを策定し、早急に実施に移せるように計画すべきと考えますが、市の見解を伺いたいと思います。

■質問2に対する教育次長の回答
 先ほどの経過も踏まえ、就学前すべての子供たちの幼児教育について、教育委員会及び健康福祉局を中心に、外部委員なども入れた総合的に審議を行える場を設け、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

■市の回答を受けて(田中まさたけ)
 全般的な感想から申し上げますと、(幼児教育の振興については、)これまであまり何もしてこなかったと思われます。例えば国の動きとして、幼児教育振興アクションプログラムを策定されたのは平成18年で、現在は、平成21年度です。何もしていないということですので、早急にしていただきたいと思います。

 今後の幼児教育の方向性は非常に大事だと思います。

 これまで教育委員会と健康福祉局、子育て支援のことについては特に、連携を強化していくといった内容の御答弁をさまざまな場面で聞いてきました。しかし、今回の、次世代育成支援行動計画後期計画の素案を見ている限り、まだまだ教育委員会と健康福祉局の連携が不足していると、実態が伴っていないと感じました。

 教育次長から、「就学前すべての子供たちの幼児教育」、つまり、「幼稚園教育だけではなくて、すべての子供の幼児教育について」、「外部委員なども入れて」という踏み込んだ内容で、「総合的に審議を行える場を設けて取り組みを進めていく」とご答弁頂きました。

 これからの幼児教育のあり方の議論を進めていくという意欲的な御答弁と私は期待しております。

■再質問(田中まさたけ)
 その審議の場の設置等々について、今回の後期計画においてぜひとも掲載すべきであると私は考えますが、市はどのようにお考えなのか、お聞かせ頂きたいと思います。

■再質問に対する市の回答
 先日、所管事務調査で次世代育成支援行動計画の後期計画の報告をさせて頂きました。また、今議会でも、この一般質問、また今後の常任委員会でも、いろいろ御意見を頂くであろうと考えております。それらにつきましては、現在、市民の方にお願いをしておりますパブリックコメント、ここから出てくる御意見もあわせまして、今後、本計画の策定委員会の中で検討を行いまして、来年2月中旬ごろを目途に、計画案に反映させてまいりたいと考えております。

====ここまでが本会議場での議論の概要====
 
 「幼児教育振興アクションプログラム」の策定については、まずは、市役所だけで検討するのではなく、外部委員(王子教育の現場に携わっている方々など専門家)に入ってもらって、その策定の必要性を含めて検討する「場」を設置するという回答を得ました。

 まずは議論が必要。そのための場が必要。
 裏を返すとこれまで議論する場すらなかったということにもなりますが、一歩前進だと期待したいと思います。

(追記)
 完成した西宮市次世代育成支援行動計画 後期計画はこちらになります。

 「幼児教育の振興に関するプログラムの策定」の文言は消えたままですが、「幼児教育のあり方を検討する場の設置」は新規の取組みかつ重点事業として記載されています。

 今後も、「幼児教育」の充実に向けて、取り組んでまいります。

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