保育所行政における不公平の是正ー平成30年12月議会一般質問③

2019年2月25日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

保育所の待機児童解消のために、
翌年度からいきなり大幅な定員増ができ、
かつ、需要が落ち着いたらすぐにたためるような形で
新しい保育所を整備できるのであれば、誰も苦労はしません。

土地も担い手も不足し始めている中で、
保育士さん一人の雇用にも関わる話でもありますから、
保育所は将来の需要を鑑みながら、計画的に整備しなければなりません。

そこで、
認可保育所を希望しながら
入所している児童と入所できない児童の不公平を指摘し、
多くの市民が支持した市長の公約と照らし合わせて
暫定的にできる措置として、
認可外保育所を利用しているご家庭の負担軽減に公費を投入するよう提案しました。

既存施設の活用の発想です。

私は、3人の子育て中ですが、
3人とも、子どもが幼稚園(2年保育)に入所する前に、
認可外保育所でお世話になっていたこともありますから、
認可外保育所でも、しっかりと保育も遊びも教育もしてくれることを経験しています。

認可外保育所は、不足している認可保育所の受け皿では決してないのですが、
認可保育所の入所を保留されているご家庭も、多数の方が利用されていると推測し、
そうしたご家庭に補助金を支給することで、
待機児童となっても、経済的な負担だけは軽減することができるのではないかと考えました。

平成30年12月議会一般質問での議論の続きです。
配付資料はこちらになります。

=====ここからが、本会議場での発言の概要=====

■主張
保育所入所児童への公費投入額を鑑みますと、
せめて待機児童が解消されるまでは、
保留児童が多い、特にゼロ・1・2歳の児童に対して、
公平性の観点、そして少子化対策の観点から、
緊急措置として本市独自で、
暫定的に認可外保育所を利用する保護者の負担軽減を図るべき
と考えます。

■質問
入所児童と保留児童に対する公費投入の不公平を是正する観点から、
利用調整指数など一定の条件のもとで、
ゼロ・1・2歳の認可外保育所利用保護者に対して
暫定的に負担の軽減策を講じることについて市の見解をお尋ねいたします。

■質問に対する回答
認可保育所に入所している児童と
認可保育所の入所が保留となり認可外保育所を利用している児童とで
経済的負担の格差が生じている現状につきましては、
市としても課題として捉えております。
その負担軽減のための補助につきましては、
今後進めていく保育所待機児童対策や、
平成31年10月に実施予定の幼児教育・保育の無償化の影響を考慮した上で、
検討
を行ってまいります。

■田中の主張
答弁では、入所の可否によって経済的負担の格差が生じている現状については
「課題として捉えている」というお答えがございました。
(何とも、他人事の答弁内容です。)
ですので、
本当に課題と捉えているのかなというところを確認させてもらいたいと思います。
認可保育所に入所しているゼロ・1・2歳の児童を保育するために
投入されている公費は、平成23年度の決算しか私は知りません。
(平成23年度決算では)
公立保育所で月額19万5,000円を市が負担しています。
民間認可保育所では、公費としては11万2,400円が投入されていまして、
そのうち市は7万7,600円を負担していると示されています。
この後のデータがないものですから、
新制度に移行してから状況が変化しているとも思います。

■再質問1
最新の平成29年度の決算において、
ゼロ・1・2歳の児童に対してどの程度の公費が投入されているのか、
把握されてますでしょうか。

■再質問1に対する担当局長の回答
認可保育所に入所しておられますゼロ歳から2歳、
いわゆる3歳未満児に対する公費の投入額ですが、
平成29年度決算の1人当たりの月額が約16万9,000円となっております。

■田中の主張
月額16万9,000円、約17万円ですね。
現時点で、保留児童がゼロから2歳で1,044人いらっしゃいます。
これは、
本来は市が公費を投じて保育所で受け入れなければいけなかった児童数です。
つまり、月額約1億8,000万円(17万円×1044人)を投じて受け入れなければいけなかったことになります。
これは11月1日現在の数字ですので、
4月から11月の間まではもう少し保留児童数が少なかったのかもしれませんが、
これを(単純に12カ月をかけて)年額に直すと約21億円です。
これが本来かけないといけなかったお金なのです。
それをかけてないのです。市民を待たせていながらです。
約21億円の財源、
月額1億8,000万円の財源を市は浮かしていると捉えることができるのです。
市民を犠牲にしてです。
このことを重く受けとめてほしいのです。

今、西宮市はそういう状況にあると。
ただ単に市民に迷惑をかけているだけではないのです。
それだけ悪いことをしているのです。

それは別にわざとやっているわけではないことは承知しています。
資料でも示しましたが、一生懸命保育所の整備もしてます。定員も増やしています。
それでも需要が高まって、
なかなか待機児童が解消されないわけです。

この本来受けられるはずの月額約17万円(の保育サービス)、
これを、利用調整指数の点数が高い・低いで判断して、
ボーダーから1点でも低かったら受けられないという現状はかなり不公平だと思います。
幾ら調整指数で差をつけているといっても、
テストをしているわけではないですから、(本人の実力とかではなくて)
その人の置かれた状況だけで判断しているわけですから、不公平な状態
なのです。

■再質問2
市長に問いたいのですが、
こうした状況に対して、全く救いの手も差し伸べずに来年の4月を迎えるおつもりであるということで
理解してよろしいですか。

■再質問2に対する市長の回答
今おっしゃられた論点――
入れる方と入れない方によって、受けられるサービスといいますか、
その差があるというようなことは、これは田中議員がおっしゃられるだけでなく、
多くのところでなされてきた議論であります。私も当然承知をしております。
(だったら、もっと迅速に対応しましょうよ。)

そこで、私も当局とはいろいろ議論をしました。
議員に質問通告をいただいた中で、
先ほど御自身がおっしゃった緊急で暫定的に市独自のというようなことが考えられないか
というようなことも議論はいたしました。
ただ、現実問題、今ここで申し上げられるのが、
来年の10月から保育の無償化という制度が始まって、
そして保育需要が大きく変わる中で、
来年10月までを見越して何か新しい制度をするというようなことの判断に至っていないというようなところでもあります。
そういう意味では、何も手を差し伸べないのかというようなことに関しては、
今すぐここでどんな手がというようなのは正直イメージができているところではありません
が、
課題として認識をしているというようなことをまずお答えさせていただければと思っております。

■田中の主張
少し、論点を変えます。
市長は、市長選挙の際に、待機児童ゼロを重点政策として公約に掲げていました。

■再質問3
(市長の意を受けて政策推進に向けて調整する立場にある)副市長に問いたいと思います。
副市長はそのことを御認識されていますか。
それは今変わっていないのかということをお聞きしたいと思います。

■再質問3に対する副市長の回答
市長が選挙のマニフェストとして待機児童ゼロということについては認識しておりますし、
それは今も変わってないというふうに思っております。

■再質問4
変わってないとご認識なのであれば、今度は市長に問いたいと思います。
これは、いつまでに実現しようと目標を掲げられてますか。

■再質問4に対する市長の回答
これは、さきの定例会でも、政策それぞれの年限がいつかということは、
川村議員からお問い合わせいただいたことと同じような答えになってしまいます。
現時点で、申しわけありません、
いつまでにゼロというようなことを明示できる状況ではございません。

■田中の主張
市長のホームページからちょっと引用させていただきたいと思います。
タイトルが「徹底した待機児童対策を進めるなど、子育て世代を全力応援!」になってます。
その文章の中で、
「待機児童問題は、相当なエネルギーを注いででも、改善せねばいけない課題です」と書いているんですね。
これを副市長は読んでますか。
「女性活躍を謳う中で、待機児童問題が立ちはだかってしまっては、元も子もありません。
また、子育てするなら西宮、という割には、子育て政策が充実していない、というのが多くの子育て世代の声です」と書いてます。
そして、「他の自治体でできていて、西宮でできていないことは、たくさんあります」とあります。

確かにそうなんです。
私も調べましたけれども、こういう認可外保育所の補助というのは、
市長もよく御存じだと思うんですけど、明石市さんがされてます。
これは上限が2万円なのですが補助をされてます。
これが平成28年にされておるんですね。
そういう事例がある中で、今のお答えでは、
いつまでに待機児童を解消できるかというのはちょっとまだ答えられないということでございましたので、
それを問い詰めても今はしようがないのですが、
市長はこういうことをおっしゃっているのです。

■再質問5
副市長は、その市長の意思を受けて、ちゃんと市役所の中で検討してもらわないといけないのではないですか。
それはできているのでしょうか。

■再質問5に対する副市長の回答
待機児童の解消ということにつきましては、
これは行政としても非常に課題であるということでございます。
それにつきましては、解消に向けて、例えば保育所を建設して定員枠を広げるという手法ももちろんありますし、
それに向かって、今回の場合、1,500人の定員増という中で一定のクリアはしたという中で、
なおも本市の場合、待機児童について来年の4月の時点でもある中で、
なおこれについてはやっていかないといけないという中で、
いろんな手法を考えているということでございます。
それについては、こども支援局だけではなしに、当然我々のほうもその中に入って議論しております。

ただ、来年度末で待機児童をゼロにするという、
これについては、当然保育需要との関係がありますから、
議員も御存じのように、今まで本市も待機児童に対しての解消ということでやっていく中で、
目標を立ててやっていく中でもなお待機児童が発生しているというのは、
これは本市の子育てするなら西宮という中で
西宮に多くの方たちが来られるということの中での本市の特性もありますから、
その辺については、常に時間はかかっていくというんですか、
そういうふうに私は認識しております。

 
■田中の主張
聞かれたことだけに答えてください。
次に、表に示しましたけれども、図の3番目です。
これは、待機児童と出生数の推移ということで示しました。
出生数がふえれば待機がふえるというわけではありません。
むしろ待機児童が減ったら出生数がなぜかふえたりしているんですね。
つまり、これは仮説ですが、
西宮では今は保育所に入りにくいから、
第2子以降は入れないかもしれないから、
少し様子を見ないといけないと思っている人も、いらっしゃるのではないか
なと。
つまり、この(出生率と待機児童の)関係に、
ある程度相関関係があるんじゃないのかなということも私は感じました。
ですので、第2子を安心して育てられる環境は、
少なくとも整備しないといけないと思います。少子化対策の中で。

ところが、先ほど、待機児童はいつ解消されるかわからないのに、
待機児童が解消されるまでそんなことはできませんということがお答えであったわけなんです。
だから、改めてこのグラフも示しました。

今すぐ何か対策を講じないと、
もっともっと子供は減っていきますよ。

それを指をくわえて見ているんですかということなんです。
なので、できることはやっていきましょう。

確かに無償化は財源に影響があるでしょう。
市長が選挙のときに掲げられたときには、もうその課題はあったのです。

市長選挙の後に決まったのと違います。
無償化は、その前からすると決まっていたんですよ。
今さら無償化でどんな影響があるかわからないあから、
とりあえず様子を見るでは、それはまずいと私は思いますし、
先ほど言いました市が投じるべき費用月額約1億8,000万円は、
無償化になろうがなるまいが、投じるべき費用なのです。

(論点が異なるのです。)

■再質問6
だから、来年の4月から、少なくとも、ある一定条件を加えて、
暫定的に、認可外保育所に通わせざるを得ない――無認可保育所の方にはちょっと失礼ですけれども、
そちらを利用されている方に少しでも補助をすべき
ではないかと問いました。改めてお答えいただけますか。

■再質問6に対する市長の回答
今、田中議員の計算で1億8,000万円の月の分が
本来は市として投じるべきお金というようなことで、
これは、そういう物の見方もあるのかということで今お聞きをしたところであります。
ここで一緒に局も全て聞いておりますので、その中で、今ここで、済みません、
即答するのは控えさせていただきますが、質問の趣旨はよくよく理解したつもりでありますので、
今はそのあたりの答弁で御理解いただければと思います。

■まとめ・要望
わかりました。
改めて、来年の4月から実施できるよう、早急に検討をしていただきたいと思います。
もし、仮に本当にできないという結論が出てきたときには、
少なくとも先ほど申しました少子化対策は、
いつ解消されるかわからないような待機児童が一定落ちついたら講じますではなくて、
できることをまずやりましょう。

ですので、一番最初に申しましたけれども、
第2子加算、これは、第2希望に回らざるを得なかった人にも
加算というものがあるという姿勢ぐらいはせめて示してほしい
と思います。
このこともあわせて次の4月から対応ができるように、
これもまた検討していただきたいと思います。

=====ここまでが、本会議場での発言の概要=======
市長にのみ、予算の編成権と執行権が認められています。
だからこそ、選挙の際の公約に、責任が生じることになります。

前市長は、公約をほとんど達成することができませんでした。

現市長には、同じ轍を踏んで、市民をがっかりさせることのないよう、
市政の意思決定について、市民の信託を受けた議員として、
市民が支持した政策について、是々非々で追及しながら前に進めていくことが
市民の、政治や選挙に対する信頼を取り戻すことにつながると信じて

取り組んでいきたいと考えています。

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