不祥事が続く西宮市が行うべきこと①ー官製談合の再発防止対策

2019年6月10日[カテゴリ:市役所改革, 質問

西宮市での不祥事が、新聞で取り上げられています。
先日5日にも、市長から市の管理職に対して訓示がありました。

残念ながら、これまでも不祥事はたびたび生じており、
その不祥事に対する市の対応の甘さを指摘する声は
西宮市議会であがっていました。

市長が、職員に対して「意識を変えよ」と号令をかけて
変わる職員ばかりであれば、苦労はしません。
問題は、大きな守られた組織の中にいることをいいことに、
その号令が全く響かない職員が存在し、
その存在に対して組織がどのように対処するかにかかっていると私は考えてきました。

そのことを先日の3月議会での代表質問で議論しました。

対策自体が市長や市幹部による「パフォーマンス」、「お役所仕事」であることが
職員に見透かされては、解決は見込めません。
市長と市幹部の「本気」が必要なのです。

西宮市の対応のまずさが垣間見えるやり取りになりましたので、
少し長くなりますが、
以下、平成31年3月議会での議論の内容をご覧いただければ感じてもらえると思います。

======ここからが、本会場での発言の概要======

■行政の信頼性向上に向けた市役所改革
ア)官製談合の再発防止対策について

■主張
現在、西宮市公共工事不正行為再発防止対策委員会(以下「対策委員会」)が設置され、
今後の対策が検討されております。

私は、以前、決算審査(平成28年9月29日決算特別委員会建設分科会)におきまして、
上下水道局の入札事務に対する気の緩みを指摘したことがございました。

そして、残念ながら、市のコンプライアンス対策、
職員の監督体制に問題があったことが明らかになったわけです。

このたびの市職員の行為(最低制限価格を特定の事業者に漏らすこと)は、
より高い公正性が求められる入札事務において、
著しく信用を失墜する行為であり、
工事のみならず、委託事業や物品調達の入札に対しても
疑念を持たれかねないものであります。

そこで、官製談合防止のために、
予定価格と最低制限価格を事前に公表すれば
官製談合は防げるかもしれませんが、
最低制限価格と同額による抽選が横行し、
適正な競争とは言えない事例が増えることは、
本市でも経験済みでございます。

国も、これらの事前公表は控えるよう自治体に要請しています。

入札情報を事前に全てオープンにできない限り、
今後も情報管理については
職員及び事業者のモラルに一定委ねられることになります。

官製談合の再発を防止するためには、
職員については、
他の事業者への情報漏えいの可能性を絶つためにも懲戒免職、
事業者に対しては、
指名停止期間を5年ないし10年に延長するなど、
ペナルティーを強化して抑止力を高める必要がある
と考えます。
これは、
平成18年9月議会で
私が一般質問でも指摘をしたことでございます。

■質問1
今後、上述のように、工事請負に限らず、
業務委託や物品調達など全ての入札において、
官製談合が発覚した際の関与した職員と事業者の両者に対するペナルティーを
大幅に強化せざるを得ないと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。

■質問1に対する市の回答
(市職員に対するペナルティー強化について)
職員への懲戒処分につきましては、
西宮市職員の懲戒処分に関する指針に掲げる標準例に基づき、
個別の事案ごとに、対象となる行為が社会に与える影響などを考慮するとともに、
その行為の動機、態様や結果、故意または過失の度合い、
当該職員の職責や勤務実績等を総合的に勘案し、決定することとなります。
本市では、
平成14年に市の懲戒処分に関する指針を制定し、
平成21年には処分量定の厳罰化を行っており、
国の指針と比較しましても厳しい処分量定となっております。
今回御提案いただきました処分量定のさらなる厳罰化につきまして、
社会通念上相当とする範囲を逸脱した処分量定とした場合、
違法性を問われる可能性もあり、
今後の国や他市の動き、社会情勢の変化などを見ながら
研究してまいりたいと考えております。

(入札参加資格事業者に対するペナルティー強化について)
地方自治法施行令第167条の4において、
入札参加の制限は3年以内と定められております。
同条の趣旨を踏まえ、
本市の指名停止基準においても指名停止期間が3年を超えないよう定めており、
兵庫県や近隣市においても同様に3年以内で上限を定めております。
今回の事案では、市の指名停止基準に基づき、
当該事業者に対して、現在、18カ月(1年半)の指名停止措置を行っております。

御指摘いただきました罰則の強化につきましては、
再発防止に向けた取り組みとして検討すべき課題であると認識をしており、
指名停止期間の見直しの必要性について、
他都市の状況も参考としながら、今後検討してまいります。

■質問2
当局は対策委員会において原因の究明と対策の検討がなされることになりますが、
委員は全て市の幹部であり、外部の目が入っておりません。
外部の視点はどのような形で取り入れられるのか、お尋ねいたします。

■質問2に対する市の回答
再発防止の検討の過程において、
客観的な視点を反映させるため、
検討内容に応じ、
適宜専門的な知見を有する弁護士等の第三者の意見を求めながら作業を進めてまいります。

市といたしましては、
今後二度とこのような事態が起こらないよう、
信頼回復と再発防止に向けて、
組織一丸となって全力で取り組んでまいります。

■再質問
現在の対策委員会には、市の幹部だけしか入っておりません。
外部の方からの意見を求めるとは言っていますが、対策委員会には入っていません。
対策委員会で今一体何が行われているのかというのが
外からは分からない状況にあります。

委員会に外部の委員の方にも入ってもらって議論をするということが
可能なのかどうか。
合わせて、今ここでどういう調査をしたり原因究明をしているのかということを
オープンにすることは可能かどうか。お尋ねいたします。

■再質問に対する副市長の回答
一つは、私どもがまず内部でさまざまな状況を確認して、
再発防止のための対策を立てていく、
このことについて外部の方の意見を求めて、
それがちゃんと対策となっているのかどうか、
しっかり意見を求めていくということに努めていきたいと思っております。
実際の会議の中でそういう御意見をいただくかどうか、
これについては、まさにそういう方々の御意見もお聞きしながら、
これからその方法について詰めていきたいというふうに思っております。

今後、外部の意見も含めたそういう対策の内容について、
どういうふうに市民の方々も含めて公表していくのかという点でございますが、
少なくとも私どもの会議につきましては、
議事の項目、
どういうことを今やっているかということにつきましては、
これは、ホームページ等でできるだけ速やかに市民の方にわかるように
公表もさせていただきたいと思っております。

■まとめ・要望
今の調査状況については、
逐次公表のほうをお願いします。
こうしたことが起こりまして、
内部でいろいろと検討されていると思いますが、
市民の皆様から見たら、
結局市の幹部が内部で原因究明をして、
出したくない部分は隠蔽するのではないか、
そういう不信感を抱かれている中で、
マイナスからスタートしているということを認識してください。

そして、(調査の内容を)極力オープンにしながら、
原因の究明のほうを徹底的に行っていただきたいと思います。

======ここまでが、本会議場での発言の概要======

このやり取りに関して、
市長の発言は全くありませんでした。
そして、
このようないい加減な答弁を、局長や副市長がすることを許すところに、
市長が本気になっていないことが表れているように感じます。

■回答の問題点1
「研究する」とは、事実上、
「市は実施するつもりはない」ことを意味しています。
「違法性を問われるかもしれないからこれ以上の厳罰化はしません。」と。
職員に対して厳しい処分をすることに慎重になっていることを
正当化しようとする言い訳です。
重大な罪を犯した今回のケースについて、
「懲戒免職」とすることが違法性を問われるかどうかは、
裁判をしてみなければ分かりません。

仮に、有罪となって、懲戒免職処分とした場合に
当該職員が、「処分が重すぎる!」と訴えを起こしたとすれば、
いよいよ「今回の犯罪行為」を「解雇に等しい重たい行為だと認識されていない」
という市内部の空気感が露呈することにもなります。

■回答の問題点2
「平成14年に市の懲戒処分に関する指針を制定し、
平成21年には処分量定の厳罰化を行っており、
国の指針と比較しましても厳しい処分量定となっております。」
という回答は、
指針は厳しくしているが、それを厳格に執行していない点が問題であり、
次の質問項目でその問題点が露呈します。
(後日、アップします。
お急ぎの方は、西宮市議会のホームページから本会議議事録をご覧ください。)

■回答の問題点3
「検討する」という回答は、前向きな姿勢を示していると解されます。
問題点2と合わせて解すると、
「職員にはこれ以上厳しくできないが、業者には厳しくできるかも。」
と言っていることになります。
当然、市職員にも業者にも厳しく対応されるべき案件です。
市役所は「身内に甘い」と批判されても仕方がありません。

■回答の問題点4
対策委員会での議論がほとんどオープンにされそうにないということです。
「議事の項目」の公表だけではなく、
「議事録」も公表して頂かなくては、会議の内容は分かりません。

昨年の市長の所信表明では、
「外部の視点」の活用について述べられました。
平成30年6月議会 所信表明より抜粋
今回の対策委員会こそ、
その「外部の視点」として、外部委員に参画してもらうべき委員会だったのに、
「これから詰める」という回答にとどまりました。

市長が昨年の所信表明で述べた「外部の視点の必要性」とは何だったのか、
いよいよ分からなくなってきました。
昨年の6月、市長の東京の知人を「外部の視点の活用」と称して税金で招致することに失敗し、
意欲が落ちたと思われても仕方ありません。
「オープン西宮」のキャッチフレーズも含めて、あらゆる場面で、
市長の「パフォーマンスだけ」の姿勢が露呈してきているように感じます。

現時点では、当該職員に対する対応については、
裁判所の判断を待たざるを得ませんが、
再発防止の観点から、
市の対応を注視してまいりたいと思います。

■最終目標
入札制度改革及び委託契約に関する積極的な情報公開による公正かつ効率的な税金の運用

■講じるべき手段
官製談合の再発防止策の策定と厳格運用
入札制度改革及び委託契約に関する積極的な情報公開

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