未来国会ー30年後の社会を見据えた政策を考える

2019年9月22日[カテゴリ:コラム

何度かこのコラムでも登場していますが、
大学の夏休みと春休みに
NPO法人ドットジェイピーから大学生をインターン生として受入れ、
夏は「未来国会」、春は「未来自治体」という
政策コンテストに参加してもらっています。

未来自治体の詳しくは、
以前のコラムでもご紹介していますので、ご参照ください。

■若者の意識の変化
今の20歳前後の若者は、
夢を持てない人が多いとか言われることがあります。
確かに、ここ10年くらいの学生さんと接してきて
社会に求めることを聞いた時に一番最初に上がるのは、
「現状維持」と答えるインターン生が多いのは事実
です。
私が初当選したころの16年前、
2003年~2010年頃までに接していた学生さんの答えとは
明らかに違ってきています。

今の大学生は、
豊かになった日本で育ち、
その豊かさを享受し、
多少の差はあっても、
贅沢さえ求めなければ
決して不自由のない生活をしてきた人が多いです。

「現状維持」と答える学生さんを見て、
まず感じることは、
「親御さんはものすごく努力されているのだろう。」ということです。
ものすごく苦労しながら、
そうした環境を作っていることもまた、
別の場面で見聞きしているので、容易に想像ができます。
決して「今」が当たり前ではないことを
学生にまず話をしています。

そして、次に感じることは、
・少子高齢化
・社会保障費の増大による負担増
・ワーキングプア
・ブラック企業
・東京一極集中による地方の衰退
・人口減少
などの暗い話題、閉塞感に覆われた日本しか見てこなかったことで生じる、
漠然とした不安の裏返しであることが多い
ということです。

これらの課題はすべて、
今の日本に住む大人が作り出した結果であるにもかかわらず、
それらを無条件で受け入れなければならないと。
「受け入れない」という選択肢もあるのに、
今の若者はまじめな人が多いからか、
それらの課題を背負うことをなんとなく受け入れているようです。

■未来国会で得るべきもの
そのような状態で、
今回のインターン生が提案した政策は、
「病人ゼロ社会」を実現することで、
「いつまでも元気にやりたいことに挑戦できる国」
でした。

これは、
日本が抱える暗い話題を真剣に受け止め、
これらの課題を乗り越えつつ、
この国を成長させる必要があると考えた結果でした。
そして、
今後のIotやAIの技術の発展を見越し、
日本が誇る医療技術を活かして、
課題の多くを解消し、その成長を実現しようという内容です。

政策コンテストのプレゼン時間はわずか10分ですので、
提案できる具体的な政策は限定されます。

関西地区の地方予選は、34チーム中2位で通過。
全国の地方予選を勝ち上がった15チームによるWEB投票予選を4位で通過し、
決勝大会進出を果たしました。

しかし、
決勝大会での評価は大変低く、
4チーム中4位という結果に終わりました。
が、その結果からもまた、学ぶべきことがたくさんありました。

未来国会に参加する学生たちには、
今の「常識」を疑って、
今の「普通」ではない政策かつ実現可能な政策提案が求められます。

決勝大会に行くまでには、
政策を作り上げるための取材やWEBでの投票、
先輩インターン生の経験・指導など、
多くの方々にご協力を頂いています。
ですので、妥協は許されません。
悩みながら、迷いながら調査し、考え抜いてもらっています。

「他のどのチームよりも全力で努力をする。」

その結果、
これまでの田中インターンが4年間で出場した全6チームが
地方予選を突破し、
6チーム中5チームが全国大会に出場するという
「貴重な体験」を得られているのだと思います。

彼らは、その経験と自信をもって、続きの大学生活を送り、
さらに自分を磨き、
いずれ30年後、50年後のまちづくり・国づくりを担う「人」となります。

未来国会から得られるものは、
インターン生にとっても
私にとっても
社会にとっても
大変大きなものが毎回あることを実感しています。

そして、田中インターン30期生のお二人へ。
「全国大会出場おめでとう、そして、これからも頑張ってください。」


ドットジェイピーさんの田中事務所担当スタッフと一緒に記念撮影
今春に私の事務所でインターンをした学生です。
今回のインターン生へのアドバイスや問い合わせ対応など、
きめ細かにフォローしてくれました。
ありがとうございました。

■時代の変化
私にとっても、
大学生と共に、30年後の社会のことを考える機会は、
非常に貴重な機会となっています。

25年前、私も大学生でした。
当時は議員インターンシップなど当然ありませんでした。
そして、
大学に入学するまでは、
私は携帯電話の実物を見たことがありませんでした。
自動車電話というのがあるとは、
聞いたことがあったような気がします。
そして、
大学生だった4年間で、
爆発的に携帯電話が普及しました。
確か、ドコモ、セルラー(今のAU)、関西デジタルホン、ツーカーホン関西
の4社が選択できました。
普及のお手伝いをするだけでアルバイトになる時代でした。

そして、
大学4年生の時には、卒業研究のために研究室に配属され、
その研究室で始めてインターネットを使いました。
確か、電話回線を使っていたはずです。

それから25年、
IT技術は急速に進歩し、
移動電話は小型化し、
折りたためるようになり
メールができるようになり、
インターネットも見れるようになり、
スマホになり、
電話を耳に当てなくても
遠くの人と会話ができる時代になりました。
そうした技術の向上に合わせて
生活はどんどんと便利になり、
情報公開も進みました。

様々な技術の進歩による
日本の生活様式の変化を実感してきましたが、
25年前の私は、
今の社会を想像することはできていませんでした。

2年前になりますが、
二十歳を祝うつどいで、新成人を前に
祝辞を述べる機会がありましたが、
その祝辞の中でも言ったことです。

■未来の人に誇れる政治
今の政治に携わっている私たちは、
30年後の未来の人たちに誇れる西宮を、
そして、国をつくっていく責任があると考えています。
インターン生と共に議論して考える政策は、
実際の政策を考える上で大変参考になっています。

日本では、
政治の世界は、世間の動きや感覚から遠く、取り残されているようにも感じます。
それでは、国の未来のことなど
まともに議論できるはずもありません。

今回は、インターン生と共に世界の動きを集中的に調査する中で、
IoTやAIの技術が発達した社会、
30年後の姿を強く意識するようになりました。
そして、
GAFAの台頭とこれからの社会システムの変化、
その世界の潮流で
日本と自治体が講じるべき政策を考える機会となりました。

私に刺激と学びをもたらしてくれるインターンシップに感謝し、
得た情報や学びをまた、
政策提案に活かしていきたいと思っています。

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