整形外科と接骨院。
今まで一度も言ったことがない!
という方は、おそらく一人もいないのではないかと思っています。
しかし、それだけ馴染みのある
整形外科と接骨院の違いを知らない方も多数いらっしゃると思います。
私は、中高、学生時代に、よく近所の接骨院にお世話になっていましたが、
保険証と診察券を持っていってましたので、病院だと思っていました。
整形外科は診療所(入院ベッドが20床以上で病院)、
接骨院は施術所と呼びます。
その他、いろいろと別々の法律で決まっています。
この生活に密着した接骨院ですが、
全国的に柔道整復師による不正請求が問題視されています。
そして、時折、悪質なものは新聞報道されています。
自分がお世話になっていた接骨院が、
もし、そのような不正を働いていたら、やっぱりショックです。
もちろん、大半は不正をしてです。
そのような中、
平成19年度までに柔道整復の療養費が大きく増加していた状況を受け、
会計検査による指摘があり、平成24年3月12日付けの厚生労働省通知
「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」
(↑クリックするとご覧頂けます。)
が出されました。
この通知に基づいて、保険で接骨院の施術を受けた患者に対して文書を郵送し、
施術を受けることとなった理由や施術内容等について照会しています。
この通知では、患者照会の目的を、
柔整療養費の適正化の取り組みの一環としていました。
国民が支払った保険料と税に関わることであり、
健康保険の財政、保険料にも影響を及ぼすことであり、
不正防止のための効果的な対策・監視が必要です。
しかし、患者が悪意をもって
柔道整復師と共謀しているケースはまれだと思います。
ですので、
まるで患者が悪いことをしているかのように受け止められる
取り調べのような照会は不適切と言わざるを得ません。
この文書照会によって、過度の受診抑制につながっていたり、
患者照会を受けることのない整形外科での治療に
切り替える方もいるという指摘がありました。
それが本当であれば、
きっちりと法律を守っている施術所に対する
営業妨害行為にもなってしまいます。
最近、高齢化の影響からか、整形外科が増加していますが、
一方で、違法看板を掲げたり、違法な内容が掲載されたチラシを
施術所前や近所に配布して回っている悪質な接骨院も増えてきています。
市は、対策を講じるまでに時間がかかりますし、
対策を講じても、その効果の検証を怠る癖があります。
いわゆる、やりっ放しです。
今の状態を放置していては、
本来の目的である不正の防止や医療費の適正化に寄与しない可能性があると考え、
令和元年6月議会一般質問では、「医療費の適正化について」のなかで、
療養費の文書照会の効果について議論しました。
=====ここからが、本会議場での議論の概要======
3.医療費の適正化について
(接骨院の患者に対する調査文書の内容)
■質問の背景
現在、平成24年3月12日の厚生労働省通知に基づき、
柔道整復師の施術の療養費の適正化の取り組みとして、
本市では一定の条件を満たした接骨院の患者に対して
年間800件の文書による照会を実施しています。
しかし、
患者にとっては、保険の不適正利用の事情聴取と受けとめられ、
過度の受診抑制につながっているとの指摘が市民より寄せられました。
また、平成30年5月24日付の厚生労働省の事務連絡では、
「被保険者等への照会については、本来の目的である不正の疑いのある施術等についての被保険者等への確認のために実施するもの」とし、「受診の抑制を目的とするような実施方法は厳に慎まれたい。」とされています。
表3のとおり、
患者1人当たりの医療費を見てみますと、
診察費等が軒並み増加している中で、
この柔道整復を利用した療養費が際立って減少しており、
これは、不正請求が排除された結果とは考えられず、
受診抑制の結果である可能性があります。
■質問1
被保険者の負担の軽減のために、患者照会の内容をより回答しやすく必要最低限の内容とし、「回答書の送付=不適切な受診」との誤解を与えないような内容に見直すべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。
■質問1に対する回答
本市の柔道整復師の施術に係る療養費の患者照会は、
国の通知に基づき、
施術に係る費用の請求書に対し
適切に支給の審査をする必要があることを
照会文書に記載した上で実施しております。
その内容は、国の例示を参考に、
被保険者にとって回答しやすいものとなるよう作成しており、
被保険者の不適切な受診を指摘しているものではございませんが、
そのような誤解を招かないよう、
他市の状況も参考にしながら改善してまいります。
======ここまでが、本会議場での議論の概要=======
西宮市が送付している照会文書はこちらになります。
施術内容回答書
↑クリックするとご覧いただけます。
この回答書が送付されるのは、
実際の施術を受けてからおよそ半年後になります。
だからか、
文書照会の送付書には、
(↑クリックするとご覧いただけます。)
覚えている範囲でご記入ください。
と記述されています。
半年前のことを、細かく覚えていることの方が不自然です。
実際に施術を受けたのかどうかを確認できればいいのであれば、
回答書Ⅱは必要ありません。
そして、
接骨院から請求のあった施術内容を市が一括で記し、
内容に間違いがないかを確認するだけで十分だと思います。
その内容が、水増し請求や架空請求であれば、
ちゃんとその旨を記して回答されると容易に推測されるからです。
回答期限は、送付されてから概ね2週間で設定されています。
回答しなかったら、再び、同じような文書が送付されるそうです。
そもそも、この文書だけが届いたら、
「なぜ、こんな用紙が届くのだろう?私、何か間違ったことしたのかな?」と
普通は、驚くように思います。
ですので、送付書には、ちゃんと、
「接骨院からの保険請求が、水増し請求や架空請求、間違った請求ではないことを確認するため」
である旨、つまり、この回答書を確認していただく目的を記載するのが先だと思います。
また、この回答書の送付が、
不正請求の防止にどこまで効果があるのかも分かりません。
不正請求は、悪意を持って行われるわけですから、
回答書が送付されるような条件にならないよう対策を講じているはずです。
送付を続けるのであれば、
極力、患者に回答に手間をかけさせないことで
回答率を上げるほうが効率的です。
この続きは、後のコラムをご覧下さい。