医療費の適正化②-取り組みの効果検証

2019年12月10日[カテゴリ:医療・福祉, 質問

医療費の適正化①の続きです。
長くなりますが、合わせてご覧頂ければ幸いです。

まず、国民健康保険のことを少しだけ。

近年、高齢化の影響と言われていますが、
国民健康保険の保険料は上がる一方です。

平成31年度の保険料は、
医療保険分で最高年間61万円、
介護保険の負担が最高19万円、
後期高齢者医療の負担が最高16万円
合計96万円
となりました。
もうすぐ、
年間合計100万円の大台に乗る勢いです。
家族構成、収入によって、この保険料は変化します。

そして、
高い保険料を支払ったあげく、
怪我をして接骨院に行って保険を使ったら、
「本当に腰が痛いのか?」とか、
「単なる筋肉疲労ではないのか?」と疑われ、
精神を病んで精神科や心療内科に行ったら
「本当にしんどいの?」と疑われたら、
やってられないと、お役所の人たちは思わないのでしょうか。

高い保険料を払っているから、
どんどん不必要な医療を受けていいわけではありませんが、
必要な医療は受けさせてほしいということです。

そして、
「行政はもっとやらないといけないことがあるでしょう。」
とも思います。

例えば、保険料の収納率の向上です。
平成30年度決算における西宮市の国民健康保険保険料の
収納率は、わずか94.8%でした。
滞納分を合わせると収納率はわずか80.8%となっています。
滞納額は18億円です。

回収できなかった分は、
ちゃんと支払っている人の保険料でまかなわれる仕組み
になっています。
この不公平は何とかしなければなりません。

このような不公平な部分を改善しないまま、
受診抑制ばかり熱心にやるのは、
本当に勘弁してほしいと思ってしまいます。

令和元年6月議会一般質問の続きです。

=======ここから、本会議場での議論の概要=======

3.医療費の適正化について
(接骨院の患者に対する調査文書の成果)
■質問の背景(再掲)
現在、平成24年3月12日の厚生労働省通知に基づき、
柔道整復師の施術の療養費の適正化の取り組みとして、
本市では一定の条件を満たした接骨院の患者に対して
年間800件の文書による照会を実施
しています。

しかし、
患者にとっては、保険の不適正利用の事情聴取と受けとめられ、
過度の受診抑制につながっているとの指摘が市民より寄せられました。

また、平成30年5月24日付の厚生労働省の事務連絡では、
「被保険者等への照会については、本来の目的である不正の疑いのある施術等についての被保険者等への確認のために実施するもの」とし、「受診の抑制を目的とするような実施方法は厳に慎まれたい。」とされています。

表3のとおり
患者1人当たりの医療費を見てみますと、
診察費等が軒並み増加している中で、
この柔道整復を利用した療養費が際立って減少しており、
これは、不正請求が排除された結果とは考えられず、
受診抑制の結果である可能性があります。

■田中の主張
厚生労働省の事務連絡にあるとおり、
患者照会の目的は療養費の保険請求に係る不正の防止であり、
効率的かつ効果的に実施されるべきもの
でございます。

■質問2
平成30年度に照会文書を送付した患者が利用した施術所は何カ所あり、市内全体の何割に及んでいるのか、お答えください。
あわせて、患者からの回答に基づいて実施された施術所への照会件数と施術所の数、及び不備のある保険請求で同意を得た返戻対象の件数及び保険請求額をお答えください。

■質問2に対する回答
本市で実施している患者照会は、
不正な申請を探すためだけに行っているものではなく、
過度な受診となっていないかや、
保険適用とならないなどの誤った申請・請求がなくなるなどにより

不必要な保険給付費を適正化することからも実施しているものです。

平成30年度に照会文書を送付した患者が利用した施術所数は269カ所で、市内全体の約9割です。
また、患者からの回答に基づいて実施した施術所への照会件数は71件で、施術所数は37カ所です。
このうち不備のある保険請求により施術所の同意を得て返戻対象となった件数は49件で、保険請求額は40万4,343円です。

■質問3
現在、患者照会の郵送業務を外部委託していますが、
外部委託できないとされている照会の要・不要の判断をどのように行っているのかお尋ねいたします。
あわせて、保健所と連携し、違法な看板を設置しているとの指摘を受けている接骨院を受診した患者を抽出条件とし、不正を防止することについて市の見解をお尋ねいたします。

■質問3に対する回答
本市では、患者照会の郵送業務を
柔道整復施術療養費支給申請書の内容点検等業務の中に含め、
公募型プロポーザルで選定した業者に委託しております。

具体的には、
3部位以上負傷の申請書、
もしくは、3カ月を超える長期継続の申請書、
もしくは、月15回以上の頻回のある施術の申請書を抽出
しています。

また、業者からの提案も受け、さらに抽出件数を絞り込み、
照会の要・不要は市が最終的に判断して実施しております。

また、保健所と連携して、
違法な看板を設置しているとの指摘を受けた整骨院を受診した患者についても
抽出条件に加え、照会を実施
しております。

そして次に、効果的な医療費の適正化についてです。
医療費の増大は保険財政に重大な影響を及ぼし、
ひいては市民の負担に影響を及ぼすことから、
高齢社会における持続可能な健康保険を実現するために、
より効果の高い医療費適正化の取り組みが必要であると考えます。

■意見
柔道整復師に対する患者照会は、
国の事務連絡では、
不正の防止を目的とするということが明確に記載されております。
御答弁では、過度な受診となっていないかという観点でも
患者照会を行っているということでした。
つまり、
国の指導以上のことをされている
と私は理解を致しました。
 
ご答弁の中で、
不正とまでは言えないものの、
実際に整骨院の同意を得て「返戻」、
つまり、保険適用にならなかった金額が約40万円ということでした。
これを被保険者数約10万人で割ると4円です。

今日お配りした資料では、
この5年間にはなりますけれども、
1人当たり1,099円減少しているというデータが出ています。
つまり、
不正(誤った請求)を防止したからこれだけ減ったのではないということは
明確になった
と思っております。

=======ここまでが、本会議場での議論の概要=======

不正の防止策としては、非常に効率が悪いことが分かります。

そして、柔道整復の療養費が減少していることが、
整形外科に係る医療費の上昇に関係しているとすれば本末転倒
です。

というのも、
厚生労働省の資料によると
平成25年度から29年度まで、整形外科の医療費が年々上昇し続けており、
25年度と29年度を比較すると、701億円(8,747⇒9,448億円)増加
しています。
また、年々上昇しているのは、整形外科、眼科、皮膚科で、
眼科が750億円(6,929⇒7,679億円)増加してトップ、
次いで整形外科の上昇になっています。

ちなみに、
柔道整復は、平成29年度まで6年連続減少しており、
25年度と29年度を比較すると、422億円減少(3,893⇒3471億円)しています。
一方で、「あん摩・マッサージ」や「はり・きゅう」は増加し続けており、
「あん摩・マッサージ」が、93億円増加(640⇒733億円)
「はり・きゅう」が、49億円増加(367⇒416億円)となっています。

また、
不正請求は、悪意を持って行われるわけですから、
回答書が送付されるような条件にならないよう対策を講じているはずです。

つまり、抽出条件である
①3部位以上負傷、
②3カ月を超える長期継続、
③月15回以上の頻回のある施術
この範囲を超えずに、
水増しや架空請求されているものがあれば、
この患者照会は行われない
わけです。

実際には、年6回の「医療費のお知らせ」が届きますので、
完全な架空請求はその時点で判明する可能性もありますが、
このお知らせも、どこまで目を通していただいているのか、
半年も前の診療のことを覚えているのか、
有効性は検証されていません。

いかに、この患者照会が効率の悪い作業となっているのか、
お分かりいただけたと思います。

今後、さらに、医療費の詳細について分析をしていきたいと思います。

私は医療の専門ではありませんので、
専門の方からの情報提供を頂ければ幸いです。

記事一覧