医療費の適正化③ー医療に関する啓発のあり方

2019年12月12日[カテゴリ:医療・福祉, 質問

医療費適正化②の続きです。

以下、「当然、みんな、不必要な医療を受ける気はない」という前提で、
医療費の適正化に関する啓発について書きます。

西宮市のホームページには、以下のような記述があります。
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○柔道整復師(整骨院・接骨院)の施術を受けられる方へ
・健康保険を「使える」のはどんなとき?
 柔道整復師(整骨院・接骨院)より、骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合は、健康保険の対象になります。なお、骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。
・健康保険を「使えない」のはどんなとき?
 慢性の肩こり、慢性の腰痛、筋肉疲労などに対する施術は健康保険の対象になりません。このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。

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あるホームページには、以下のように書いていました。

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「接骨院(柔道整復師)で受ける施術のうち、
健康保険の対象となるのは、「負傷原因が急性または亜急性(急性に準ずる)の外傷性の負傷」だけとされています。
具体的には、骨折・不全骨折・脱臼・捻挫、打撲、挫傷だけが健康保険の適用となります…。」

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意味がわかりますか?
なんとなく分かるような、
でもよく考えたら分からないような。。。

市が一定条件のもとで、
のべ1200人の患者さんに送付している啓発文書がこちらになります。
啓発文書↑クリックしてご覧下さい。
頂いた資料をPDFにしたので、
見にくいかもしれませんがご容赦ください。

「挫傷(肉離れ)はO」となっています。
「挫傷」ってどのような状態か説明できますか?
市の啓発文書では、挫傷=肉離れと理解されます。
でも、筋違いも挫傷だそうです。
だとすると、
市の文書は明らかに患者の理解をミスリードしてしまいます。

「捻挫」と「挫傷」の違いを的確に答えられる人が
私のような素人にどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
私は説明できません。「捻挫」はなんとなくわかりますが。

ぎっくり腰のときはどうすればいいのか。
突然かかとが痛くなったときはどうすればいいのか。
腱鞘炎っぽい痛みが出てきたときはどうすればいいのか。
寝違いはどうすればいいのか。
原因不明の突然の肩の痛みはどうすればいいのか。

いずれも、自宅近所の整骨院には行かずに
少し離れていても整形外科に行くべきなのでしょうか?

「もっと具体的に教えてもらわないと正しい医療のかかり方なんてわからない。」
と感じられるようでは、啓発の意味はありません。紙と印刷代の無駄です。

そして結局、
「保険適用を受けたいのであれば、接骨院には行かないほうがいい。」
「骨や関節のけがをしたら、整形外科に行ったほうが必ず保険が使えるから安心。」
と理解されてしまっても仕方がないと思っています。
これは法律的に正しい理解なのでしょうか。

そして、
みんなが整形外科に行くとどういうことになるのか。。。

話が少しそれますが、
急性期の大きな総合病院などでは、
「入院は大きめの病院、外来は近所の診療所で。かかりつけ医をもちましょう。」
といった感じで、病診連携、役割分担が進められています。

軽傷の人が大きな病院で診察を受けると、
高度医療が必要な方が、総合病院で治療を受けにくくなるからと言われています。
診療所からの紹介状の有無によって、
病院での窓口負担が大きく変わる仕組みまで作られています。

これは、医療機関どうしだからこそできている役割分担であり、
整形外科と接骨院の役割分担はできないのか。

西宮市のホームページにはないのですが、
ある市のホームページには、以下のような記述がありました。

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○病院での治療と重複できません
 同一の負傷について、外科や整形外科などでの治療と柔道整復師の施術を同時期に重複して受けた場合は、原則として柔道整復師の施術料は全額自己負担となります。
 複数の整骨院・接骨院での重複受診に注意しましょう。同一の負傷について同時期に複数の施術所で施術を受けると、一か所しか国民健康保険が適用されず、その他の施術料が全額自己負担となる場合があります。

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ということは、
整形外科でレントゲンを撮ってもらって痛みの原因を特定してもらい、
後日からは近所の接骨院に行って施術を受けると、
接骨院での施術は保険が使えないという法律になっているのだろうか。

骨折や脱臼の場合、整形外科の同意があれば、
近所の接骨院で施術を受けられると聞いたのですが。。。

このような話になると、
最終的には、医師と柔道整復師の双方の
理解と信頼と協力が必要である
ように思います。

痛みに苦しみ悩んでいる患者のために、
何とかその辺の対策を制度改正も含めて検討してもらえればありがたいのですが。

市議会では、そこまでの議論はなかなかできませんが、
医療費適正化に関する啓発文書のあり方についても
令和元年6月議会で市の見解を質問しましたので、ご紹介します。

=======ここからが、本会議場での質問の概要=======

3.医療費の適正化について
(啓発文書の内容)
■質問4
現在の医療費適正化に係る啓発文書の多くは、
保険者(市・行政)の目線で適正な保険利用を促す内容となっています。
今後、こうした啓発文書には、患者の目線に立ち、
正しい保険の利用方法を記述する必要がある
と考えますが、
市の見解をお尋ね致します。

■質問4に対する回答
本市の医療費適正化に係る文書につきましては、
受診抑制を目的としているものではなく、
健康保険の適正な利用について被保険者に知識を普及するものです。
今後は、保険適用となる利用方法などについても
被保険者が理解しやすいような啓発文書となるよう努めてまいります。

=======ここまでが、本会議場での質問の概要=======

残念ながら、被保険者が理解しやすいような啓発文書の
具体的なことは、時間の都合上、突っ込むことができませんでした。

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