西宮市内の公立小中学校に通う子供たちは、甲子園球場関係者始め多くの方々のご協力を頂いて、甲子園球場で開催される連合体育大会に出場することができます。
小学校連合体育大会では小学校6年生が、中学校連合体育大会では中学校1年生から3年生が、甲子園球場に一堂に会する貴重な機会となっています。
しかし、シーズンオフに行われている甲子園球場のリニューアル工事により、この体育大会が3年間中断することになりました。
何とか、球場のご協力を頂いて、プログラムを例年と変更するなど工夫して、1年だけでも工事期間中に開催できないかを問うべく、平成20年3月議会一般質問でこの問題を取り上げました。
======ここからが、本会議での議論の概要========
1.文教住宅都市におけるスポーツ振興政策について
イ)甲子園球場とのかかわり方
■質問の背景、田中の主張
昨年秋から着工された甲子園球場の改築工事に伴い、半世紀にわたり毎年秋に行われてきた小学校連合体育大会、中学校連合体育大会が中断しています。以下、小連体、中連体と言います。
このままでは最低でも工事期間中の3年間は中断しなければならないそうですが、その間に中連体を全く経験することなく中学校生活を終えてしまう生徒がいることから、このまま黙って見過ごすことはできません。
「甲子園球場は西宮市にある」ということを機会があるごとに宣伝しておられます。また、市の取り組み(改築支援)として、特別用途地区に甲子園球場地区を新たに追加し、建てかえに合わせて用途の緩和を行うなど、都市計画を変更しました。
甲子園という名称は、スポーツに限らず、あらゆる全国大会の代名詞となりつつあり、甲子園球場が本市にあること自体がブランド力を高めていると言えますが、あまり実感はありません。本市にとって重要なイベントであったはずの小連体、中連体のためにもし甲子園球場から何の協力も得られないようであれば、なおさらです。
■質問1
これまで小連体、中連体を開催してきた目的と、中断決定に至るまでにどのような行動を起こし、どのような措置を検討したのかお尋ねします。
■質問1に対する市の回答
小連体、中連体の開催目的、中断回避に向けての取り組みについてお答えします。
小連体、中連体は、西宮市立の小・中学校の児童生徒が一堂に会しての体育的な集団活動によって、児童生徒の心身の健全な発達を図り、あわせて学校生活の充実と発展を主な目的とする大会です。
ともに50回を超える大会ですが、阪神甲子園球場の改修工事のため、今年度より平成21年度まで、シーズンオフを利用して大規模な改修工事にかかっております。先日の新聞には、第1期工事が大詰めを迎え、平成22年3月の完成まであと2年、オフシーズンに工事を行うことが発表されたところです。
球場の改修工事のため、小連体、中連体が今年度より3年間の休止となったわけですが、このことにつきましては、小学校長会、中学校体育連盟、教育委員会、甲子園球場等の関係者で協議を重ねてまいりました。
この協議の中で、11月の開催が無理な場合は、9月などのシーズン中で甲子園球場が使用されていない日の可能性についても検討をお願いしましたが、シーズン中は難しいとのことで、結果として平成21年度までの開催は見送られました。また、阪神甲子園球場ではなく、別の場所での開催についても話し合われましたが、阪神甲子園球場で実施してこそ意義のあることであるとの認識のもと、休止が決定された次第です。
■質問2
西宮の公立小・中学校に通う子供たちのために、改修工事完了後の小連体、中連体の再開はもとより、中断を回避する暫定措置として、工事期間中は体育大会の開催時期をずらすとか、そういった教育課程の措置も行う必要があろうかと考えますが、再度、全市的な対応をとるべきと考えます。市の姿勢を改めて伺います。
■質問2に対する回答
3年後の再開、また、新年度の教育課程の暫定措置も含めた対応についてですが、再開につきましては、関係者で継続して協議をしていくとの確認のもと、それぞれでも準備をしているところです。
今年度、中学校体育連盟では、例年どおり全学年市内共通のマスゲームを全校で実施してまいりました。また、小学校体育連盟も、市内共通の組み立て体操を提示し40校で実施しており、3年後の再開を視野に入れ、演技づくりの継続や各学校への演技の伝達等を引き続いて行っております。今年度、市教委といたしましても、球場には何度か足を運び、今後の球場の経営方針や完成後の使用について現在協議しているところでございます。
平成22年度の連合体育大会の再開につきましては、甲子園球場の使用条件、新しい学習指導要領の告示に伴う教育課程の改編など、乗り越えなければいけない問題も多々ございますけども、問題によっては関係部局とも連携し、今後も再開について継続的に話し合いを重ね、協議してまいります。
新年度の暫定措置を含めた対応につきましては、小学校長会、中学校体育連盟、市教委、阪神甲子園球場での協議の中で一定の結論を得ている問題ですが、今後とも情報交換等については鋭意努めてまいります。
■質問3
甲子園球場と今後どのようにかかわり、市民のためにどのように活用していくお考えなのか、見解をお聞かせください。
■質問3に対する市長の回答
本市にとりまして甲子園球場は、春、夏の高校野球の開催地であり、またプロ野球阪神タイガースの本拠地であるなど、スポーツのメッカとして全国的に有名な観光資源であります。また、野球以外の全国レベルの大会にも甲子園の名前が冠せられるなど、今や全国大会の代名詞となっております。
ほぼ50年にわたって開催しております小・中学校の連合体育大会では、あこがれの地・甲子園のグラウンドに立った子供たちが、他都市の子供たちが経験できない喜びを感じております。
また、毎年開催していますユニセフカップ西宮国際ハーフマラソンは、スタート地点を甲子園球場とすることで、より多くの参加者を集め、参加した市民は、我がまち甲子園球場を改めて認識し、誇りさえ感じているのではないかと考えております。
これまで本市では、高校野球開催時に出場選手に記念アルバムを贈呈し、青年会議所を中心に、西宮市の人文字をあらわすなど、「甲子園球場のあるまち西宮」を全国にPRしてまいりました。
このような本市のシンボルである球場の周辺の環境を守るために、昨年は、風俗店、パチンコ店などの出店を禁止する条例を制定致しました。
また、このたびの改修にあたりまして、高校野球関係の資料館の整備を要請し、設置を予定している旨の回答を得ております。
今後より一層魅力が増すこととなる甲子園球場を、市民のスポーツ振興を初めとして、様々な視点で積極的に活用してまいりたいと考えております。
■質問4
甲子園球場では、近年、マスターズ甲子園という大会が開催され、さらには、障害者野球の需要もあるそうです。観覧席はもちろんのこと、グラウンドへの出入りに関してもバリアフリー化されていることが望ましいと考えます。
あくまで民間の施設であるため、指導には限界もあろうかと推測されますが、今回の改築工事が行われるにあたって、観覧席やグラウンドに入る際のバリアフリー化に対する指導内容と実施内容をお尋ねします。
■質問4に対する回答
阪神甲子園球場は大正13年に建築されたもので、今回のリニューアル工事は、球場の老朽化に伴う耐震改修などの工事と建物の機能性向上を目的として、既存部分の改修工事とあわせて、一部増築工事を行うものであります。
3ヶ年にわたる工事であり、
1期工事では内野席の改修工事、
2期工事では銀傘のかけかえとロイヤルボックス席の増築工事、また、アルプス席、外野席及びスコアボード等の改修工事、
3期工事では、アルプス席及び外野席の外壁改修工事と売店棟の増築工事を行います。
お尋ねのバリアフリー化の市の指導内容についてでございますが、開発協議の際には、大規模開発に伴う協力要請に関する指針に基づき、障害のある方の利用に対応した施設整備について事業主に申し入れました。
また、兵庫県福祉のまちづくり条例の規定は増築部分のみに適用されることになりますが、既存の部分も含め、できる限りバリアフリー化を図るよう事業主に要請を致しました。
次に、バリアフリー化の実施内容についてでございますが、今回新たに車いすで利用できます観客席を、内野席に12席、アルプス席に4席、外野席に15席、合計31席設けるとともに、11人乗りエレベーターを内野席のレフト側とライト側にそれぞれ1基、ロイヤルボックス席用に1基の合計3基、外野席にはレフト側とライト側にそれぞれ1基の合計2基で、合わせまして5基を設置する計画となっております。各階のエレベーターの出入り口から観客席までの区間において高低差がある場合は、車いすに対応したスロープを整備するものであります。
また、球場の外部からグラウンドに入る出入り口は、内野席とアルプス席との間に2カ所、また、外野席とアルプス席との間に2ヶ所の合計4ヶ所ございますが、出入り口からグラウンドに至るまでは、現在及び改修後においても、段差のないバリアフリーの構造となっております。
■意見・要望
市長からは、甲子園球場を積極的に活用したいという意欲的な御答弁をいただきました。
教育委員会のお答えでは、何度か協議はしたけれど無理だった、だから、3年後の再開に向けてまた協議していくという内容だったと思います。
しかし、3年間は無理だと本当にあきらめていいのでしょうか。私は決してそうは思っていません。
そもそもこの決定に関して、(議会や市民に対して)報告はあったのでしょうか。この工事が行われるということはかなり前からわかっていたことで、担当の職員は、当然その間、暫定措置を取るために取り組んでいると思っていました。ところが、ふたを開けてみたらできませんと(結論を出していたわけです)。まさかそんなことになってるとは思いませんでした。
市長の御答弁では、非常に大事なイベントであるとお答えになってます。本当に必要とお考えなのであれば、もっとしっかりと取り組んでほしいと思います。
まず、市長部局も他人事と思わずに、市長、もしくは副市長でも結構ですから、教育委員会だけに任せず、教育委員会と一緒に甲子園球場にお願いに行ってください。また、都市局長からのお答えもありましたが(バリアフリー化の部分)、都市局は、今回の改築工事のこともあって、甲子園球場との関わりは深いと思います。工事の進捗状況に関しての情報をとって、本当に最終年もできないのかということもしっかりと検討していただきたいと思います。
もし開催時期をずらす必要があるのであれば、教育課程の中でいろいろと変えていかないといけないこともあるかと思いますが、そこはしっかりと対応してほしいと思います。新年度中学校2年生になる代の子供たちは、1回も経験することなく卒業してしまうことになりますので、せめて工事期間の最後の年ぐらいは絶対に取り組んでください。せっかくこれまで環境をつくってきたのに、その代の子供たちだけが経験できない(甲子園球場に関われない)ということにしないでください。
教育委員会(事務局)は、なかなか議会の言うことを聞いてくれないので、教育委員の方々、しっかりとその辺を主張してください。宜しくお願いします。
=======ここまでが、本会議での議論の概要======
今回の議論では、教育委員会は3年間の中断についてはあきらめていることがはっきりしました。
3年間、1度も中連体を経験できない生徒、そして、小連体を経験できない3年間の児童のことをどのように考えているのか質問するべきでした。
1年もあれば、暫定的な対応を検討する時間は十分あります。改めて、本会議で議論する必要があります。