小連体・中連体の中断に対する措置

2009年2月8日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

平成20年3月議会で取り上げました内容(←クリックしてご覧ください)を、再度、平成20年12月議会一般質問でも取り上げました。

======ここから、本会議場での議論の概要======

1.子供たちの夢をはぐくむ学校について
ア)連合体育大会
■質問の背景
 本年3月議会におきまして、甲子園球場のリニューアル工事に伴い突如中断されている小学校・中学校の各連合体育大会について取り上げました。
 有名な甲子園球場で行われる体育を通じた共同作業、そして競技、こうしたものが生徒たちにもたらす教育的効果は、情操教育の観点からも大変重要であると考えております。

 しかしながら、工事が3年に及ぶことから、来年中学3年生となる約3,000人の子供たちだけが中学校連合体育大会を経験することなく、義務教育を終えて卒業してしまうことになります。そこで、今年度の工事の進展にはよるものの、平成21年度に暫定的にでも開催できるよう、(平成21年3月議会では)甲子園球場への働きかけなど、全市を挙げて御努力いただけるようお願いした次第でございます。
 
 そして、プロ野球の来シーズンの日程が決まり、「今年度の工事がスムーズに進めば11月9日であれば開催可能」という返答を頂いていると聞いております。これは、これまでの開催日より約10日遅らせた日程となります。厳しい工事日程の中、球場側は当行事の趣旨を理解し、本市の子供たちのためにできる限りの協力の姿勢を示して頂いたわけです。
 また、クライマックスシリーズの開催などでプロ野球の年間日程が変わりまして、来年度だけではなく工事終了後もこの11月上旬ごろでなければできない可能性が高くなり、来年度の対応次第では、平成22年度以降の連合体育大会の実施も困難になるのではないかと危惧している次第でございます。

■質問1
これまでの甲子園球場との交渉と検討の内容を明らかにしていただきまして、現時点での御判断をお聞かせください。

■質問1に対する市の回答
 甲子園球場改修工事にかかわる小・中連合体育大会の3年間の中止につきましては、平成18年10月18日、主催者である教育委員会、中学校体育連盟、小学校長会と甲子園球場関係者との協議の上で決定致しました。その後、今年の3月議会において議員から、平成22年度の再開はもとより、21年度においても全市的な対応を期待するとの御意見を頂きました。

 今年度に入り、5月には市教委指導主事が、さらに7月には小学校長会、小学校体育連盟、中学校体育連盟、市教委の代表が甲子園球場を訪問し、工事の進捗状況、今後の工事計画、球場使用料、平成21年度の実施の可能性等についてお聞きしましたが、新たな情報は得られませんでしたので、平成21年度の実施は難しいと判断致しました。

 しかしながら、9月に入って、甲子園球場は、21年度の11月中旬であれば、工事中ではあるが一部入退場門も開放するので、球場の使用は可能であるとの情報が入りました。

 10月の中学校校長会でこのことについて協議し、開催についての可能性も探りましたが、
①アミティホール等での合唱コンクール、文化活動発表会など、来年度の市内行事の日程が決まっている中で
②日程を変更することは、教育課程上の無理を生じ、
③11月に集中する中連体、合唱コンクール、文化活動発表会それぞれのねらいが達成できなくなること、
④11月中旬という日程上から来る気温の低さ、日没時間の早さへの対応の課題が残ること、
⑤改修工事中の実施ということで安全面での対応が十分にはとれないこと

などの理由から、来年度の実施は難しいとの総意でありました。

 また、3年生だけでの実施についても検討致しましたが、1、2年生は学校で授業をすることになり、必要な教員数の確保が難しくなること、また、全生徒参加のもとで、みんなが心を一つにし、みんなでつくり上げる達成感を味わうという中学校連合体育大会の意義からいっても、単独の学年での開催について賛同の意見はありませんでした。

 10月の校長会議を経て、市長部局とともに阪神電鉄本社を訪問した際に、11月9、10、11日なら可能という日程の提示がありました。持ち帰り、改めて中学校校長会に連絡、協議して頂きましたが、先ほど申しました課題は解決されるものではなく、この日程でもやはり難しいとのことから、来年度の中学校連合体育大会の実施は無理であると判断致しました。

 ただ、御指摘のように、新3年生は、3年間、甲子園での中学校連合体育大会を経験できないことになります。その3年生に対して何らかの考慮が必要であると考えており、今後、中学校校長会や甲子園球場と相談し、状況によっては市長部局と連携して検討していきたいと思います。

■質問2
平成22年度以降の開催についてのお考えをお聞かせください。

■質問2に対する回答
 10月に阪神電鉄本社を訪問した際、平成22年度から連合体育大会を再開する場合、実施時期は、クライマックスシリーズがある限り、日本シリーズ終了後の11月中旬の開催になるとお聞きしました。

 この日程は、これまでと比べると10日ほど遅くなり、11月に集中する文化的行事との調整、日程上から来る気温の低さ、日没時間への対応、また、中学校では複数志願選抜に関する進路指導など、これまでとは異なった解決すべき課題がございます。
 平成22年度からの再開につきましては、現在、小・中学校校長会、小・中学校体育連盟、市教委等の代表からなる再開準備委員会の設置に向けて取り組んでおります。今後、平成22年度以降の連合体育大会の再開につきましては、市長部局とも連携し、甲子園球場との協議も進めてまいります。

■意見・要望
 教育委員会のほうから、平成22年度以降の再開については、市長部局と連携しながら検討していくという内容の御答弁を頂きました。こちら、校長会のほうがかなり影響が強いと思われますので、しっかりと教育委員会のほうで進めていっていただきたいと思います。
 
 繰り返しになりますが、半世紀以上にも及び、しかも、全国レベルの伝統の地で本市でしかできない学校行事であり、情操教育の観点からも非常に大切です。私は西宮の出身ではないので、なおさらですが、非常に貴重な教育的な機会であると思っております。ですので、乗り越えなければならない課題が多いかとは思いますが、継続に向けて取り組んでいただきたいと思います。要望しておきます。
 
 そして、平成21年度の大会の件ですが、今のところ、これまでのような形での開催は困難であるという校長会の総意だったということで、新3年生に対する何らかの考慮が必要であり、市長部局とも連携をしながら検討していただけるという答弁でした。本日は、その御答弁に期待致しまして、平成21年度の暫定措置を強く要望致します。

=======ここまでが本会議場での議論の概要=======

 西宮市職員の幹部の中に心ある方がいて、私の3月議会の一般質問(←クリックしてご覧ください)を聞いて共感して頂き、ご尽力下さいました。その結果、阪神電鉄さんの幹部の方に要望に伺わせてもらうこともできました。

 その成果もあり、阪神電鉄及び甲子園球場の方々に、何とかご協力頂けることになりました。市の回答にありました「9月に入って、甲子園球場は、21年度の11月中旬であれば、工事中ではあるが一部入退場門も開放するので、球場の使用は可能であるとの情報」に繋がったのです。さすが民間企業は意思決定が早く、柔軟な対応をしていただいたと感謝の念しかありません。にもかかわらず、教育委員会及び校長会は、21年度の開催はできないということを決定したのです。

 上記の本会議での議論から、学校側がいかに大変な仕事を増やしたくなかったのかがわかると思います。そして、「もっともらしい「できない理由」を並び立て、やらないことを正当化する」という姿勢が読みとれると思います。前向きに検討さえすれば、どの理由も乗り越えられない壁ではないのです。確かに①②③翌年度の行事日程を変えることも、④日没時間を考慮して中連体の当日のプログラムを変更することも、⑤安全性を確保するということも、多くの学校の先生が携わって動いている行事ですから、簡単なことではないことは想像はできます。しかし、10月の校長会から、新年度4月まで半年もあるなかで、行事日程を変えることが絶対に無理とは考えにくいです。平成22年度から正式に再開するのであれば、①~④はいずれもクリアしなければならない課題なのですから。アミティホールの予約変更についても、会議が開かれた時点でまだ1年あったわけで、1年以上前には予約を確定できないはずですから、十分対応可能だったのです。つまり、行政の柔軟性が欠如していただけです。

 自分の力のなさに憤りを感じるとともに、ご協力いただいた方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです。そして、中学校生活3年間で一度も経験することができなくなる生徒の皆さんにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。この悔しさは、一生忘れません。

【追記】
 「3年生に対して何らかの考慮が必要であると考えており、今後、中学校校長会や甲子園球場と相談し、状況によっては市長部局と連携して検討していきたいと思います。」という市の回答の結果として、平成21年6月に、甲子園球場に公立中学校及び特別支援学校の生徒代表が招かれ、これまでの中連体とこれからの中連体をつなぐという意味を込めたセレモニーが開催されました。

 しかし残念ながら、全生徒が集まって球場のグラウンドに入って共同作業をするという機会は設けられませんでした。

 彼らの中学生時代は2度と戻りませんが、将来、何かできないか、考えていきたいと思います。

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