家庭の教育力の向上のために②-家庭学習の強化

2017年5月4日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

「家庭学習」に対する支援について、平成28年12月議会「家庭教育支援について」の中で議論しました。

前回のコラムの続きとなります。

=======ここから、本会議場での議論の概要=======

2.家庭教育支援について
(家庭学習支援の強化)

■質問の背景・田中の主張
教育委員会会議資料を抜粋したものを掲載しました。

なお、資料内にあるA層~D層というのは、成績を上位から全体の25%ずつの人数に区分したものです。

これは、本市が実施した市の学力調査の結果に基づいた分析ですが、生活習慣や家庭学習の習慣と基礎学力の相関関係が指摘され、それらの習慣が身についていない生徒児童が少なくないことから、学校・地域と連携した学習支援の取り組みも必要性が増していると考えます。

そのような中、現在本市では、放課後子ども教室に加えて、放課後居場所づくり事業を展開し、大変好評をいただいております。しかし、子供と向き合う時間が取りにくいご家庭に対する家庭教育支援、学習支援については、現在の子供の居場所づくり事業では課題が解消されません。

■質問
文部科学省は、経済的な理由や家庭の状況により学習が遅れがちな中高生等への無料の学習支援を目的とした「地域未来塾事業」を推進しようとしています。本市の小・中学校における、地域による学習支援の取り組みについて、現状と課題、今後の展開をお聞かせください。

同じく、文部科学省が進めている「地域による土曜日の教育支援体制の構築」に対する市のサポートについても、見解をお聞かせください。

■市の回答
(地域による学習支援)
地域と学校が協働して行う教育連携事業において、放課後の学習のサポートや定期テスト前の集中講座を実施するなど、地域の実情に応じた取組みが、平成27年度は小学校1校、中学校7校で行なわれています。

また、市の事業として実施している放課後子供教室事業においては、青少年愛護協議会が学習習慣の定着などを目的に18地区で学習支援事業を行っています。

いずれの事業も、専門的な指導ができる担い手の不足などから、全校で実施されていないこと、或いは実施していても開催回数が少ないことなどが課題と考えております。

今後は学習支援事業の未実施校での実施を働きかけ、現在の活動が更に充実するよう、予算の確保に努めるとともに、担い手不足を解消するための地域人材の情報提供など、地域における学習支援の推進に努めてまいります。

(土曜日の教育支援体制)
教育委員会では、学校週五日制の実施を受け、土曜日が休みとなることから、平成15年度より多様な経験・技能を持つ市民、公民館グループ、NPO法人などの人材を講師に迎え、小・中学生対象の講座「宮水ジュニア」事業を全市で実施しています。

また、青少年愛護協議会や子ども会が実施する多世代交流行事や野外活動プログラムなどのほか、市長事務部局においても、子供を対象とする様々な地域活動が土曜日にも実施されています。今後も子供たちが土曜日に地域で有意義な過ごし方ができるよう、地域の教育力を生かした学習や体験機会の充実に努めてまいります。

======ここまでが、本会議場での議論の概要=======

今回の質問を通じて、課題として以下の2点が判明したと考えています。

① 学校外での学習支援については地域の主体性に依存してしまっていること
②「行政が実施するべき学習支援」について十分に検討されていないこと

①については、大きな1つ目の項目(自治会に対する市の関与)にも通じる課題でもあります。

自治会の加入率の低下にみられるように地域活動に参加する市民が減少しているなかで、市が対策を講じないままでいけば、地域の力にも限界が生じ、現在実施されている事業すらままならなくなることも懸念されます。

また、回答にあったように、予算の確保や地域人材の情報提供にとどまらず、実際の担い手となるボランティアの発掘・育成が重要です。そもそも完全ボランティアでは、これ以上の進展は厳しいのではないかとも感じます。少なくとも、ボランティアの発掘まで地域に依存する現状は改めなければなりません。

②については、

・学習支援が必要な対象者はどのような子供なのか
・その対象者はどの程度いるのか
・対象者に対してどのような対策を講じることが効果的なのか

という実態の分析と、

・支援が必要な子供たちへの着実な支援を可能とする仕組み

が必要であると私は考えています。

今後、家庭学習の支援のあり方について、更に調査を進めてまいります。

また、勉強だけがすべてではありません。本市においては、回答の通り、土曜日を中心に小・中学生が、様々なことを体験できる環境が整いつつあります。今後は、より多くの児童が参加できるよう幼児期から学童期、青年期にかけて種々実施されている地域での学習・体験活動を小中学校区ごとに整理して過不足を可視化し、効率的に事業の充実を図る必要性があります。

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