2012年6月11日[カテゴリ:子育て・教育, 財政・財政改革, 質問]
包括外部監査
(西宮市ホームページより一部引用)
外部監査制度は、平成9年6月の地方自治法の一部改正により創設された制度です。監査委員による監査を補完し、外部の目から地方公共団体の事務をチェックすることにより、地方公共団体の監査機能の一層の充実を図ろうとするものであり、包括外部監査と個別外部監査の2つの制度があります。西宮市では、「西宮市外部監査契約に基づく監査に関する条例」で詳細を規定しています。
地方自治法により、都道府県、政令指定都市、そして中核市に対しては、包括外部監査人による財務に関する事務の執行等の監査が義務付けられています。平成20年4月から中核市となった本市においても、事務処理における住民福祉の増進、最少の経費で最大の効果、組織及び運営の合理化等の実現を目指し、毎年度、外部専門家(主に公認会計士)と包括外部監査契約を締結しています。
包括外部監査人は、財務に関する事務の執行等に関し、自ら必要であると認めて選定した特定の事件(テーマ)について監査を実施し、年度内に監査結果報告書を作成の上、議会及び市長等に提出します。
(引用終わり)
年間1500万円以上の費用をかけて、外部の専門家の視点で、市政運営の非効率や不合理について指摘を受けることから、議会でも有効に活用するべきと考えています。そこで、市議会でも、報告書を配布するだけにとどまらず、本会議場において包括外部監査人から直接説明を受け、質疑をする機会を設けています。
平成23年度のテーマは「子育て支援に関する財務事務について 」でした。
これまで取り組んできた政策、市に対して主張してきた内容が多く含まれていましたので、結果報告を受けた平成24年3月議会で、この包括外部監査結果の内容について、包括外部監査人と市に対して質疑しました。
論点ごとに分けて、掲載します。
=======ここからが、本会議場での議論の概要=======
お許しを頂きまして、
平成23年度包括外部監査結果報告に関する質疑を行いたいと思います。
■田中の主張
芝池監査人さんには、
市の効率的かつ効果的な行政運営に資する貴重な御意見をいただきまして、
心から感謝をしている次第でございます。
このたびの報告書では、
数ある子育て支援事業の中から、
主に施設における事業が取り上げられておりました。
これまでに、私も、
子育て真っただ中の世代ということで、
最近では平成21年及び22年の12月議会で一般質問におきまして、
幼稚園行政、保育所行政、学童保育のあり方について取り上げてまいりました。
今回の報告書につきましては、
監査人さんの御意見に大変共感をしながら、
興味深く拝見した次第でございます。
そこで、先般の代表質問におきましても、
公立幼稚園や公立保育所の役割につきましては、
一定市からの御答弁があったばかりではございますが、
市当局におかれましては、
今回指摘のありました公立に対する経常的な公費投入額の大きさにつきましては、
重く受けとめていただきまして、
公立保育所改革及び公立幼稚園改革につきまして、
一刻も早い御決断と取り組みが進められますことを強く要望する次第でございます。
今回頂きました報告書の内容につきましては、
確認のために、監査人さんに対しましては大きく2点
・公立保育所及び公立幼稚園の事業費の縮減につきまして、
そして、市当局のほうには、大きく2点
・保育料の滞納解消と学童保育につきまして、
お尋ねをしたいと思います。
○公立保育所の事業費の縮減について
これは、具体的な意見とか指摘がなければ、
なかなか行政は動かないものというふうに私は思っております。
事業費の縮減につきましては、
第3次行財政改善実施計画におきましても、
ぎりぎりのところまで内部経費の削減が行われたと理解しておりました。
ですので、これ以上どのような経費の削減が可能なのか、
大変興味があるところでございます。
また、報告書でも触れられておりました配置基準の見直しにつきましては、
財源論と子供の安全のバランスを考えて慎重に検討する必要があります。
そして、報告書では、
保育所や公立幼稚園、留守家庭児童育成センターの保育料の見直しも意見されております。
公費負担額の大きさを鑑みると、
一層の見直しが必要とは思われますが、
市民感覚からすると、この公費負担額の縮減のために保育料を上げるということであれば、
まずは、公費投入額の大半を占める人件費の削減も断行すべきであると、
今の消費税増税論議と同様の意見が出ることは、
容易に想像されるわけでございます。
そこで、報告書によりますと、
公立保育所における3歳未満の児童の保育に対する児童1人当たりの公費投入額は、
月額19万4,600円に上っておりまして、
民間保育所に対する公費投入額、11万1,500円と比べまして、
約1.7倍となっている官民格差が問題視されております。
この格差の大部分は、
1歳・2歳児に対する保育士の配置基準の差によるものと思われます。
そして、
公立保育所における3歳以上の児童の保育に対する児童1人当たりの公費投入額は
月額3万9,800円となっておりまして、
民間保育所に対するものと比べて4,200円も多くなっています。
また、同じ3歳以上の児童の幼児教育を担う市立幼稚園に対する公費投入額1万9,700円と比べても約2倍となっていることを鑑みると、
公立保育所の事業費の縮減の必要性は明白でございます。
■質問
本市の公立保育所におきましてさらに事業費を縮減するために、
どのような具体的な措置を講じるべきとお考えなのか、
そしてまた、その取り組みによってどの程度の事業費の縮減が可能とお考えなのか、
お尋ねしたいと思います。
■包括外部監査人の回答
まず、公立保育所の事業費の件ですけども、
現状、いろんな改善をされて、かなり経費削減は努力されている、
ぎりぎりかというお話もありましたけども、
そういうことは十分理解はできるんですが、
公費投入額の現状を見れば、
まだ縮減が必要ではないかと考えております。
具体的にどうするかというのは、
今のぎりぎりの状況の中でさらにというのはなかなか難しいところはあるのですが、
公立保育所につきましては、配置基準の見直し、
これも、先ほどの話がありますので、
総合的に考えないといけないと思いますけども。
それと、人員構成、それによる人件費。
確かに、私立の保育所のほうが
保育士さんが若手の人が多いというのもあるのではないかと思っています。
それから、消耗品とか、事業費については、
そんなに大きな金額にはならないと思いますけども、
消耗品や備品など、細かいことですけども、
その辺の見直しになろうかと考えております。
実際どれだけ見直しによって縮減できる影響額があるかというところなのですが、
これは、いろんな方法、ケース・バイ・ケースなので、
それについては、私のほうでは算定はしておりません。
=======ここからが、本会議場での議論の概要=======
具体的にどの部分を削減するべきなのか、
指摘が欲しかったところです。
配置基準の見直しにも触れられましたが、
子供の安全を確保するためには、
安易に人員を削減することは得策ではありませんので、
公立保育所自体の経費を今以上に大幅に削減するためには、
人件費の削減、職員の給与を削減するよりほか方法はない
と考えざるを得ません。
もしくは、
民間保育所や私立幼稚園に対する公費投入額を増やすことで、
相対的に公立保育所の経費との差を埋める方法もあります。
しかし、この場合は相当の財源を要します。
ですので、
私は、民間移管により一定の財源を捻出し、
その財源で民間の処遇改善を進めることで、
官民格差を埋めていく方法がベストと考えています。
包括外部監査結果に対する質疑②に続きます。