留守家庭児童育成センターでの4年生以上の受入れー平成22年12月議会一般質問

2011年2月13日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

初当選以前に地域活動で知り合った小学生の保護者から、留守家庭児童育成センター(以後、「育成センター」と表記)に関する相談を受けました。長期休業中だけでもいいので、これまでお世話になってきた育成センターで過ごさせてもらえないかという切実な相談でした。

育成センターは、お子様が4年生になると、障害がある方以外は利用できなくなります。しかし、ご相談頂いた方が利用する育成センターは、定員にかなり余裕があったことから、引き続き、4年生も利用させてもらえないだろうか、と考えたそうです。

学校がある時期は、放課後を絶対下校の時間まで学校で過ごしたり、週に数回、塾に通えば、1人で家にいる時間は短時間になるのでまだいいのですが、夏休みなど長期休業中は、1日中1人で家で過ごす時間が長くなり、その間大人の目が行き届かないことで、生活習慣の乱れや不健全な遊びの誘惑、犯罪被害など不安が拭いきれない様子でした。

ある方は、民間の学童保育の利用を検討されている方もいらっしゃいましたが、情報が少なくて利用ができるのか分からないとのことでした。また、ある方は、仕事を辞めることも検討されていました。

そこで、市内の状況を調査し、子供の居場所の確保の観点から、平成22年12月議会で取り上げて議論しました。

======ここから本会議場での議論の概要======

平成22年12月議会一般質問

1.子供の居場所づくりについて
ア)留守家庭児童育成センター(以後、「育成センター」)
■質問の背景・田中の主張
現在、育成センターは、保育に欠ける低学年児童にとって欠かすことのできない生活の場となっております。そして、本年8月に安井児童育成センターの父母の会から、長時間を子供だけで過ごすことになる長期休業中だけでも、育成センターで4年生以上も受け入れてほしいという内容の要望書が提出されました。

育成センターの現状を見てみますと、資料の表1・2のとおり、就学前児童が減少傾向にある中で、近年の3月1日現在の保育所5歳児の入所者数と同年4月の育成センターへの1年生の入所者数は、ほぼ同数となっております。

そして、表5のとおり、保育所の待機児童が増加しているものの、ほとんどが0歳から2歳であり、5歳になると待機はなくなっています。

安井児童育成センターの利用者の推移と現状は、表3のとおり、定員80名のところ、8月1日現在の利用者数は、平成18年が55名、平成19年と20年が64名、平成21年と22年が59名となっており、今のところ、余裕のある状況となっております。
また、表4のとおり、平成22年7月1日現在と夏休みに入った8月1日時点の各育成センターの状況について資料を提供して頂いたのですが、特に第2・第3育成センターのある小学校では、定員に満たないところが多い状況となっております。

4年生以上の児童を受け入れるには、1人当たりのスペースの問題を初め、さまざまな課題が考えられます。
3年生以下が最優先ですから、学校によっては、4年生以上の希望者が全員入れない不公平が生じたり、年度によっては受け入れられない不安定さが残るものの、校区内の児童館の有無や公園配置の地域偏在が存在している中で、昨今の治安の悪化や情報化の進展が及ぼすさまざまな誘惑、薬物汚染などの犯罪から少しでも子供たちを守る姿勢が必要と考えます。

特に長期休業中などは、既存施設の有効活用の観点から、定員に満たない育成センターにおいては4年生以上の受け入れを検討すべきと考えます。

■質問
定員に満たない育成センターにおいて、特に長期休業中だけでも4年生を受け入れることを考えられないものか、市の見解をお尋ねいたします。

■質問に対する市の回答
本市では、これまで、保育所入所者数の推計や小学校の児童数の推計をもとに致しまして、待機児童発生の推移を予測するなど、教育委員会と連携し、情報の共有化を進めております。また、育成センター待機児童の発生が見込まれる小学校区におきましては、待機児童をできる限り出さないことを前提に、施設の利用定員を一定増加させる弾力定員枠を設け、運用を行うなど、待機児童解消に努めているところでございます。

育成センターの待機児童の状況でございますが、平成22年度当初には7名の待機児童がおられましたが、12月1日現在、この状態は解消致しております。しかしながら、近年大きな問題となっております保育需要の急増と、これによります保育所待機児童の増加という現象に見られますように、今後、育成センターの需要もますます高まるということが考えられます。

こう考えますと、現在定員に余裕のある育成センターであっても、定員を超過する、もしくは定員ほぼいっぱいの状態になるということが想定され、実際、平成23年度以降5年間の入所申し込み児童の推移を予測致しましたところ、待機児童が発生することが見込まれるセンターもございます。

また現在、市では、御承知のように、育成センター利用資格を条例で原則として小学校第3学年までとしております。
これは、当初の市の考えと致しまして、育成センターは、下校時から午後5時までの間、児童の主体的な集団遊びを通じて健全育成する施設であり、育成センターで行う事業内容につきましても、集団遊びや日常の生活指導など、低学年児童の健全育成を図るために必要と認められる活動について取り組んでいくとした経緯がございます。

これは、今日でも育成センターに求められる基本的な役割として、大きく変化はしていないものと考えております。
 
そして、4年生以上の児童につきましては、個人差はあるものの、日常生活における自主性がある程度備わっていると見ることができ、また、昨今、放課後における習い事などに通う児童も、低学年と比べると格段に増えてくるということもございます。さらに、高学年になりますと身体も発達致しますことから、成長に応じた施設の整備がなかなか追いつかないといった現状もあり、現段階で4年生以上の児童を受け入れるということにつきましては困難であると考えております。

■意見・要望
4年生以上の受け入れについては、今後の需要等も勘案しながら、また、本来の育成センターの目的というものが基本的に変わっていないということで、困難であるとのことでしたが、御答弁の中にありましたとおり、成長には個人差があるということですので、その境目となります4年生だけでも、定員に満たない育成センターにおいては受け入れを検討して頂きますように、これは強く改めて要望しておきたいと思います。

=======ここまでが本会議場での議論の概要=======

市は、空いている施設を有効に活用しようという柔軟な対応が非常に苦手です。

4年生以上の児童の受入れが「できない理由」として、

①今後、育成センターの3年生以下の需要がますます高まると予測し、現在は、定員に満たない育成センターでも待機児童が発生するセンターもあると予測している。つまり、仮に定員に余裕のある施設で4年生以上の児童を受け入れたとしても、ずっと受入れ可能な状態が続くとは限らない。
②これまで低学年児童の健全育成を図るために必要と認められる活動について取り組んでいくとした経緯
③高学年になると身体も発達することから、成長に応じた施設(男女別トイレなど)の整備が追いつかない

ということが挙げられました。

しかし、これらはすべて「やらないために寄せ集めた言い訳」に過ぎません。いずれも前向きに考えれば、工夫次第でクリアできる課題です。また①については、予測に信ぴょう性があるのであれば、将来を見据えて新たな施設の整備を検討するなど、待機児童を出さない取り組みを今のうちに検討しなければならない課題でもあります。

私は本会議場で受入れが可能であることを具体的な数値で示したにもかかわらず、市は「できない理由」を数値で示すことはしないことから、今のところ全くやる気がないと判断しました。

ですので、育成センター以外のほかの方法で、4年生以上の居場所づくりを進められないかを考えるため、放課後子ども教室についても市と議論しました。

次のコラムに続きます。

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