市立学校に赤外線サーモグラフィカメラを設置へー4月補正予算

2020年4月22日[カテゴリ:コラム, 学校教育

補正予算の最後です。

市立全学校園で赤外線サーモグラフィカメラを設置するための予算が計上されています。
目的は、校門から校舎の動線上に、各校1台ずつカメラを設置し、児童が登校する際に体温をチェックするためです。

学校を再開した際に、登校時に体温をチェックして、早めの対応が可能になると考えられています。

【設置箇所】
幼稚園13園、小学校40校、中学校19校、義務教育学校1校(2台)、特別支援学校1校、高等学校2校
合計77台

【予算】
12万780円×77台=930万1千円

【財源】
県の公立幼稚園感染拡大防止対策事業補助金:12万780円×13台=157万円
市の負担:773万1千円

【納期】
1か月半

という内容です。

納期が1ヶ月半ということで、再開に備えて早めに準備をしていくという姿勢は理解できますが、新型コロナウイルス対策のためだけの「備品」の購入には、慎重さを求めたいと思います。
カメラを学校に設置することについては、普段のインフルエンザによる学級閉鎖を未然に防ぐ対策にも使えるということであれば設置してもいいかと思いますが、今後については、導入効果を考慮しながら、より冷静な判断が必要であると感じました。

それよりも喫緊の課題として、学校については、今の状況を見ていると、あと2週間で4月上旬と比較して1日の新規感染者数が大幅に減少している状況は想像しにくく、再開までにはなお時間を要する可能性が高まっていると考えるべきです。
そうした場合に、子供たちのためにどのような対策を講じなければならないのか、検討すべきことは多数あり、その対策に要する予算が最優先であると考えます。

例えば、先日のコラム(←クリックすると4月12日コラム「GIGAスクール構想の早期実現を」をご覧いただけます。)でも掲載しましたが、早期にオンラインで先生とコミュニケーションを図りながら学習できる環境整備(端末と回線の準備)を進めるべきです。
兵庫県は、県立学校の休校中の学習対策として、500人分のタブレット端末貸与費1700万円を4月補正予算に計上したとの新聞報道を見ました。
しかし、西宮市立学校で実現するためには、インターネットに接続する環境のないご家庭がどの程度あり、学校にはどのような機材がどれぐらい必要で、どの程度の財源が必要なのかまだ明らかにされていません。また、端末の納期と必要家庭への貸与の手続き等を考慮すると、到底、1学期中に間に合わせることは困難と推察されます。

となると、最も直近の対応として、自宅や近所の公園等でできる、学習指導要領に沿った具体的な内容を真剣に考え実践するのが現実的ではないかと思います。

そこで、西宮ではまず、家庭学習を支援するために「まなみや」というインターネットで見ることができるコンテンツの作成を始めました。

しかしこの取り組みについても、インターネット環境が整っていない家庭に対する支援が急務です。例えば、DVDの活用によって課題をクリアできるようであれば、対応すべきです。そうしたことを考えると、家庭訪問もインターン越しでもできますし、電話での家庭環境の把握も可能と思われますので、オンラインでの指導環境の整備を見据えて、至急、家庭の状況を調査して対応するべきです。
そうした対応を迅速にできるよう、入学式や始業式だけは実施したわけですから。

また、「まなみや」を見ましたが、内容はまだまだ始まったばかりで少ないですが、今後、内容を充実させていけば、かなり家庭での学習支援に役立つものになると期待できます。

さらに、教科学習も非常に重要ですが、学校で学ぶべきことはそれ以外にも多岐にまたがっており、学年によっても違いますが、自宅でできること、家事の手伝いの中で代替できることもあると感じています。

例えば、
家の掃除や洗濯は体の運動、
食事を作ることは家庭科の実習、
献立を考えることは食育に繋がります。

食器を洗うことで環境問題など社会について学ぶこともできます。

これらの活動を通じて感じたことを作文にまとめれば、国語の勉強にもなります。

普段学校に通っている時は、家の手伝いでは意識しないことも、改めて意識すれば、学習に代えられるように感じています。
家事ではないですが、音楽や美術、図工、技術についても十分自宅で練習したり、作成することができます。

それらを全て家庭で考えて実践してもらうのは困難ですので、各家庭で対応できるよう学校からのサポートができれば、自宅や公園でできることがかなり増えると思われます。

西宮市が発行している「令和2年度西宮教育推進の方向」の中で、教育長は以下のように記述されています。
「児童 ⽣徒にあっては、新しい学習指導要領に⽰されたようにこれからの社会において、想定外のことが急に起きた時、⾃分で『考え』『判断し』『⾏動できる』⼒を培っていく。」と。

このような危機に、大人がどのように工夫をして代替して行動していくか、その姿を見せることが重要です。
子供たちに自分で考えて行動する力を求めて、大人がそれをできないようでは説得力はありません。

先日、素人ながら、学校での学習活動の代替案を考え、コラム(←クリックするとコラム「市立学校再開を決定ー市の意思決定に対する危機感」をご覧頂けます。)に掲載しました。

「まなみや」のコンテンツの充実、プリントや課題の作成、教科書や問題集の解説の作成、授業DVDの作成、それらの郵便でのやり取りなど、考えられることは山ほどあり、その実現には予算も必要だと考えられます。学校現場で5月以降速やかに実施できるよう早くトップが決断して準備を指示すべきです。

文教住宅都市の真価が問われると言っても過言ではありません。

24日に審議される令和2年度西宮市補正予算のまとめ


最後に、昨日から4回に分けて掲載しました4月の補正予算のまとめを掲載します。

〇新型コロナウイルス感染症のPCR検査委託料の増額:1億1064万4千円
〇新型コロナウイルス感染症拡大に対する緊急経済対策:2億4800万円
〇新型コロナウイルス感染症対策として市立の各学校園に配布するサーモグラフィカメラ購入費:930万1千円
合計、3億6794万5千円

となります。

財源は、国県支出金が5689万2千円、市の財政基金(貯金)からの繰り入れ3億1105万3千円となっています。

この補正予算が発表されて翌日となる昨晩、自民党が飲食店への家賃補助を検討との報道がありました。

遅っ!とも思いましたが、政府は、国全体のことを幅広い視野を持って綿密に検討しなければならないのだと思いますし、700人以上いる国会議員の意見を調整しなければならないので、時間がかかるのは一定仕方ありません。

今回の市の経済対策だけでは、事業主にとって心細いかと思いますので、さらに強化してもらえるとありがたいと感じました。
そして、西宮市のように先行して実施した自治体に対しても、あとから財政措置して頂けると大変ありがたいと思っています。
市民や事業主と最も近いところで意見を聞ける地方行政、地方政治にはスピードが、国には大きな財源が求められる、役割分担が重要と考えていますので、今回はこれでいいと思っています。

これからも、国の対応を待つのではなく、市でできることを考えて、国にはあとから更に大きな財源でもって強化してもらえると本当にありがたいです。

5月にも、国や県の取り組みに要する経費の予算と合わせて、市独自の対策が講じられることを期待して政策を提言するために、今後も、情報収集と発信を続けてまいります。

記事一覧