事務事業評価。
全国的に、行政改革の手法としてニュー・パブリック・マネジメント(NPM)の手法が取り入れられ、自治体の経営改革、市役所の業務改善を図る取組みが進められています。
事務事業評価システムは、市役所がどのような事業を、どれだけの経費や人員を割いて実施しているのかを可視化する大切なシステムです。
事務事業評価システムを導入することを目的にするのではなく、このシステムを活用して、市民福祉の向上、政策実現のために、効果的な事業を選定し、効率的に事業を実施できるよう、不断の改革をすることが重要です。
=====本会議場での議論の概要=====
平成15年6月議会一般質問
1.財政難の克服について
エ)事務事業評価システム
■質問の背景
この事務事業評価システムは大変すばらしいもので、今後の行政運営を効率的に、そして客観的に市民のニーズに合わせた行政運営が図れるものと期待できるシステムではないかと、今年3月になされました所管事務報告を読んで私は感じました。一刻も早く導入できるよう力を入れてほしいものと願っております。というのも、一番最初に検討を始めようとこの本会議に登場したのは、6年前の平成9年のことで、そのときには三重県では既に行われていました。
それから遅れること5年、平成14年にようやく試行が始まり、そして、今年度は1課1事業と対象事業を増やしたとはいえ、まだ試行実施ということで、本格実施は平成17年度になると書いてありました。これだけ西宮市の行政運営にとって重要なシステムにもかかわらず、もちろん重要なシステムなだけに慎重な吟味が必要なことはわかりますが、実施までに随分時間をかけておられます。
■質問
現在の取り組みについてお教えください。
また、試行実施の結果、どうであったら本格実施で、どうであったら実施しないのかという判断基準はできているのでしょうか。モデルとしている三重県はもちろん、他の自治体でも既に活用されていて、時間が相当経っています。まだまだ客観的判断材料が不足しており、評価方法に課題が残っているとは思うのですが、1年でも早く活用を始め、その後も進化させていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
そして、評価後の措置として、コスト的に委託した方がよい分野、また嘱託職員でも十分可能な分野、将来的に正規の職員が取り組まなければならない分野、そういった選定を急がなければならないと思うのですが、このシステムを積極的に活用し、判断する用意はあるのでしょうか、お聞かせください。
■市の回答
本市が現在導入を進めております事務事業評価システムは、いわゆる行政評価の中の一つの手法でございまして、行政活動の最も具体的であり基礎的な単位であります事務事業を対象として、事後に評価を行おうとするものです。
行政評価は、行政の活動を何らかの統一的な視点と手段によって客観的に評価し、その評価結果を行政運営に反映させるものですが、評価の対象を何にするのか、どのような手法で評価するのか、また、いつの時点で評価を行うのかによって内容が異なってまいります。
本市におきましては、先進自治体の導入事例等の調査研究を踏まえ、行政評価の取り組みの第1段階として事務事業評価を導入することとし、昨年度、50のモデル事業を選定して試行実施致しました。また、制度の効果的な活用を図るためには職員の意識改革とノウハウの蓄積が重要でありますことから、職員みずからの手で取り組み、評価手法を中心とした検証を行い、評価の際に使用する様式の見直しなども行っております。
しかしながら、制度を実効あるものとしていくためには、事務事業評価と財務会計との連携、学識者あるいは市民等による外部評価の導入、コンピューターシステム化など、制度の運営面において解決すべき多くの課題もありますことから、対象とする事務事業を拡大しながら段階を追って制度の定着と内容の充実を図ることとしております。
今年度は、1課1事業を対象として事務事業評価を実施致しますが、それとあわせて、政策、施策レベルでの評価、公共事業を対象とした評価についても研究、試行を段階的に進め、平成17年度をめどに総合的な行政評価制度を確立し、人、物、金など経営資源を適正に配分していくといった経営型の行財政運営を目指してまいりたいと考えております。
■意見・要望
客観的な行政評価が一番大事なところであります。かなり課題も具体化してきているようですが、今後の組織の再構築を図る上でとても重要なシステムとなり得ます。先進自治体からかなり遅れをとっておりますので、これ以上の遅れをとらないように研究に力を入れていただきたい、そう考えます。
政策的な取り組みは非常に消極的という感がありまして、他市の例を出して議会側から提案があっても、実行までには大体5年ぐらいかかっていると思われます。民間企業では考えられないほど遅いペースであると思われまして、職員数を減らしていかなければならない現状で、少人数でこの重要な施策を幾つも研究しなければいけないということは大変かと思いますが、財政難の中ですし、国からはますます地方自治体の自立が求められてます。対応できる体力をつけておかないといけないこの時期、政策の研究に対する投資、将来的に見て投資をすることは非常に重要なことではないかと考えます。
時代の変化はどんどん速くなってますし、価値観もどんどん多様化しています。その価値観に応じた個々の要求に満足してこたえられるほど、西宮市は今財政的に余裕はないと思います。このままの状況を続けていけば、時代の変化に西宮市はついていけないのではないかと不安に思うわけです。
本市は、未曾有の阪神大震災による被害を受けましたが、全国的に行政は今、未曾有の時代の変化に巻き込まれているのではないかと思いますので、その辺意識して(迅速に対応して)いただきたいと思います。
将来的なビジョンのために今本当にやっておかないといけないことは何なのかということを、市長には特に見きわめいただきたいと要望させていただきたいと思います。
加えて、政策研究を担当する職員数を少しでも増やす人事配置を要望致します。
=====ここまでが、本会議場での議論の概要=====
■最終目標
●財政構造改革の推進
●市役所業務の効率化
■講じるべき手段
●事務事業評価の導入・活用