学びの環境保全対策ー令和2年度補正予算(第7号)③

2020年9月3日[カテゴリ:コラム

 今日から西宮市議会では一般質問が始まりました。今回のコラムは、令和2年度補正予算(第7号)のうち、教育環境の保全に関連した内容をまとめて掲載します。
 

学校再開に伴う感染症対策・学習保障等に係る支援事業(新規)

市の説明の抜粋
 各学校が、学校の感染症対策を徹底しながら子供たちの学習保障をするために、校長の判断で迅速かつ柔軟に対応することができるよう、必要経費を学校に配当して支援します。事業費は、令和2年度当初予算(3月)及び8月補正予算(今回)で対応します。
【補正予算額】
 2億1343万3千円
【対象校種】
 小学校、中学校、義務教育学校、特別支援学校、高等学校
【支援対象例】
・消毒液等の保健衛生用品の追加的な購入経費
・教室等における3密対策として、換気を徹底するためのサーキュレーター等の購入経費
・従来の夏季休業期間に学校教育を実施する際の熱中症対策に必要な経費
・教室等における3密対策として、空き教室等を活用する際に必要となる備品等の購入経費
・修学旅行等の移動時における3密対策として、追加でバスを借り上げるための経費
【事業スケジュール】
 ~令和3年3月31日

 当初予算1712万3千円(使用料及び賃借料(バスの増便等に係る経費))と今回の補正額を合わせて、総事業費は2億3055万6千円となります。財源は国の補助金が1億1513万3千円、市の一般財源が1億1542万3千円で対応される予定です。

 普段は、児童生徒数に応じた「学校配分予算」が各市立学校に配分され、各学校のニーズに沿って活用できることになっています。今年度の当初予算における学校配分予算は、児童生徒一人あたり2万484円で計算して配分されており、総額8億4016万2千円となっています。

 学校再開に伴う感染症対策・学習保障等に係る支援事業も、校長の判断により活用できるということで、より現場に近いところで、各学校の工夫により、ニーズに沿った対応ができる予算が措置されることは好ましいです。

学校の臨時休業に伴う学習等への⽀援事業(学びの指導員の拡充)

 令和2年6月議会一般質問(←クリックすると該当するコラムが開きます。)での補習体制の強化に関する質問の中で、市教育委員会より「授業中や放課後の補習の支援者として学びの指導員による支援時間を増やしてまいります。」との回答がありました。具体的な予算が以下の内容となります。

市の説明の抜粋
 西宮市立小・中学校、義務教育学校、特別支援学校の教育課程内及び放課後の時間を活用した学習支援を行っている「学びの指導員」について、新型コロナウイルス感染症による臨時休業に伴う未指導分の補習等の支援のために拡充を図り、学校における学力向上や新型コロナウイルス感染症に配慮した学習活動の取り組みを支援します。
【補正予算額】
 3042万6千円
【支援対象者】
 西宮市立小・中学校、義務教育学校、特別支援学校の児童・生徒
【事業スケジュール】
 令和2年5月~令和3年3月
【実施方法】
 指導員を学校教育課および各校で募集・配置
【事業に要する費用】
①学びの指導員報償費
(5~7月)(週3日体制:1日4時間)
 1,000円×120時間×62校=744万円
(8~3月)(週5日体制)
 1,000円×600時間×62校=3720万円
②損害保険料19万9750円

 当初予算計上分及び6月補正増額分(←クリックするとコラム「令和2年度補正予算(第5号)②」が開きます。)と合わせて、事業費総額は4484万円となり、財源は県補助金4318万8千円と市の一般財源165万2千円で対応されます。

 以前のコラムでも書きましたが、今春の一斉臨時休業により、夏休みの期間や本来の授業時間を短縮しているため、急ピッチで授業を進めなければならず、児童生徒の学習の理解の差が大きくなることも想定されます。ですので、授業の理解に不安がある子供たちに対する学習支援が適切に行われるよう体制の強化が必要と考えています。学びの指導員の活動時間を増やす予算は可決しましたが、人材の確保と学習支援内容の質が重要になります。

 6月に一般質問をした時点では、市教育委員会は、「今後は学習指導員の確保が課題であり、現在国の学校・子供応援サポーター人材バンク名簿に登録いただいている方への連絡を行っており、さらに、今後は、大学を通じて学生に対して学習支援の募集を行ってまいります。」と回答していました。その後、地域の方々にも御協力を頂き、現在のところ、多数の方にご登録は頂けているそうです。今後は、教育活動の妨げにならないよう気を付けながらにはなりますが、指導員の活動状況を調査しなければならないと考えています。

障害のある児童生徒のための入出力支援装置の整備(新規)

市の説明の抜粋
 障害のある児童生徒が情報機器端末を活用するために、児童生徒の利便性向上の観点から、より個別性の高い特別な入出力支援装置が必要な場合があります。障害のある児童生徒が1人1台端末を効果的に活用できる環境を早急に実現します。
【補正予算額】
 142万3千円(財源:全額県の負担)
【交付対象】
 西宮市立西宮養護学校
【交付対象事業】
 公立学校情報機器整備事業費
【事業スケジュール】
 補正予算成立後~令和3年3月31日

幼稚園保育補助員の配置(幼稚園ささえ事業の拡充)

市の説明の抜粋
 幼稚園再開に際し、”密”を避けるためクラスを分割する等感染予防対策を行うにあたり、支援員を配置します。
【補正予算額】
 75万1千円(財源:全額一般財源)
(内訳)
 ①幼稚園保育補助員必要経費 報償費 132万5千円
  (a) 定員の半数以下の学級:5,000円×5日×5学級=12万5千円
  (b) (a)以外の学級:5,000円×10日×24学級=120万円
 ②今後の幼稚園事業での執行予定額(報償費)85万5千円
 ③当初予算額(報償費)142万9千円
【事業スケジュール】
 保育補助員配置 令和2年6月~令和2年7月
 その他指導員配置 令和2年11月~令和3年3月
【実施方法】
 保育補助員・指導員を学校教育課および各園で募集・配置

 公立幼稚園は現在13園あり、4歳児学級が14学級、5歳児学級が15学級あります。そのうち、5学級が定員(30名)の半数以下となっています。そして、4歳児が30名以上通園している幼稚園はわずか2園しかありません。このような状況のもと、平成28年度まで20園あった市立幼稚園は、4年間で7園を閉園し、保育所や適応指導教室など他の用途への転用を進めてきましたが、平成30年度に方針が変えられ、今後の閉園予定はなくなりました。
 一方で、今年4月の保育所の待機児童は345名と発表されています。本気で待機児童を解消しようと市が考えているのであれば、待機児童が多い地域にある市立幼稚園をさらに閉園し、民間の認定子ども園や保育所分園を誘致するべきと私は考えています。認定子ども園であれば、幼稚園希望の方も利用できます。

公立幼稚園への非接触型体温計の配付(新規)

市の説明の抜粋
 未就学児の登園時の体温チェックを簡単に実施するために、サーモグラフィカメラ等によりスクリーニングを行った後、体調不良者の検温を行うための体温計を一括購入し、幼稚園に配布します。
【補正予算額】
 8万6千円(財源:県補助金(10/10)を活用予定)
 (単価5,980円×1.1×13 台=85,514円)
【配布台数】
 市立幼稚園13園に各1台ずつ。
(小、中、義務、特別支援学校、高等学校については、各校配分経費にて必要に応じて購入)

児童生徒定期健康診断の実施時期変更への対応

市の説明の抜粋
 児童生徒定期健康診断の実施については、日程調整から実施、結果の集計まで、数多くの業務を限られた日程で処理している現状がある。(関連業務に携わる職員は、指導主事2名、会計年度任用職員A(嘱託職員)1名、B(臨時職員)2名)
 そのような現状の中、例年、実施時期はおおむね1学期中としているが、令和2年度については新型コロナウイルス感染症の影響により、1学期の実施を見送り、2学期以降の実施を予定している。そのため、2学期以降に2次検診も含めた業務が重なり、例年より業務繁忙となることが予想されるが、業務に当たる会計年度任用職員(B)2名のうち1名は9月末までの任用となっていることから、10月以降も会計年度任用職員(B)を2名任用することができるようにするため、人件費等を増額する。
【補正予算額】
 136万円(財源:全額市の一般財源)

次のコラムに続きます。

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