前回コラムの続きです。
今回は、令和2年度補正予算(第7号)のうち、民間の介護サービス事業所や介護施設、障害福祉サービス事業所等、保護施設、児童福祉施設等に対する支援について、まとめて掲載します。
介護施設等新型コロナウイルス感染症対策支援事業(拡充)
介護サービス事業者に対する支援については、今年4月の緊急事態宣言下において市に対して問合せをした(←クリックするとコラム「介護環境の保全も喫緊の課題」が開きます。)ところから始まりました。その後、先日のコラム(←クリックするとコラム「介護サービス事業者への支援」が開きます。)でも掲載しましたが、5月22日の健康福祉常任委員会での議論を経て、令和2年6月議会一般質問で取り上げた内容を具体化して頂きました。
なお、介護施設等に対する支援としては、令和2年度補正予算(第4号)(←クリックするとコラム「令和2年度補正予算第4号③」が開きます。)に引き続いての事業となります。
【補正総額】
2億9730万8千円(財源:全額市の一般財源)
(1)新型コロナウイルス感染症に係る事業継続包括支援給付金事業(新設)
【給付対象】
令和2年4月及び5月に介護サービス提供実績のある介護サービス事業所・介護施設、及び通所系サービス事業所であって、給付金申請時においても事業を継続している事業所
【給付金額】
指定サービス事業所あたり30万円
【使途例】
感染予防対策の強化や衛生用品備蓄の推進、利用控えによる減収への対応、職員体制の強化など
【事業費】
2億9130万8千円
(内訳)
給付費:952事業所×30万円=2億8560万円
事務費:570万8千円
(2)新型コロナウイルス感染症に係るPCR 検査等受診支援事業(新設)
【補助対象】
介護施設・介護サービス事業所等
【対象経費】
行政検査(公費負担)の範囲外とされた職員や利用者の検査費用
【補助額】
1検体あたり2万円を上限(補助率10/10)
【事業費】
600万円
5月22日の健康福祉常任委員会で求めていました調査に基づいて、今回の事業が具体化されたとが説明されました。調査にご協力いただいた事業所には心から感謝申し上げます。なお、そのアンケート調査の回答率が46%と半数に満たない状況にあり、市と民間の介護サービス事業所との協力関係、信頼関係に関して課題があることが浮き彫りになったと考えています。これは、西宮市に限ったことではないと思われますが、行政と民間介護サービス事業所との協働により市内の介護環境が守られることになることから、今後、市は民間事業所とのコミュニケーションを強化する取り組みが必要であると考えています。
なお、市が実施したアンケート結果の分析は以下のとおりです。
〇市に期待する支援策については、「衛生用品等の供給ルート確保の支援」「感染症対策等の増加経費の支援」「PCR 検査体制の充実」がどのサービス形態においても上位となっていました。また、通所系事業所については、「減収への支援」と回答した事業所が多くありました。
〇65.5%の法人から減収の影響があったとの回答がありましたが、10%未満の減収でも事業継続に致命的な支障が生じる事業所が存在するなど、一律何%以上の減収のみを対象に支援策を講じることは困難です。また、事業継続のための課題としては、介護報酬の減収のみでなく、新たに必要となった様々な経費によって経営面への影響が生じていることも想定されます。
〇5月補正予算において新設した新型コロナウイルス感染症対策のための助成事業の利用予定について、「予定あり」と回答した事業所は21.4%でした。
5月の補正予算(第4号)による助成事業が民間事業者のニーズに合っていなかったことが示唆されています。この調査結果から、使途を限定せずに事業継続のために包括的に使える給付金を支給することとなりました。「事業所・施設の規模に寄らず同額の支給」という点に課題は残りますが、各事業所に迅速に支給できるよう配慮された結果と理解しています。
児童福祉施設等における新しい生活様式を踏まえた感染拡大防止対策に係る支援(拡充)
令和2年度補正予算(第4号)、令和2年度補正予算(第6号)(←クリックするとそれぞれ詳細を掲載したコラムが開きます。)に引き続いての支援となります。
第4号は国の負担、第6号は県の負担で実施され、今回は市の一般財源による支援となり、初めて私立幼稚園も対象となりました。
そこで、市内の児童福祉施設等に対して、事業の継続実施に必要な経費について補助を行うこととし、必要な事業費等を補正により予算化して、感染防止対策等についての支援を行います。
【目的】
児童福祉施設等における感染拡大を防止する観点から、感染防止のための備品の購入等に対する支援に加えて、職員が感染症対策の徹底を図りながら事業を継続的に実施していくために必要な経費について、自動水栓や換気用網戸等の設置工事等も含めて支援することで、児童福祉施設等において新しい生活様式を踏まえた環境整備等を推進する。
【対象経費】
児童福祉施設等が購入する衛生用品等に対する経費及び、手洗い場の自動水栓取付、換気のための網戸設置等の感染防止に資する工事等、職員が感染症対策の徹底を図りながら業務を継続的に実施するために必要な経費。
【対象期間】
令和2年4月1日から令和2年12月31日まで
【補助額】
1施設あたり30万円まで
【対象施設等】
民間保育所(26施設)、認定こども園(28施設)、地域型保育事業所(52施設)、認可外保育施設(88施設)、病児保育施設(5施設)、私立幼稚園(34園)、地域子育て支援拠点事業等(12ヶ所)
【補正総額】
7350万円(財源:全額市の一般財源)
1施設あたり30万円の補助金となっています。一方で、市立保育所に限定すると、自動水栓の設置及び網戸の設置工事費の1園あたりの平均が約40万円となっています。民間の児童福祉施設に対する補助金は、自動水栓の設置及び網戸の設置工事に限定していない分、幅広く活用できる反面、公立に対する公費投入額と比較して補助額が低く設定されており、民間の効率的な運営によってもなお、埋まらないような公私間の差は、是正していかなくてはなりません。
障害福祉サービス事業所等新型コロナウイルス感染症対策支援事業(拡充)
【補正総額】
2億5756万4千円(財源:全額市の一般財源)
(1)新型コロナウイルス感染症に係る事業継続包括支援給付金事業(新設)
【給付対象】
令和2年4月及び5月に障害福祉サービス提供実績のある障害福祉サービス事業所等であって、給付金申請時においても事業を継続している事業所
【給付金額】
指定サービス事業所あたり30万円
【使途例】
感染予防対策の強化や衛生用品備蓄の推進、利用控えによる減収への対応、職員体制の強化など
【事業費】
2億5556万4千円
(内訳)
給付費:835 事業所×30万円=2億5050万円
事務費:506万4千円
(2)新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査等受診支援事業(新設)
【補助対象】
障害福祉サービス事業所等
【対象経費】
行政検査(公費負担)の範囲外とされた職員や利用者の検査費用
【補助額】
1検体あたり2万円を上限(補助率10/10)
【事業費】
200万円
介護と同様に、調査に基づいて今回の制度が実施されていることが説明されています。調査にご協力いただいた事業所には心から感謝申し上げます。なお、こちらもアンケート調査の回答率が46%となっています。介護サービス事業所の場合は、民間の現場の方々のご意見を伺う機会が多く、回答率が低くなっている原因が推察できましたが、障害福祉に関しては今のところ私は推察ができません。
保護施設等新型コロナウイルス感染症対策支援事業(新規)
【補正総額】
656万8千円(財源:市の一般財源50万円、国からの補助606万8千円)
(1) 救護施設に対する事業継続包括支援給付金事業
【対象施設】
救護施設(生活保護法に基づいて、身体上又は精神上の著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させ、生活扶助を行うことを目的とする施設。西宮市の該当施設は、ななくさ厚生院の1ヶ所。)
【給付額】
1施設あたり30万円
【給付金使途例】
感染予防策の強化(非接触型衛生設備の設置など含む)、三密を避けたサービス実施のための経費、職員体制の強化など。
【事業費】
30万円(財源:全額市の一般財源)
(2) 救護施設におけるPCR検査等受診支援事業
【対象施設】
救護施設
【補助対象経費】
行政検査(公費負担)の範囲外とされた職員や利用者の検査費用
【補助額】
1検体あたり2万円を上限(補助率10/10)
【事業費】
20万円(財源:全額市の一般財源)
(3) 救護施設職員への慰労金給付事業
【対象者】
以下のア・イいずれにも該当する者を対象とする。
①兵庫県における新型コロナウイルス感染症患者1例目発生日(令和2年3月1日)から令和2年6月30日までの間に、救護施設で通算して10日以上勤務した者。
②慰労金の目的に照らし、「利用者との接触を伴い」かつ「継続して提供することが必要な業務」に合致する状況下で働いている職員。
【給付額】
ア)利用者に新型コロナウイルス感染症が発生又は濃厚接触者である利用者に対応した救護施設に勤務し、実際に新型コロナウイルス感染症患者又は濃厚接触者が発生した日以降に当該事業所・施設で勤務した職員1人あたり20万円
イ)上記以外の救護施設職員1人あたり5万円
【事業費】
1人あたり5万円×40人=200万円(財源:全額国の負担(生活困窮者就労準備支援事業費等補助金))
令和2年3月1日~6月30日までの間に、本市の救護施設において感染者又は濃厚接触者はいらっしゃらなかったそうです。国の補助事業ですので(ア)の条件も掲載しています。
(4) 保護施設等の衛生管理体制確保支援等事業
【対象施設】
救護施設、更生施設、宿所提供施設、授産施設(社会事業授産施設を含む)、無料低額宿泊所、生活困窮者・ホームレス自立支援センター、生活困窮者一時宿泊施設、生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業の事業所、自立相談支援機関、社会福祉協議会
【補助対象事業】
ア)衛生用品等の緊急調達事業
保護施設等が各種衛生用品の購入に要した経費について、補助を行う。
イ)施設等衛生環境改善事業
保護施設等において新型コロナウイルス感染症が発生した場合に、感染拡大防止のため、建物や設備の消毒を事業者へ依頼する際の経費について、補助を行う。
【事業費】
356万8千円(財源:全額国の負担(生活困窮者就労準備支援事業費等補助金))
(内訳)
衛生用品等の緊急調達事業:236万8千円
施設等衛生環境改善事業:40万円×3件=120万円
(5) 保護施設における感染症対策支援等事業
【対象施設】
救護施設、更生施設、宿所提供施設、授産施設(社会事業授産施設を含む)
【補助対象経費】
新型コロナウイルス感染症に関連し、保護施設で発生した以下のかかりまし経費。
ア)他施設で感染者が発生した場合において、自施設から応援職員を派遣した際にかかる追加人件費。
イ)医療機関や保健所等とのクラスター発生時等の情報共有のための通信運搬費。
ウ)職員が勤務時間外に消毒・清掃等を行った場合の超過勤務手当や休日勤務手当等の割増賃金や、通常想定していない感染症対策に関する業務の実施に伴う手当など、施設の給与規定等に基づき職員に支払われる手当等のほか、非常勤職員を雇上した場合の賃金。
エ)施設の感染防止対策の一環として、職員個人が施設や日常生活において必要とする物品等の購入支援。
オ)直近の生産活動収入が相当程度減収している授産施設(社会事業授産施設を含む)における、生産活動の再起に要する費用。
【事業費】
50万円(財源:全額国の負担(生活困窮者就労準備支援事業費等補助金))
次のコラムに続きます。