令和2年度補正予算第4号③ー介護施設等への支援

2020年6月3日[カテゴリ:医療・福祉

補正予算の審査を行った5月22日の健康福祉常任委員会では、私は、有事における福祉事業の現状把握について重点を置いて質疑しました。
5月14日のコラム(←クリックしてご覧ください)で掲載しましたが、4月上旬に西宮市議会災害対策支援本部を通じて文書でしか問えなかった課題を、ようやく公式の常任委員会で問うことができました。

有事における介護環境の急激な変化の把握

前回のコラム(←クリックするとご覧頂けます)に掲載したとおり、障害者施設に対する現状の聞き取りを実施し、施設の売上げの減少を把握した上で、十分ではないにしても、施設のみならず障害者に対する支援が予算化されました。

一方で、介護サービス事業者に対する高齢者の利用状況に関する聞き取りは実施されておらず、平時と同様、介護保険の利用実績が判明するのを待つという状態でした。これでは、把握ができるのは2ヶ月遅れとなり、スピード感のある支援は難しくなります。仮に、支援が必要な状況に陥っていれば、有事における課題を2ヶ月以上放置することにもなります。

アンケート調査を実施しない理由は、「事業者に負担がかかるから」という驚きの理由でした。

また、同じ健康福祉局の中で、状況の把握の姿勢、方針にも差があることも露呈しました。

確かに、感染症への対応に忙しくしている最中、アンケート調査を実施するというのは負担を強いることになりますが、高齢者の命、生活に関わることですから、民間の事業者が調査に協力してくれないとは考えにくいです。そして、有事における状況、変化を迅速に把握することは、福祉を必要とする方を守ることに繋がると考えていました。
大至急状況を把握し、必要な支援を講じるよう要望しました。

今回の件で、有事における介護環境の変化を把握する仕組みが機能していないことも判明しました。感染症の第2波のみならず、災害時の備えとしても、今後、環境の変化の把握に必要な体制づくりが必要です。

介護施設等新型コロナウイルス感染症対策支援事業(新規)

今回の補正予算で対応される事業の内容を掲載致します。

市の説明の抜粋
 介護サービスは要介護・要支援者が住み慣れた地域で生活するために必要不可欠なものであり、新型コロナウイルス感染症の発生による介護サービス提供体制に対する影響を軽減することが必要です。このため西宮市では、介護サービス事業所・介護施設等が、感染機会を減らしつつ、日常生活に必要な介護サービスの提供を維持するために要する経費を支援することとし、令和2年度予算を増額補正して対応します。
【総事業費】
4,868万8,000円(うち、市一般財源負担:2,286万3,000円)

(1)新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス継続支援事業

制度の概要
 利用者又は従業者に感染者が発生した介護サービス事業所等が、関係者との緊急かつ密接な連携の下、感染機会を減らしつつ、必要な介護サービスを継続して提供するために必要な支援を行う。
【補助対象】
 利用者又は職員に感染者が発生した介護サービス事業所・介護施設、及び通所系サービス事業所であって、施設でのサービス提供が困難になった等の理由により当該事業所の職員が居宅で生活している利用者に対して、訪問等によりサービスを提供した事業所など
【対象経費】
 サービス継続に必要な事業所等の消毒費用、マスク等の衛生用品購入費用及び通所系サービス事業所が訪問サービスを実施することに伴う必要な人員確保のために要する費用など
【補助額】
上限は事業所・施設等種別により異なる(補助率10/10)
(例)通所介護事業所・通常規模型:1 事業所あたり537 千円(事業所職員が訪問サービスの提供を行う場合は上限に537 千円を加算)
【事業費】
3,648万8,000円(国が2/3、市が1/3を負担)

↑事業名は「介護サービス継続支援事業」となっていますが、「感染防止徹底事業」の内容です。
新型コロナウイルスの感染は高齢者の命にもかかわることであり、高齢者が長時間滞在する、もしくは、高齢者と密接に長時間接する介護サービス事業所においては、感染拡大防止対策は病院と同等に重要です。介護における感染拡大は、医療崩壊にも直結すると言っても過言ではないと思っています。

継続支援事業として、事業者の売上減少に対する支援や介護従事者に対する手当への支援が絶対に必要です。

(2)新型コロナウイルス感染症に係る濃厚接触者へのサービス提供継続支援事業

制度の概要
 介護サービスを利用している要介護者又は要支援者が、濃厚接触者又は感染者と判断された場合においても、日常生活に必要な介護サービスを維持するため、サービス提供を行う介護従事者を支援する。
【補助対象】
 介護施設・介護サービス事業所等
【対象経費】
 濃厚接触者等へのサービス提供に従事することを理由として、介護サービス等従事者に対して支給する特殊勤務手当
【補助額】
 当該従事者1人あたり日額3,000円を上限(補助率10/10)
【事業費】
450万円(全額市が負担)

↑濃厚接触者に対する対応に限定されています。しかも「支援がないよりマシ」のレベルです。
感染リスクと直面しつつ、「感染が利用者である高齢者の命にかかわる事態となる」というプレッシャーの中、仕事をしなければならないという過酷な環境であり、平時ですら、介護人材不足が課題となっていた中で、さらに担い手が減少してしまう恐れのある事態です。

人材確保のためにも事業者を通じた支援がさらに必要です。

(3)介護施設等における新型コロナウイルス感染拡大防止対策事業

制度の概要
 介護施設等において感染が疑われる者が発生した場合に、介護施設等内で感染が広がらないよう、利用者等が触れる箇所や物品等の消毒に必要な費用を補助する。
【補助対象】
 介護施設・介護サービス事業所等
【対象経費】
 感染が疑われる者が発生した場合に、事業者が行う消毒・洗浄のために必要な消毒薬等の購入費用、委託料
【補助額】
 上限なし(補助率10/10)
【事業費】
 150万円(県の負担)

↑この支援は、兵庫県の事業です。

(4)介護施設等におけるICT 導入支援事業

制度の概要
 感染拡大防止措置として面会制限等を行う介護保険施設において、面会者等との接触機会の削減のためのICT 機器導入に要する費用を補助する。
【補助対象】
 介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設)
【対象経費】
 ICT 機器(タブレット等)の購入等
【補助額】
 上限 1 施設あたり20万円(補助率1/2)
【事業費】
 620万円(全額市が負担)

学校にも早くICT機器を導入するため予算が必要です。

西宮市では、新規の感染確認は18日連続ゼロとなり、市が発表した感染者のうち、入院入院調整中の方も6月2日13時時点でようやくゼロとなったそうです。

今のうちに、第2波に備えなければなりません。引き続き、情報収集と情報発信に努めます。

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