憲政史上最長という長きにわたり、日本の政治を引っ張ってこられました安倍首相が辞任されることとなりました。7年8ヶ月にわたる内閣総理大臣の任務は、志を持って臨まれた任とはいえ、想像を絶する激務であったと思います。この場をお借りして心から感謝申し上げ、敬意を表します。
さて、西宮市では、7月21日以来41日ぶりに新型コロナウイルスの感染が確認されませんでした。そして、先週23日(日)~29日(土)は、18名の方(そのうち、市外在住の方が3名)の感染が確認され、その前の週が23名(そのうち市外在住の方が3名)でしたので、1週間単位で見ても減少傾向にあります。入院・入院調整中の方も25名と減少していますが、2名の方がお亡くなりになりました。ご冥福をお祈り申し上げます。
感染の確認は減少傾向にありますが、引き続き、感染に気を付けながら活動していかなくてはなりません。
令和2年度補正予算(第7号)
今回からようやく、8月7日(金)開催の臨時議会で可決された令和2年度補正予算(第7号)について、掲載してまいります。
補正予算の総額は、32億4587万2千円の増額となり、令和2年度の一般会計総額は3376億6744万2千円となりました。この予算増額のための財源は、国と県の負担が5億2177万8千円、寄付金等が2039万6千円、市の一般財源が27億369万8千円となっています。市の一般財源については、財政基金という市の貯金を取り崩すことになっていますが、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用が認められれば、この貯金の取崩し額は大幅に減少することになります。
以下に、各事業を掲載しますが、今回は、主に、公共施設における感染拡大防止対策に関する内容を掲載します。
公共施設は多種多少ですが、これまで、それらが市役所の縦割りで管理されていることの弊害を指摘してきました。平成18年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「公共資産の維持管理システム②」が開きます。)で、道路などを含めた市全体の資産に関する情報を一元化し、計画的に維持管理するためのマネジメントシステムの必要性を主張したのが始まりです。
それまで、施設単体だけを見て、しかも、整備後の維持管理に目を向けずに整備すると、のちに維持補修費がかさみ、後世に負担を強いることになると指摘しました。
その後、平成24年12月に「公共施設マネジメントに関する基本的な方針」が示されたものの、未だ施設に関する情報の一元化ができているとは言い難い状況となっています。
直近では、令和元年6月議会一般質問で、利用者の安全を確保する上で重要な役割を果たす防犯設備(←クリックするとコラム「縦割り行政」が開きます。)や消防設備(←クリックすると該当するコラムが開きます。)の設置状況に関する情報が一元化されていないことを指摘しました。
今回の補正予算では、感染症対策という観点で、一元的に対応されることについては、これまでと比較して少しだけ変化があったと感じています。今後は、設置した設備を適切に維持管理し、その状況を一元管理できるシステムや体制が必要と考えています。
公共施設における新型コロナウイルス感染症対策事業(新規)
【補正予算総額】
3億8385万7千円(財源:全額一般財源)
(1)トイレ手洗い場自動水栓化事業
【事業費】
3億4360万6千円
【対象数】
対象施設数275施設、設置個数5,542 個
(施設内訳)
市民集会施設:19施設、56個
文化施設:4施設、6個
運動施設 13施設、48個
保健・福祉施設:1施設、1個
児童施設 63施設、107個
公園施設 50施設、145個
学校施設 77施設、5,021個
社会教育関連施設 18施設、81個
その他 施設 30施設、77個
↑手洗い場の全ての蛇口が自動水栓となるわけではありませんが、感染防止のための措置ですから、センサーの劣化や故障が長期間放置されるようなことのないよう維持管理が重要です。
(2)換気対策のための網戸設置事業
【事業費】
4025万1千円
【対象数】
対象施設数137施設、設置枚数547枚
(施設内訳)
市民集会施設 17施設、130枚
文化施設 4施設、34枚
運動施設 3施設、11枚
保健・福祉施設 6施設、62枚
児童施設 79施設、183枚
公園施設 3施設、6枚
社会教育関連施設 16施設、82枚
その他施設 9施設、39枚
↑学校施設については、既決予算にて対応するため、補正予算には含まれていません。
子供から聞いた話では、換気のために窓を開けていたため、教室に蜂が入ってきて大騒ぎになり、授業が中断したことがあったそうです。スズメバチではなかったようですが、場合によっては大けが、命にもかかわることですので、細かいことですが早急な対応が必要です。
平成24年12月に策定された「西宮市公共施設マネジメントのための基本的な方針」では、①維持管理の最適化、②施設性能の最適化、③施設機能の最適化、④施設総量の抑制、を進めることが示されています。
持続可能な財政運営・まちづくりの観点から、人口減少が進む将来を見据えて、公共施設マネジメントの方針に基づいた公共施設等総合管理計画をさらに具体化して進めていく必要があります。
複合災害に備えた避難所の体制強化事業(新規)
【補正予算額】
3億9766万3千円(財源:県が1億1140万5千円、市が2億8625万8千円)
(内訳)
工事請負費:3億4576万7千円
設計委託費:5189万6千円
【事業概要】
指定避難所としている学校等の体育館において、使用する空間の必要換気量を上回る換気量を有する有圧換気扇を設置。
【対象施設】
①学校体育館(62施設)
・小学校(40校:設置済みの高木北小学校を除く39校+西宮浜義務教育学校(小))
・中学校(20校:西宮浜義務教育学校(中)を含む)
・高等学校(2校)
②市立体育館(3施設)
・換気設備未設置の鳴尾体育館、今津体育館、中央体育館分館
③船坂里山学校(1施設)
県には工事請負費の半分を補助して頂きますが、設計は工事に必要な経費とは認められないそうです。また、空調設備を有する上甲子園小学校と今年度に冷暖房設備を設置する中学校20校は補助の対象外とのことで、なぜ、県が空調設備を有する体育館への換気設備が不要と判断したのかは分かりません。
確かに、空調設備を稼働すると体育館内の空気が対流し、窓を開けた時、換気がしやすくなるイメージはありますが、空調設備自体に換気機能はないと聞いていますので、避難所の換気が重要と県が判断したのであれば、空調設備の有無に関わらず補助対象とするべき政策であると私は思います。
そして、市としては、来年度以降の熱中症対策やスポーツクラブ21で使用する競技のことなどを総合的に考えると、小学校の体育館にも換気扇のみではなく、空調設備を整備するべきと私は考えます。
とはいえ、市が小学校体育館への空調設備を設置する方針を示していない以上、換気設備が不可欠ですので、予算に反対することはありません。
文化施設における感染予防対策事業(新規)
【補正予算総額】
2650万円(財源:市の一般財源)
【事業スケジュール】
令和2年4月1日から令和3年3月31日まで
(1)市民ホールにおける感染予防対策支援事業
【対象者】
市民ホール指定管理者
【対象経費】
指定管理者が実施した感染予防対策に係る経費
【事業費】
1440万円(財源:全額市の一般財源)
(2)市立ギャラリーにおける感染予防対策支援事業
【対象者】
市立ギャラリー指定管理者
【対象経費】
指定管理者が実施した感染予防対策に係る経費
【事業費】
210万円(財源:全額市の一般財源)
(3)文化施設における感染予防対策事業
【対象施設】
西宮市民会館、西宮市甲東ホール
【対象経費】
・市民会館:体温検知カメラ200万円
・甲東ホール:客席更新費 700万円
【事業費】
900万円(財源:全額市の一般財源)
(4)民間文化施設における感染予防対策支援事業
【対象施設】
市内民間文化施設
【対象経費】
市内民間文化施設が実施した感染予防対策にかかる経費
【事業費】
100万円(財源:全額市の一般財源)
体温検知カメラの導入が予算化されています。補正予算第2号(←クリックするとコラム「市立学校に赤外線サーモグラフィカメラを設置へ」が開きます。)では、学校に各校1台ずつ赤外線サーモグラフィーカメラを導入しましたが、その時の予算は、1台あたり12万780円でした。今回は200万円です。学校に導入されたカメラの使用については、学校によって取り扱いが異なっているようですが、聞くところによると、某学校ではこれまでに一度だけ導入された機器を使って測ったことがあるそうで、画面も見せてもらったということですから、学習の一環として計測した様子です。最近は機器は見ていないそうです。購入金額から見ても空港に設置されているような高度なものではないことから、実用性に欠け、費用対効果は低かったと言わざるを得ないと考えています。
先日のコラムでも掲載しましたが、新型コロナウイルス対策のための備品の購入は慎重になるべきです。
学校の赤外線サーモグラフィーカメラは、学校等公共施設に設置された太陽光発電システムと同じく、学習用の扱いになっていると推察され、学校では、導入された機器をできるだけに無駄にしないよう工夫されている様子です。市民会館で導入されるカメラは、空港に設置されているような、人が通っただけで体温異常が検知できる高度なものでなければ、設置する意味がありません。民生常任委員会での審査において、予算の慎重な執行を求める意見がありました。
新型コロナウイルス感染防止のためのレバー式専用水栓設置事業(新規)
【対象施設】
小学校、中学校、高等学校、幼稚園
【事業費】
799万2千円(財源:全額市の一般財源)
【事業スケジュール】
令和3年3月31日まで。
なるお文化ホール(西宮東高校ホール)における感染予防対策事業(新規)
【補正予算額】
190万円(財源:全額市の一般財源)
(内訳)
・ホール座席・ひじ掛け・出入口ドアノブ等抗菌加工 :130万円
・体温感知カメラ(サーモグラフィカメラ):60万円
【スケジュール】
補正予算成立後、抗菌加工業務を業者に委託し、体温感知カメラを備品として購入する。
公民館における新型コロナウイルス感染症対策事業(新規)
【補正予算額】
207万9千円(財源:全額市の一般財源)
【目的・効果】
①消毒や飛沫対策などの感染拡大防止策を取り、利用者が安心して公民館で活動できるようにする。
②臨時休館や感染拡大防止のための活動自粛等により発生した公民館使用料の還付について、来館することなく還付金の請求手続きを行えるようにし、外出や人と人との接触の機会を減少させる。
【対象事業】
①感染拡大防止のための物品の購入(消毒液消耗品)
②郵送による還付案内・手続きにかかる郵便料
【実施期間】
令和2年5月~令和3年3月31日
公共施設の維持管理には多額の費用を要することを実感するとともに、公共施設マネジメントの実効性を追及しなければならないと感じています。なお、市民館の対応については、補正予算第7号では計上されていませんでしたので、調査します。
補正予算(第7号)による事業は、まだまだありますので、次のコラムに続きます。