令和2年度補正予算(第6号)③-PCR検査体制の強化と障害者支援

2020年8月25日[カテゴリ:医療・福祉

令和2年度補正予算(第6号)については、今回が最終回となります。

(仮称)地域外来・検査センターの開設

 5月に可決した令和2年度補正予算(第4号)(←クリックすると6月6日のコラムが開きます。)では、(仮称)地域外来・検査センターの工事費用が計上され、可決していました。そして、6月の令和2年度補正予算(第6号)で、そのセンターを動かして頂くための西宮市医師会への委託料が計上され、可決しました。
 そして、新聞報道にありました通り、先週17日(月)から稼働しています。このセンターでは検体を採取するだけであり、検査をする場所はこれまでと同じく別の場所となります。ですので、帰国者接触者外来と同様、設置場所は公表されてません。受検するためには、市内の診療所を受診する必要があります。

市の説明の抜粋
 これまで西宮市では、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、帰国者・接触者外来を担う医療機関数の拡大に努め、その数を当初より増加させてきましたが、今般、厚生労働省が新型コロナウイルス感染症の相談・受診の目安を改訂したことに伴い、帰国者・接触者相談センターをはじめ、各医療機関への相談・受診を希望する方が大幅に増加する見込みとなっています。
 また、現状では、陽性患者の発生数は比較的落ち着いていますが、今後、感染者数が増加した場合に、感染爆発を未然に防ぐ対応能力の向上が求められています。
 このため、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、既存の帰国者・接触者相談センター及び帰国者・接触者外来等への負担の軽減を図るとともに、更なる検査体制の強化を確立するため、西宮市医師会と連携・協力して、「(仮称)地域外来・検査センター」を開設します。
【補正予算額】
 5290万1千円(財源:国1/2、市1/2)
(内訳)
 医師会への委託料:4881万1千円
 移動式PCR検査所リース料:409万円

 これまでは、かかりつけ医を受診して感染が疑われても、その場では検体の採取ができず、帰国者接触者相談センター(保健所)に連絡してから、帰国者接触者外来がある市内の医療機関を受診して必要性が認められなければ検査をしてもらえませんでした。しかし、この新たなセンターを設置することで、体調を崩して、いつものかかりつけ医がいる診療所を受診して、検査の必要性が認められれば、直接、地域外来・検査センターに行って検体を採取してもらえることになります。

地域外来・検査センター
(1)施設型
〇運営主体
 西宮市医師会及び市内の診療所(※患者の診察及び検査実施の判断、検査結果のお知らせは診療所で実施。)
〇開設予定時期
 令和2年7月下旬⇒8月17日運用開始となりました。
〇検体採取時間
 月曜日~金曜日(祝日除く) 13時30分~15時30分
 ※感染拡大期は土曜日も実施、患者数に応じて採取時間を調整
〇検体採取件数
 1日最大24件

(2)移動型
車両一体型の移動型PCR 検査所を検査が必要な患者等(施設型の検査所までの移動が困難な場合)が発生した場合に、ワゴンタイプの乗用車1台分のスペースがある場所に派遣し、検体採取を実施。

↑検体採取のために外出や移動が困難な方や、介護施設等でクラスターが発生した際に訪問して検体を採取するために、近日中に移動型の検体採取も始まります。

保健所における新型コロナウイルス検査実施体制の整備

 西宮市にはPCR検査を行う機器がありませんでしたが、検査機器を購入し、西宮市でも検体採取のみではなく検査が可能となります。

市の説明の抜粋
 現在西宮市では、新型コロナウイルス感染症に係るPCR 検査を、兵庫県立健康科学研究所及び民間検査機関への委託により実施しています。現状においては、陽性患者の発生数は比較的落ち着いているところですが、今後感染者数が増加した場合に備えて、検査受入体制の拡充が求められています。そのため当保健所の検査室においても一定数の検査を実施することが必要であると考えられることから、検査室の改修や必要機器の購入等により施設の整備を行い、市民の安全、安心を確保するため、新型コロナウイルスの検査体制の構築を目指します。
【補正予算額】
 2062万2千円(財源:消耗品費・医薬材料費・廃棄物処理委託費は、国1/2、市1/2、備品購入費は、全額県の負担)
(内訳)
・消耗品費:282万9千円
・医薬材料費:550万8千円
・廃棄物処理委託費:25万5千円
・工事請負費:300万円
・備品購入費(リアルタイムPCR 及びPCR 検査用機器購入費):901万円

 8月25日の聞き取り調査では、現在試運転中で、近日中に稼働できるそうです。そして、補正予算の審査時には、1日20検体の検査を目標に稼働していきたいと説明されています。
 市内でのPCR検査の受検環境は、着実に強化されています。現在は、少し落ち着きつつありますが、今後、インフルエンザとの同時流行や併発も想定しつつ、具体的な運用行程について備えておかなければなりません。

生産活動活性化支援事業

市の説明の抜粋
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、障害のある人が働く就労継続支援事業所の生産活動も大きな影響を受けています。このため、就労継続支援事業所の生産活動の再起に向けて必要となる費用について支援し、障害のある人の働く場及び賃金・工賃の確保を図ります。これらの対策に必要となる事業費は令和2年度予算を増額補正して対応します。
【補正予算額】
 1750万円(財源:全額国の負担)
制度の概要
 直近の生産活動収入が相当程度減収している就労継続支援事業所に対して、次の費用について支援を行う。
・生産活動収入の減収下においても生産活動を存続させるために必要となる固定経費等の支出に要する費用
・生産活動の再稼働等に係る設備整備のメンテナンス等に要する費用
・通信販売、宅配、ホームページ製作等新たな販路拡大等に要する費用
・新たな生産活動への転換等に要する費用
・在庫調整等に要する費用や風評被害への対応等に係る広報活動に要する費用 等
【補助対象】
 西宮市内の就労継続支援事業所(A型・B型)
【補助額】
 1事業所当たり50万円を上限
 市内就労継続支援事業所数58か所(A型:18か所、B型:40か所)のうち、直近の生産活動収入が相当程度減収している事業所を全体の6割と想定すると、58×0.6=34.8≒35施設が対象となる。

 5月に可決した令和2年度補正予算(第4号)(←クリックすると5月31日のコラムが開きます。)では、市の財源で対応され、就労継続支援施設B型の事業所のみを対象とし、補助の上限も1事業所あたり10万円が上限となっていました。
 5月22日の健康福祉常任委員会で補正予算第4号を審査した際には、介護施設に対する支援と比較しても、早い対応であったことを評価していました。
 そして今回は、国もその必要性を認め、対象となる経費の種類が広がり、1事業所あたりの補助上限金額が50万円(5月の分は10万円でした)となっています。また、A型の事業所も対象となっています。5月の補正予算の時は、対象事業所のおよそ8割が対象となると見込んで予算措置されていることを確認していましたが、今回は6割の施設が対象となると想定されています。しかし、対象となる条件が厳しく、補助を受けられる事業所が限定的となる可能性があります。
引き続き、実績と効果を見ていく必要があります。

次回からは、8月7日に可決した補正予算(第7号)の掲載を始めます。

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