行政経営改革の実現性③ー参画と協働によるまちづくり

2005年7月21日[カテゴリ:市役所改革, 質問

前回のコラムに続き、行政経営改革の実現性に関する質問を掲載します。

行政経営改革基本計画には、

Ⅱ.参画と協働によるまちづくりの推進
2.参画と協働の手法の確立
(1)参画と協働によるまちづくりに関する基本指針の条例化

の項目の中で、

①(仮称)市民参画条例の制定

が掲げられ、

 「本市のこれからのまちづくりを進めていくうえで基本的な指針となる、市民協働によるまちづくりに関する理念、市民・市の役割、取組の基本的事項について条例化を検討する。」

と説明されています。

 平成16年6月議会では、行政経営改革基本計画に盛り込まれている「参画と協働によるまちづくりに関する基本指針の条例化」について取り上げて議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成16年6月議会一般質問

2.行政経営改革について
ウ)参画と協働によるまちづくりに関する基本指針の条例化
■質問の背景

 最近、条例の名称は、まちづくり基本条例、住民自治基本条例など、様々ですが、近隣では宝塚市が策定しており、自治体の根幹を成す基本条例を策定する自治体が最近増えてきていることから、本市でも、行政経営改革を行うにあたって、条例化も視野に入れた検討をしていくということだと思います。

 条例そのものについては、平成19年度から条例化を検討する予定ということですので、まだ具体的な作業には入っていないと思います。今後、現在250以上も条例があるなかで、本市の行政運営の基本指針となる条例をつくることが必要になってくるのだと思います。

 実際に、埼玉県志木市では、252名の無償ボランティアで構成され、第2の市役所として位置づけられた「市民委員会」を結成し、市民と議会と行政の協働で志木市民との協働による「市政運営基本条例」を制定しています。そして、行政パートナー制度という市民の有償ボランティアを活用する制度を義務づけ、市役所内の842の業務において、この市民有償ボランティアを導入する計画をされているなど、徹底した市民参画を実現している例もあります。

 こうなってくると、選挙で市民に選んで頂いた私たち議員の果たすべき役割も、もう一度考え直さないといけないと感じたわけですが、今回の質問は、条例そのものについてではなくて、市が考える市民参画、真の市民参画とは一体何なのかという漠然としたところですが、お伺いしたいと思います。

 これまで市民とともに進めるまちづくりの実践として、「まちかどトークにしのみや事業」などで、市長みずからが現場に出向き調査されている様子で、こういった姿勢は評価できるものと考えております。ただ、実際には自治会長や団体役員のみが参加の対象となっており、一部の方の御意見、要望を聞いて回っているだけではないかという、よくない御意見を伺ったりもします。

 市民の要望を公式の場で伺い、それらを事業化するのであれば、せめて、どういった場で、どのような要望が出ているのかといった情報は公開すべきであると考えますし、こうした事業自体がまだ市民に浸透していないように感じます。

■質問
 まず、(参画と協働について)浸透していないことをどのようにお感じか、実際に現場に出ている市長の御見解を伺いたいと思います。
 また、今年度の事業の中で、様々な分野で計画が策定され、その際には、市民の参画により御意見を伺いながら計画策定に取り組むことになっているのですが、意見聴取の際にどの範囲まで募集をする予定なのでしょうか、そしてまた、その告知の手段はどのようにするお考えなのかお伺いします。

■市長の回答
 私は、市長就任以来、市民とともにまちづくりを進めることを市政運営の第一の柱として掲げまして、「まちかど三つの出会い」を初めと致しまして、様々な市民参画の事業に取り組んできたところであります。
 これは、まちづくりの主役は市民であり、市民と行政がともに力を合わせてこそ、時代の変化や市民ニーズに対応した質の高いまちづくりが実現できると考えているからであります。中でも、「まちかどトークにしのみや事業」は、私みずからが市民の皆様の生の声をお聞きして市政に反映することができるという意味で、非常に有意義なものであると考えております。
 そこで、これらの事業が市民全体に浸透していないのではないかという御指摘でございますが、これらの事業には、新しい取り組みであります「西宮e-夢電子会議」や「まちかどワークにしのみや」などを含めまして、旧来から市政運営に御尽力をいただいている各種団体の役員の方々のみならず、それ以外の方々にも幅広く参加していただいているところであります。今後は、これらの取り組みをさらに広げ、より多くの市民に市政に参画していただけるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、計画策定にあたっての意見聴取の範囲と告知の手段についてでございます。
 現在、策定作業を行っております環境計画あるいは地域福祉計画では、素案の策定段階において意見募集や市民会議を実施するなど、市民の皆様の意見を素案に反映する場を設けているところであります。
 その上で、平成15年度に策定したパブリックコメント手続の要綱に従い、市政ニュースやホームページを用いて告知し、市民の皆様から広く意見をお聞きした上で計画を策定することとなります。今後は、これらの意見聴取等の参画の手続を順次制度化し、市民とともにまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 市民の参画と協働については、非常に重要になってくると思いますが、まだまだ市民に浸透しているとは言えません。また、市議会議員選挙の投票率も低下の一途をたどっている状況を鑑みると、市民の市政に対する関心は決して高くないと感じています。
 こうした状況下で、一部の市民、偏よった意見によって、市政運営が進められることのないよう、しっかりと制度設計をしていかなくてはならないと感じています。

 今後も、参画と協働のあり方については、議論していかなければならないと考えています。

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