行政経営改革の実現性②ーPFI手法

2005年7月18日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

前回のコラムに続き、行政経営改革の実現性に関する質問を掲載します。

行政経営改革基本計画には、

Ⅰ、行政経営型マネジメントの確立
1.経営資源の有効活用
(4)民間活用・ノウハウの活用

の項目の中で、

②PFI等の新事業手法に関する導入指針

が掲げられ、

「PFI事業、ESCO事業等の新事業手法について、全庁的な取り組みとして推進するため、各手法の長所・短所・効果的な導入事例など、各事業において導入を検討するための指針を策定する。」

と説明されています。

なお、PFI手法については、こちらのコラム(←クリックするとコラム「PFI手法の適用」が開きます。)をご参照ください。

また、ESCO事業とは、

「施設の改修に際し、民間資金を活用して省エネルギー設備を導入する事業手法をいう。建物を省エネルギー対応改修し、節約できた水道光熱費の一部を工事費用の返済にあて、残りを建物の簡易者と事業者の利益にあてる仕組みとしている。」

と説明されています。

 平成16年6月議会一般質問では、PFI手法について取り上げ、具体的な検討事例については、東部総合処理センター絵の適用の検討状況を質問するとともに、一般論としての行政経営改革基本計画に盛り込まれた「PFI手法の導入指針」について質問しました。

====本会議場での議論の概要====

平成16年6月議会一般質問

2.行政経営改革について
イ)PFI手法
■質問の背景1

 東部総合処理センターの項目でも質問しましたが、これまで議会側からはさまざまな事業への適用可能性として提案も出てきています。しかし、平成13年の議会の答弁と前回の議会での御答弁では、PFI手法そのものについてはそれほど差はないように感じるわけです。つまり、漠然とした調査研究にとどまっているということです。

■質問1
 東部総合処理センターの再整備以外に、本市において今後どのような事業に関して適用可能とお考えでしょうか。

■質問1に対する市の回答
 PFI適用事業につきましては、他の自治体での適用事例を見ますと、かなりの規模や機能を必要とする施設、あるいは極めて多数の利用が見込まれる施設の新設とか改築などを対象にPFI事業を行っているところです。本市の場合、さきの東部総合処理センターの整備事業を除いては、当面そのような施設整備などの事業の予定はございません。
 したがいまして、今後、本市におきまして具体的にどのような事業に適用が可能であるかという点につきまして、PFIの導入を検討するための指針を策定致しました上で、今後の事業展開の状況を見ながら検討を進めてまいりたいと考えております。

■質問の背景2
 全庁的にPFI手法を周知するためのガイドラインでなくてはならないと思います。それと同時に、PFI手法は、これまでの行政の常識をかなり超えるもので、実際にこんな事業にまで適用できるのか、といった事例も出てきています。本市において、例えば学校を改築するにあたってPFI手法の適用を検討しようといった大胆な発想はお持ちなのでしょうか。
 「まさかこんな事業には適用できないだろう」と、これまでの常識では考えられなかった事業についても検討するといった意識改革を促さなければ、真の行政経営改革の実現は困難であると思います。
 そこで、ガイドラインには適用できる範囲を示すのは当然のこととして、実際の適用例や補助金に関する関係法令をまとめたものを掲載しておくべきであると思います。

■質問2
 どのようなガイドラインを策定し、どのように全庁的に広め、実現するお考えかお答えください。
 
■質問2に対する市の回答
 どのようなガイドラインを策定し、どのように全庁的に広め、実現するかということでございますが、その内容と致しましては、PFI事業に該当するか否かの判断基準、検討に際しての留意事項、庁内での検討体制などを考えております。このようなガイドラインを踏まえまして、個別の事業について検討を行っていきたいと考えております。

====ここまでが本会議場での議論の概要====
 
 現在PFI手法の適用を検討できそうな施設整備の予定は、西宮市においては、東部総合処理センター以外には当面ないことを市は明言しました。それでは、一体何のために、平成20年度までの行政経営改革基本計画に盛り込む必要があったのか分かりません。東部総合処理センターの再整備への適用だけを考えて基本計画に盛り込んだのであれば、行政経営改革は、あまりにも場当たり的であり、真の改革は期待できません。

 民間の発想によって、公共施設をよりお得に整備できると言われているPFI手法については、財政改革の観点から、本市にとって、必ず必要とされる事業手法であると考えています。ですので、この事業手法を、市民にとって、より有効に活用できるように、今後も議論を続ける必要があります。

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