公共施設における器物破損の対応ー令和2年6月議会一般質問

2020年10月25日[カテゴリ:地域コミュニティ, 質問

 今年の2月に市民館の利用者が、活動を終えて急いで帰ろうとした際に、自動ドアの開く部分を間違えて、体を止めることができずに頭から突っ込んでガラスを大破させてしまったとの連絡が入りました。

 
地域の方に提供して頂いた写真

 ↑写真では、大破したガラスの前に傘立てが置いてありますが、事故が発生するまでは置いていませんでした。建物の内部から撮影して頂いた写真ですが、向かって左手に会議室があり、靴を履き替える場所は手前になります。市民館をあまり利用したことがない方であれば間違える可能性はありました。


 
 そして、西宮市地区市民館条例では、第9条(損害の賠償)で、「使用者は、その使用に際し施設を破損し、またはその付属設備を紛失もしくは破損した場合、それが不可抗力による場合のほか、原形に復旧し、または、市長が相当と認める額の損害の賠償をしなければならない。」と定められています。ですので、修理費の全額をガラスを割った方が弁償することとなります。

 一つ間違えば命にもかかわるような大けがをしていた可能性もあるような事故でしたが、幸い軽症であったと聞いています。

 集会施設や運動施設を安心して使っていただくために、故意ではない備品の破損や今回のような事故が発生した場合に、原因者の負担を軽減できるような保険に加入することはできないのか、令和2年6月議会一般質問で取り上げて議論しました。

====本会議場での議論の概要====

令和2年6月議会一般質問

4.公共施設における器物破損の弁償について
■質問の背景

 本年2月、安井市民館において、利用者が出入口のガラスに衝突してガラスを全損するという事故が発生しました。
出入口は全面透明ガラスとなっておりまして、写真を示しましたけれども、高齢の施設利用者が帰る際に自動扉が開くガラス板の位置を間違えて、とっさに体を止めることができずに、顔面から衝突したと伺っております。幸い軽症であったと聞いておりますが、あわや大けが、最悪の場合命に関わるような事故となる事例でした。

 にもかかわらず、原状回復に要した費用は全額破損した利用者が負担することになりました。当該ガラスは建築物の壁として利用しており、人が衝突した程度で割れるような強度のまま放置していた市の管理にも問題があると考えられます。また、高齢者1人の体がぶつかった程度で割れることが想定されていたのであれば、事故の注意を促す対策をもっと講じておくべきであったとも言えます。今回の原状回復に要した費用については、市が全額もしくは一定割合を負担すべき事案であったと私は考えますので、いま一度市の対応については再考を求めておきます。

■質問1
 こうした事故の事例を庁内で共有し、市民の安全と再発防止の観点から、市内の全施設において、事故が発生した場合、同様の事故が他の施設でも発生する箇所がないか、その都度総点検する仕組みを構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。

■質問1に対する市の回答
 まず、事故事例の共有による再発防止に関してでございますが、市民集会施設などの公共施設において利用者が安全・安心に利用できるよう、施設の維持保全を行うことは、施設管理を行う上で重要な取組となります。事故の発生を防止していくためには、各施設管理者において施設の点検を行うとともに、必要な修繕・改修を行うことや、事故が発生した場合に適切な措置や対応を図ることが基本となりますが、一方で、事故の事例や対応といった情報につきましては、各施設管理者において管理され、全庁的に共有されていないというのが現状でございます。

 議員の御指摘のとおり、施設に起因する事故の事例を庁内で共有することは、各施設の潜在的なリスクへの気づきや改善につながることが考えられますので、老朽化が進む公共施設の事故を防いでいくためにも、各所管部署間で円滑に情報や課題を共有し、さらに、未然に防ぐための対策を各所管部署に促すような仕組みづくりについて検討してまいりたいと考えております。

■質問2
 市民が利用する公共施設をより多くの方に安心して利用してもらうために、故意ではなく利用者の不注意による器物破損事故があった場合、他市で見られる市民活動補償制度のように、施設の原状回復に要する費用負担の軽減を図る制度を創設すべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問2に対する市の回答
 公共施設における器物破損等があった場合、一般的には火災保険などで補償されますが、本市が加入しております全国市有物件災害共済会の建物総合損害共済では、今回のように原因者が特定されている案件につきましては原因者から賠償を受けることになっておりまして、故意ではなく不注意であったことを理由に共済金が支払われるものではございません。また、本制度は地方自治法第263条の2に規定されたもので、低廉な分担金により、市の財政負担、つまり市民の税による負担の軽減を図るとともに、万が一の災害の際には迅速かつ適正に災害共済金が交付されるものであり、大変合理的な制度となっております。

 新たな補償制度の創設にあたりましては、事故の発生件数や事故の規模、施設の利用状況、費用負担の在り方など、整理すべき課題が多いことから、今後、他の自治体における市民活動補償制度なども参考にしながら研究してまいります。

■意見・要望
 まず、今回事例として挙げました原状回復に要した費用は約11万円と伺ってます。これは、市のほうも一定割合を負担すべき事案であったと私は今でも考えています。市の対応について再考をお願いしておきたいと改めて要望しておきます。

 そして、今日は今後のことを考えて質問をさせていただきました。本市では、自治会等公益活動補償制度がございます。こちらは、他の市で実施している市民活動補償制度と比較すると、補償を受けられる市民の対象、また、補償される損害の内容、そしてまた、活動内容も狭くて限定的と言わざるを得ません。
 御答弁にありました、現在加入している全国市有物件共済会も有効であると私は評価をしております。ただ、こちらの共済会のほうは、市の財政負担の軽減、市民にとっては間接的な負担の軽減にはつながっているとは思うのですが、施設や第三者の財産を破損してしまった個人にとっての直接的な負担軽減はできません。

 ですので、注意をしていても、今回のような思いがけない事故、こうした事故は恐らく安井市民館では初めてだったと思うのですが、そうした事故は起こるものでございます。鎌倉市のものを見せていただいたのですが、大変幅広く補償されていますので、御答弁にありましたとおり、そうした他市の市民活動補償制度の内容をしっかりと調査していただいて、安心して施設を利用していただける制度を構築していただけますように、今日は要望にとどめておきたいと思います。

 また機会がありましたら問いたいと思いますので、御対応のほど、よろしくお願い致します。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 今後は、市民が安心して施設を利用できるよう、市民活動支援制度について、さらに他市の事例を調査してまいります。

記事一覧