福祉学習の推進をー平成17年9月議会一般質問

2005年12月10日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

 平成15年12月に西宮市は「環境学習都市」を宣言しました。

 市民一人一人が環境について学習し、地球環境を持続可能にするために行動をしていくことは非常に重要です。
 同様に、都市宣言は必要ないとは思いますが、これから少子高齢化社会に突入するにあたって、市民が福祉やこれから迎える社会について学習し、市民一人一人が対応していく必要性を感じています。

 また、西宮市は市民憲章を定め、その3で「西宮を心のかよった福祉のまちにしましょう」とうたっています。

 そこで、平成17年9月議会一般質問において、少子高齢化対策の項目の中で、福祉学習について取り上げ、市と議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成17年9月議会一般質問

1.少子高齢化対策について
ア)福祉学習
■質問の背景(田中まさたけ)

 本市では、環境学習都市宣言を行い、その中で、「環境学習とは、私たちのくらしが自然にどう支えられ、自然をどう利用してきたかを考え、環境に対する理解を深め、自然・歴史や文化・産業・伝統といった地域資源を活用しながら、地域や地球環境との望ましい関係を築いていくために学びあうことです。」としまして、持続可能なまちづくりに向けた環境学習政策を展開されています。

 また、本市では、扶助費が増大し、まだまだ市民や議会からの様々な要望に対応し切れていない状況で、今後税金のみを頼って対応しようと考えていては、制度が持続できないのは明確です。福祉の定義は、「大辞泉」によると、「公的配慮によって社会の成員が等しく受けることのできる安定した生活環境」となっています。幅広いのですが、そうしたことを子供、大人と世代を問わず、福祉に関する体験を含めた具体的な学習の機会を設けることで理解を深め、知識を共有し、意識を高め、協働を促進する環境をつくっていかなくてはならないのではないかという点で、福祉も環境と似たところがあると感じましたので、最初に環境学習都市宣言における環境学習の定義を申し上げました。

 学校教育の中で、総合学習やトライやる・ウィーク等で、学校ごとにばらばらに独自の福祉に関する教育も行っていることとは思いますが、国語、算数、数学、英語、理科、社会といった教科と違って教育委員会の中で体系化されていないこともあり、現代の社会に対する意識づけが不十分であったことに現代社会の問題の根本があると言っても過言ではないと私は感じています。
 
 今回は、少子高齢化対策も福祉の一環ととらえ、この問題は避けて通れないという意味で、環境学習と並行して総合的な福祉学習、これを西宮発信で取り組まれてはいかがかということを提案したいと思います。

 今さら福祉学習かとお感じの方もいらっしゃろうかとは思います。というのも、本市では、既に、社会教育や福祉の現場での体験等、個別で事業を展開されています。しかし、具体的に行っている社会教育と体験事業が存在しているからこそ、それらを基礎として教育とも結びつけ、福祉学習事業として体系化して普及していくことが意識の高揚につながり、今行っている事業をより実のあるものにできるのではないかと考えています。

■質問(田中まさたけ)
 このことを踏まえて、福祉学習に対する見解を現在の取り組みを踏まえてお聞かせください。

■市長の回答
 我が国は、世界でも例を見ない急速な高齢化と少子化が進行する中で、これらに対する早急な対応が求められております。一方、本市では、昨年12月に人口が46万人を突破するなど人口増が続いておりますし、特に25歳から39歳までの若い子育て世代の増加が比較的多いという現状でございます。
 このような状況を踏まえつつ、私は、安心して暮らせる心通うまちの実現を目指し、子育て支援対策など福祉分野を初めとする様々な施策に取り組んでいるところでございます。
 
 本市における福祉学習の取り組みと致しましては、次世代育成支援の観点から、中学生、高校生が保育所の子供たちと触れ合うふれあい育児体験、また、市民との協働で進める子育て支援と致しまして、児童館、児童センター、保育所などで3世代の交流を図る地域交流事業を実施しており、昨年度の地域交流事業で、地域の高齢者の方々にも講師を務めていただきまして、約4,000人の参加がございました。
 さらに、公民館では、親子触れ合いの場として幼児教育講座等も行ってまいっております。西宮市社会福祉協議会におきましても、より身近に福祉を感じる機会として福祉学習を推進しており、多様な体験や学びを通しまして、地域の福祉課題を自分のこととしてとらえたり、住民同士のつながりをつくる取り組みを行っております。
 
 子育てや介護など、今や福祉の問題は特定の人だけのものではなく、すべての人々にとってかかわりの深いものとなってまいっております。今後、福祉を取り巻く社会環境の変化に適切に対応して、学校教育における道徳や総合的な学習とともに、現在行っております福祉学習をすべての世代を通じて福祉に対する関心と理解を深めることができるように取り組みを進めてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
こちら市長から御答弁を頂きました。取り組んでまいりますということなのですが、現在も取り組んでいるのをさらに連携して取り組んでいくということとされているのですが、壇上でも指摘しましたが、現代社会に対する意識づけを教育委員会がもう少し体系化して教育していける、こういったことができるといいとは思うのですが、なかなかそれが不足しているのではないかと思います。
 もちろん他の教科がある中ですので、これもとなると厳しいのかもしれないのですが、もし厳しいとすれば、福祉の担当でも結構なんですけれども、福祉のことと教育のことを連携させて何とか市民の皆さんに普及していくべきではないかということで今回提案させて頂きました。
 その際に、環境学習も、ジャンルが多少違うだけで発想は同じだと思っています。ですので、今回、福祉学習という標語を使って取り組んでみてはということで提案をしました。こうした取り組みを一度検討していただいて、1人でも多くの市民の皆さんに意識してもらえるように努力してください。

====ここまでが、本会議場での議論の概要====

 市も福祉学習を実施しているとのことですが、あまり実感が湧いていませんし、現在実施している事業の目的や効果を検証しているようには思えません。「一応やっている」という感じがします。

 今後、さらに調査を進めていきたいと思います。

 少子高齢化に関する質問は、次のコラムに続きます。

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