ボランティア登録制度の創設をー平成17年9月議会一般質問

2006年2月5日[カテゴリ:参画と協働, 質問

 前回コラムでは、「市民との協働について」の中で、条例の実効性を担保するにあたっても、市民、地域住民のボランティアの力、協働が欠かせないことを明らかにしました。
 
 条例の実効性を担保するだけではなく、様々な課題を解消するためには、市役所の力だけでは限界があり、市民との協働は今後ますます重要となってくると思っています。

 そこで、平成17年9月議会一般質問では、市民との協働の取組みを強化する観点から、総合ボランティアコーディネートの仕組み及びボランティアポイント制度の創設を提案し、市の見解を問いました。

====本会議場での議論の概要====

平成17年9月議会一般質問

2.市民との協働について
イ)ボランティア登録制度の創設
■質問の背景

 この豊かになった現代社会において、価値観の多様化に伴い、市民のニーズも多様化し、これからのこの社会をこれから維持する、ましてや新しいニーズにこたえていくためには、協働の必要性は高まる一方です。
 そして、市民との協働を進める上で、地域の既存団体やNPOとの連携も必要でしょう。しかし、教育委員会の学校サポート事業「ささえ」とか、社会福祉協議会のボランティア育成事業など、個別の制度で地域や事業ごとに個々にボランティアを募って事業を進めている本市の様子を見ていると、個人レベルで市に協力をしてもいいとお考えの方の活力をまだまだ生かせていないのではないかなと感じるわけです。
 そうした方々の活力を最大限に生かすために、総合ボランティア登録制度を創設し、人を必要としている事業や地域の課題に対してボランティアの方をコーディネートしていく体制を整備し、機能させていく必要性があると私は思います。
 
 また、仕事の指定の仕方にまた課題がありますが、無償で労働を提供していただいた方へのメリットとして、やりがいだけではなくて、わずかですが、公共料金や税金にかえられるようなボランティアポイントを付与するようなことも検討すれば、市に貢献したというやりがいをより感じていただけるようにも感じます。

■質問(田中まさたけ)
 現在ボランティアを募って行っている事業数と、総合ボランティア登録制度、ボランティアポイントのような目に見えるメリットに対する御見解をお聞かせください。

■市の回答
 まず、ボランティアを募っている事業数についてでございますが、現在、市の関係部局や外郭団体等の場におきまして、多くの市民の皆様が福祉団体やNPOなどの公益市民団体等の一員として、あるいは個人で市のさまざまな業務にボランティアとして参加し、活動いただいているところでございます。市を窓口にしてのボランティアの登録方法といたしましては、各事業ごとにボランティアを募る方法やボランティア自身が自主的に市の福祉施設などに登録をするなど、さまざまな方法がございます。

 個人レベルで市に協力をしたいとお考えの方が協力対象の関係部局に登録しているケースは、総合企画局、健康福祉局、環境局、教育委員会を中心に約20事業ございます。しかし、これら事業以外にも、健康福祉局では、各施設ごとに様々なボランティアが関わっており、その内容も1回限りのものから長期に継続するものまで多種多様で、市全体のあらゆる施設も含めてすべてを正確に把握するのは難しい状況でございます。

 次に、総合ボランティア登録制度の創設についてお答えいたします。
 現在、市民が個人としてボランティアの登録を希望される場合は、市のそれぞれの部局で各事業に応じ登録の受付けをしており、活動内容が多岐にわたることから、登録や運営方法などは事業ごとに各部局でも異なっております。また、ボランティア個人が希望する業務の内容は、実際に現場を見るか、直接担当者と話をすることが必要である点、ボランティアの登録とコーディネートが同時に総合的にできる窓口の設置、運用には、整理すべき課題が多々ございます。
 しかし、ボランティアのさまざまな情報を一括収集し、希望者に情報を紹介するような案内所的な窓口を設置することは有効であると考えております。このような窓口の設置については、その運用にボランティアの協力を得るなどの方法も取り入れたシステムを今後検討してまいりたいと考えております。

 次に、ボランティアに従事する時間を点数評価し、得たポイントを公共料金や税金にかえることができるボランティアポイント制につきましては、ボランティアはあくまで自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する行為であり、活動をゆがめるという意見がある一方、何らかの有償性の付加により活動を奨励し、自主性をはぐくむべきとの御意見もございます。
 このように、ボランティアのあり方の根幹にかかわるものでございまして、今後ともあらゆる角度から研究する必要があると考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 条例をどうやって監視していくのか、という話の中で、ボランティア制度を今回提案させていただいたのですが、各事業でボランティアを募っている方がいいという事業もあるでしょう。
 しかし、市民にとってみたら、「市に対して協力したい」という人が、「どこに行ったらいいのか?」というのがよく分からないという状況がまだあると思っています。
 それと、もう一つは、各事業を個別でやっていく中で、あの局からもこの局からも結局自治会の人にお願いするとか、そういった特定の方に負担がかかっているのではないかと思います。ですので、仕事とボランティアの方をコーディネートするような役割を市が担ったらどうかということで、この制度の創設を提案しましたので、検討して頂きたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 ボランティアポイントの導入については、市は消極的です。

 そして、ボランティアをして頂いている方には、見返りを求める気持ちがないことは分かっています。
 しかし、「ボランティアは好きでやっているのだから放っておいていい」ということには当然なりません。

 ですので、今後も市民のためにボランティアで関わって頂ける方を持続的に確保するために、報酬という意味合いではなく、せめて、市からの御礼の気持ちを表す方法がないかと思い、ポイントを付与する制度の提案をしました。
 ポイントを使わなくてもいいわけですし、付与されたポイントによって、市から贈られる感謝状や各種賞の授与の判断材料にしてもいいかと思っています。

 市が進めようとしている「市民の参画と協働」の取組みを進めるためには、欠かせない制度となると考えています。

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