財政改革と行政改革
西宮市でも、財政改革である行財政改善実施計画と行政改革である行政経営改革が並行して進められるようになりました。
財政改革では、支出の削減額や収入の増加額を具体的に目標に掲げて取り組まれますので、得られる成果も目標の達成状況も可視化しやすいですが、経費削減や負担の増加にはいずれ限界も生じます。
そこで重要になるのが行政改革と考えているのですが、市役所職員の意識改革とか業務の効率化については、財政効果が明確に期待できる改革とそうでない改革があり、職員の意識やシステムの構築については効果を可視化しにくい内容が多く、行政経営改革の目指す目標や成果指標を可視化する必要があると考えています。そうでなければ、おそらく真の改革は進まないとも感じています。
そこで、平成17年9月議会一般質問では、行政経営改革の項目の中から、まずは効果の可視化が可能と考えられる項目を抽出し、市と議論しました。
なお、業務を可視化して効率化する方法として、活動基準原価計算(ABC手法)の導入(←クリックするとコラム「行政サービスコストの可視化」が開きます。)を過去に提案しています。
そして、民間委託を判断する際の判断指標として活用することも提案しています。こちらのコラム(←クリックするとコラム「行政経営改革の実現性」が開きます。)もご参照ください。
====本会議場での議論の概要====
平成17年9月議会一般質問
3.財政改革と行政改革について
財政改革は急務です。そのためには、行政改革もいち早く実効性のあるものにしなければならないことは、当局の方も十二分にお感じのことと思います。実際に総務省からも平成17年度中に集中改革プランの提出を迫られています。本市においても、もっと行政経営改革を集中して行って結果を出すべきです。
ア)民間委託と指定管理者制度
■質問の背景
今定例会に上程されている指定管理者制度の問題点はこれまでにも相当の議論がなされていました。ですので、壇上では質問は行いません。後ほど自席で意見を述べたいと思います。
そこで、現在、人員削減を行っている本市でありますが、この人員削減にあわせて業務量も削減する必要性があるという観点から、私は質問をしたいと思います。
(非正規である)臨時職員や嘱託職員を乱用すれば、人材育成や研修が本市で必要となり、また、人員配置の柔軟性にも欠けるなど、かえって効率が悪化しているようにも思われます。
委託費の増額につながりますので、今の歳出カットに向けた動きと矛盾するかもしれませんが、民間でもできる給与や旅費の計算事務、窓口業務、そして滞納解消業務、施設の管理業務、研修業務、こういったこと、そしてまた、各局で共通して行っているような事務、これを一つにまとめてNPOを含めた民間委託化を活用して人材不足を補い、弱い部署を強化すべきだと私は思います。
■質問
行政経営改革におけるアウトソーシングの推進の取り組みの中で、民間委託と指定管理者制度の導入に向けた取り組みの進捗状況をお聞かせください。
■市の回答
まず、民間委託化、指定管理者制度の導入に向けた取り組みの進捗状況でございますが、民間委託につきましては、これまでにも取り組んできておるわけでございますが、このたびの第3次行財政改善実施計画におきましては、効率的な市民サービスの提供と経費節減、これを図るために、一部下水ポンプ場の維持管理業務を平成19年度から、養護学校スクールバス運転業務を平成20年度から民間委託する計画であります。今後もこれら業務以外についても検討を続けてまいります。
また、今回の指定管理者制度への移行に関する条例改正につきましては、現在管理委託しております施設を対象といたしておりますが、現在直営となっております公の施設が市民交流センターを初めとして26種類、93施設がございますので、来年度以降、引き続いて指定管理者制度の導入の適否について検討を進めてまいりたいと考えております。
■意見・要望
まず、壇上でも後で自席から要望しますと言いましたが、今回定例会で上程されている指定管理者の選定を見ていて、どうも制度が骨抜きになっているのではないか、当初の制度導入の目的と少し違うと感じました。
外郭団体の問題がよく出てきますが、外郭団体をそのまま非公募で指定管理者に移行するということであれば、制度の変更の意味ってほとんどない、法律ができたから仕方ないというような制度運用になってくると思います。それではいけないと思います。
しかも、地方自治法の改正から移行期間が実質2年もありました。(これまで委託を受けていた)外郭団体も(競争になることは)当然分かっていただろうと思います。その間に改革できなかったことが、これから2年間、3年間で何ができるのですかというところがいまいちよく分からないということなので、外郭団体がこれから改革していかなければいけないとうことであれば、そのスキームくらいは、指定管理者に指定される今年度中ぐらいには示すべきということを指摘しておきます。
今回非公募とする予定のもので、もちろん外郭団体と関係ないものもあるでしょうけども、その理由、指定管理者制度を非公募で実施する理由を、条例で明確に設けておかないといけないと思います。ですので、この非公募とする理由については、常任委員会での審議のときにはしっかりと説明できるようにしておいてください。
指定管理者の公募、非公募の問題と外郭団体の改革は連動すると昨日も仰っていましたが、私は連動しないと考えています。全く別物ですので、その辺も考え方をまとめといてください。
これからの指定管理者制度移行については、今後直営の分も検討していくということなのですが、これも早くできるように、この9月議会が終わったらまた次の分も見ていけるような形で、施設の有効活用のために指定管理者制度というのはあると思いますので、来年また一つでも多く施設を有効活用するために検討を進めてください、要望しておきます。
民間委託についても、これから平成20年度までに200人から250人の人員を削減するということで予定されてます。これだけの人が減るのであれば、当然業務量がそのままであれば仕事が回るわけないですよね。それで回るのであれば今まで何をやっていたんですかということなんですね。
ですので、民間委託は、市役所の業務の削減にもつながる方法であると私は思っていますので、もう一度厳しく見直しをしてもいいと思います。要望しておきます。
====ここまでが本会議場での議論の概要====
行政改革、市職員の意識改革は遅々として進んでいないと言っていいと思います。引き続き、追及する必要があると感じています。
次のコラムに続きます。